やれやれ。加勢してやるかね。
「エルネスト君、苦戦してるんなら替わるよ?」
五人もいて何やってんだか、と思えば参加してるのはエルネスト君だけじゃん。しかもわざわざ足を縫い止めた二人の間で戦ってるし。せっかく動きを止めたんだから一人ずつやればいいのに。
「てめぇ! モミゲに何しやがった!」
「こんぐれぇで勝った気になってんじゃねぇぞ!」
『金操』
「ギャウアぁ!」
「ぐうっう!」
剣を根元までずっぽり埋めてやった。
「か、カース君、もう終わったの?」
「あっちは終わったよ。こんな時になんだけど、この前領都で拾った当たり屋はどうしたの? エルネスト君に付いてくって話じゃなかったの?」
「それが……領都からタンドリアに帰る道中で……僕らのお金を盗んで逃げたんだ……」
そんなとこだろうな。あんな奴は死んでも反省なんかしないし恩なんか感じるわけない。勉強になったのならいいが。
「いくらぐらい?」
「金貨で三枚ほど……」
私達の年齢からすれば金貨三枚はかなりの大金だよな。そうすると残りの四人が荒れてるのも無理はないかも。エルネスト君の求心力が落ちているのも当然なのか? それでも道中で盗まれるかこの街で脅し取られるのかの違いしかないような気もするな。
「ふーん。大変だったね。とりあえず見本だけ見せるから今後の参考にしてよ。」
「う、うん……」
「さてと、お前ら。紫の装備を待ってるらしいな? 出せ。」
「ああ!? 誰に向かって言ってやがる!」
「てめぇぜってぇ殺すからよぉ!」
「ふーん、お前ら仲がいいんだな。それならもっと仲良しにしてやるよ。」
『重圧』
『金操』
奴らの手が重なるように地面に着かせる。そこに鉄の杭を刺してやった。
「いい様だな。その無防備のケツに焼けた鉄棒でも突っ込んでやろうか? ね? エルネスト君?」
「え、いや、そこまでしなくても……」
「何が焼けた鉄棒だあ! やれるもんならやってみやがれ!」
「てめぇみてぇなガキにイモ引いて冒険者なんぞやってやれっかよ!」
こんな状態なのに元気な奴らだな。四つん這いで身動きもできないくせに。
『点火』
一瞬で真っ赤になる鉄杭。
「ハッタリは相手を見てやれよ。じゃあな。」
「あじゃあばなぁぁがぁぁばぁーーー!」
「お前何動いてんだよ。まだ二センチと入ってないぞ?」
無理に激しく動いたせいで手の甲が裂けている。ならば再度『金操』
鉄杭を深く打ち込む。ついでにもう片方の手にも。
「さあ、これで動けないな。そっちのお前は次だ。せいぜい相棒の死に様をよく見てな。バンダルゴウで初めて魔王カースに殺された男になるんだ。自慢できるかもな?」
そう言って私は衣装チェンジ。いつものサウザンドミヅチの装備へと着替える。
「あ………ば……ま、魔王……?」
「ば……ま……ジ……魔王だ……?」
エルネスト君の仲間の四人もぽかんとしている。水戸黄門状態か。これでも自分で魔王って名乗るのには抵抗があるんだぞ?
「お前らは魔王にタカリかけたんだ。死ぬしかねぇな? じゃあ死ね。」
焼けた鉄棒をゆっくりと汚い尻に当てがう。
「がゃばぁばぁばば! まっ、待ってくださ! あ! い!」
「たの! んます! おたす! けくださ! い!」
「ふーん、助けて欲しいのか?」
「あびゃぁあがぁ! 助け! て!」
「おね! お願いですだ! たの! 待って!」
「仕方ないな。命だけは助けてやるから約束だぜ? 俺に絶対服従しろよ?」
「あがぁあ……分かったぁっう……」
「たすっけ! うっぐぁ!」
よし、かかった。
「分かった? こんな風にやるんだよ?」
「さ、さすがカース君だね……とても真似できそうにないよ……」
「ポイントは容赦しないことだよ。頑張ってね。」
「う、うん……」
さて、それはそれとして尋問を続行しようかな。
「さて、お前ら。紫の装備持ってんだろ? 出せ。」
「う、うう、こ、これ……」
「俺の……は、こいつ……」
なるほど、籠手か。二人仲良く左右一つずつか。没収。
「どうやらマジのムラサキメタリックだな。偽勇者から買ったのか?」
「あ、あはい……」
「そ、う、です……」
「それからお前ら、爆なんとかって言ったな? 他のメンバーはどこにいる?」
「あ、が、街の宿に……」
「海の荒野亭に……」
なるほど。ならば……
「おい! そこの四人! お前ら暇だよな? 呼んでこい! こいつらのパーティー残り全員連れて来い!」
「あ、はい……」
「わ、分かったす……」
さーて、何人来ることやら。まさかこんなことになるとはね……
偽勇者に関わるものは全部ぶち壊してやるよ。
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