level 4

地より奥深くへ
主道 学
主道 学

6-22

公開日時: 2024年6月28日(金) 05:27
文字数:713

 発電所



 近道 保志


「早く変電所へ行かないとーーーー!!」

「おじさーん!!」

 俺は走りながら首を傾げた。

「徹くん!? 生きていた!!」

 見ると、レベル 3の変電所の隔壁にある。小さな部屋から徹くんの声が聞こえていた。でも、このままだと水蒸気爆発だ。

「うん?」

 確か……揚水発電所は水を汲みあがておいて、電気の捨て場となる巨大なモーターを使っているんだ。でも、電気は捨てられないから。あくまでも調整のためにあるって、聞いたことがあるんだ。電圧や周波数の変換を行う変電所。などで、余分な電気を流れを制御できるんだ。このまま揚水発電所を探して電気の捨てるより、変電所で電気の電圧を変えてしまえばと俺は考えていた……。

 えーい、考えている場合じゃないぞ!

 徹くんを助けないと!!



 高速道路


 畠山 里香

 

 後方からの電気自動車の唸り声がまだ聞こえる。 それはスピードを上げる音だった。私は必死に愛車のハンドルを握った。

「今度は、ぶつかる!」

 尾田和良中央病院の帰り。何者かが電気自動車で、駐車場で私の愛車の後ろに突っ込んできた。必死に前進して、回避できたが、今は高速道路まで追いかけている。

 時速はすでに160キロだ。

 周囲の景色が猛スピードで後ろへと流れる。幸い交通量が少なく、空いた高速道路は私の愛車は逃げるのに専念できる。私は警告のアラームがうるさいほど車の速度を上げた。私はイチかバチか高速道路から下道へ降りた。Y県〇市の下道なら私は知っていた。とある建物があることを……。

 そこへなら……。

 もう、尾田和良中央病院からは10キロも離れていたが、冷や汗を拭ってアクセルを踏む。 だが、私の意識は激しい自動車同士の衝突音でぷっつりと事切れた。


(カギ……ネジ……エレベー……)


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