一、「寛和の変」の開幕 ~ 6月23日の宵から夜半まで
二、怨霊の孫、盗賊の兄
三、陰陽師
四、「寛和の変」その顛末 ~ 6月23日の夜半から未明
五、袴垂れ
六、因果
七、遺言
八、土蜘蛛
九、山蜘蛛
十、清少納言の出仕
今回は月曜と木曜の週二回連載になります。公開は正午です。
10世紀末、平安朝は安定期に入り、藤原氏の摂関政治が最盛期を迎えようとする頃。
後世の伝記物では源頼光とその四天王(渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)がクローズアップされた英雄譚を語られることが多いですが、ちょっと待って欲しいです!
それは武士の時代が始まって改変された物語であり、元々は藤原道長の四天王(藤原保昌、源頼信、平致頼、平維衡)の一人、藤原保昌=平井保昌と源頼光の鬼退治物語であったはず。平井保昌の家司は清原致信(清少納言の兄)であり、その妻は和泉式部。彼女の心を射止めるためにした花盗人の所業は、今も祇園祭の保昌山(ほうしょうやま)として勇姿を残しています。
彼の懐刀「宝生の剣」を、武門の権威ほしさに千葉第十四代当主は在京寺に宝物庫から盗み出し、千葉妙見宮に宝刀として納めたという伝承まであります。
これから連載するのは、その「忘れられた英雄」の物語です。