発電所
近道 保志
「早く変電所へ行かないとーーーー!!」
「おじさーん!!」
俺は走りながら首を傾げた。
「徹くん!? 生きていた!!」
見ると、レベル 3の変電所の隔壁にある。小さな部屋から徹くんの声が聞こえていた。でも、このままだと水蒸気爆発だ。
「うん?」
確か……揚水発電所は水を汲みあがておいて、電気の捨て場となる巨大なモーターを使っているんだ。でも、電気は捨てられないから。あくまでも調整のためにあるって、聞いたことがあるんだ。電圧や周波数の変換を行う変電所。などで、余分な電気を流れを制御できるんだ。このまま揚水発電所を探して電気の捨てるより、変電所で電気の電圧を変えてしまえばと俺は考えていた……。
えーい、考えている場合じゃないぞ!
徹くんを助けないと!!
高速道路
畠山 里香
後方からの電気自動車の唸り声がまだ聞こえる。 それはスピードを上げる音だった。私は必死に愛車のハンドルを握った。
「今度は、ぶつかる!」
尾田和良中央病院の帰り。何者かが電気自動車で、駐車場で私の愛車の後ろに突っ込んできた。必死に前進して、回避できたが、今は高速道路まで追いかけている。
時速はすでに160キロだ。
周囲の景色が猛スピードで後ろへと流れる。幸い交通量が少なく、空いた高速道路は私の愛車は逃げるのに専念できる。私は警告のアラームがうるさいほど車の速度を上げた。私はイチかバチか高速道路から下道へ降りた。Y県〇市の下道なら私は知っていた。とある建物があることを……。
そこへなら……。
もう、尾田和良中央病院からは10キロも離れていたが、冷や汗を拭ってアクセルを踏む。 だが、私の意識は激しい自動車同士の衝突音でぷっつりと事切れた。
(カギ……ネジ……エレベー……)
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