<機体AI音声>
《チャージング中です。ここは様子見するしか無いでしょうね》
「……誰だか知らないけど……信じて良いよね?」
<ガチタン乗りのスワン>
『……ああ、信じてくれ』
ズガァン!!
言葉の直後、ヒュージナックルの滑空砲があのガチタン機体へ炸裂。
だが、その程度ではと言わんばかりに、一切後退しないまま、黒いタンク脚eX-Wは両腕のマシンキャノンを、
いや、背部のグレネードとレーザーキャノンが同時に展開する。
ボボボボボッッ!!
ボンッボンッ!!!
ピーッ!!!
文字通り四方に向けられた攻撃が雨あられと敵に降り注ぐ。
120mmマシンキャノンの鉄鋼弾が鉄の蜂の巣を作り、グレネードが爆発すれば敵が消しゴムで消されたように黒い跡だけになり、頑丈な装甲のヒュージナックルが、飴細工のように上半身が溶ける。
「同時発射!?
強化人間がガチタン乗ってるの!?」
<機体AI音声>
《でもまずいです、恐らく!》
プゥン、とレーザーキャノンが静かになる。
一瞬、恐らく神経接続操作の都合上、中の人間と同じ動きで頭部が左背部の武器を見る。
「そこのガチタン、撃ち過ぎだよ!!
コンデンサのリチャージは今あるジェネレーターじゃ長いんだよ!?
ヒュージ系列のMWは実弾も爆発系も耐性あるから強引に突っ込んでくるよ!!!」
<ガチタン乗りのスワン>
『信じろと言っておいてこの様とは……
私も格好がつかないな……!』
短い無線の返事の瞬間、なんと撃たれた仲間の残骸を持って盾に、動けないそのタンクへ殺到する。
───名前の由来になった巨腕には、装甲殺しの「とっつき」、ことリニアパイルバンカーが付けられている。
重装タンクeX-Wでも一撃で沈むような破壊力が四方八方から迫る。
「撃つ!」
<機体AI音声>
《チャージング中!どれにせよ援護になりません!!》
<???>
『うぉぉぉぉぉ!!!援護射撃いきまぁぁぁす!!!』
と、そんな声と共に背後から一筋……いや二筋の光が頭上を通る。
迫るヒュージナックルの一方へ、足元にだが爆発する何かが撃ち込まれる。
<???>
『そこの人どいてくださぁぁぁぁい!?』
「えっ、わた、どっせぇぇぇぇ!?!?」
<???>
『アバァーッ!?!』
直後後ろから何かが突撃してくる。
装甲値が減ってついでに転ぶ。
「痛ったぁ……何すんのさ!?」
上に乗っかっているのはさっき見かけたあの重量二脚で武器腕なeX-W。
はっと気が付いたように、両肩のアサルトブーストの前面噴射で起きあがろうとして、転びかけて背部の通常ブーストを無理やり起動してバランスを取る。
<武器腕機のスワン>
『ごめんなさぁぁい!!うぅぅ、知識と実戦は全然違いますなぁ〜……!!』
「玄人っぽいのはエンブレムだけ?もぉ!」
左肩には軍用迷彩ヘルメット……『BORN TO KILL』と書かれおり、銃弾がいくつか巻かれている物のエンブレムがある。
<武器腕機のスワン>
『うぅ……すみませぇん……!』
緑の迷彩柄で四角くゴツゴツした機体から聞こえる情けない声。
こういうちょっと腕の足りないスワンを「アヒルちゃん」と言うらしいことをソラは思い出していた。
「つーかこんなことしている場合じゃないから!」
チャージング回復までもう少し。左腕のMGM-1000Aで弾幕を張り、両手の実弾兵器を撃ちながら履帯で移動を始めたガチタン機を援護する。
<武器腕機のスワン>
『あっ、そうです!』
そう言って彼女は再び武器腕を向けて一発。
────バランスを崩して危うく転びそうになった後ろのeX-Wを見て、少し頭が痛くなるソラだった。
その割には正確に相手の足を止めるような当て方をしているが…………
<機体AI音声>
《チャージング終了。エネルギーが回復しました》
「よぉし!!」
そろそろこっちにも攻撃がくる。
再びブーストで小ジャンプ移動を始め、あのガチタン機と合流しようとブルーカナリア移動を始めるソラ。
<???>
『───左失礼!』
「え?」
そんなストライクブーストと共にブルーカナリアを通り過ぎるeX-W。
直後、まだチャージング中中だったあのタンク脚に迫るヒュージナックル達の『リニアパイルバンカー』よりも早く、光の刃が一閃。
アサルトターンというアサルトブーストを使った素早く旋回する小技で、同時に起動したレーザーブレードで敵を3機同時に切り裂いた。
こちらに向いた正面。その左肩にレイピアのような剣を突く姿の大昔の貴族のような人物のエンブレムの描かれた、ほぼ全身アヤナミマテリアル軽量二脚フレームeX-Wの姿は、舞い落ちるプラズマ化したヒュージナックルの破片たちもあってまるで映画のワンシーン。
「カッコいい……」
思わず感嘆の声が出る。
だが、
<???>
『けどさぁ!?!』
瞬間、再び何かがストライクブーストでその場所へ突っ込む。
それは、斬られた仲間の残骸たちの背後から滑空砲を構えるヒュージナックルへと獣のように飛びかかる。
<逆脚機のスワン>
『まだ敵のいるのにポーズとか決めるぅ??
そんなヤツ、背後からヤっちゃても文句言われないわよぉ!?
こぉんな風にねぇ!!!』
両腕のレーザー武器腕が、わざとらしく的確にコックピットを狙って両方突き刺す。
両腕を広げて切り裂く様は、逆脚に左肩のエンブレム通り『ハイエナ』のような荒々しさ。
そして直後にその機体背部右の、多砲身型チェーンガンが起動する。
タタタタタタタタタッ!!!
<武器腕機のスワン>
『危ない!?』
敵味方関係なく、おおよそMW群のいる位置へチェーンガンを右回りに斜線を一回転してなぎ払う。
とっさにしゃがんだブルーカナリアも危うく洒落にならないダメージを受けるところだった。
<軽量二脚機のスワン>
『あなた、なんのつもりなの!?』
たまらず、一番近くにいたあのレイピアエンブレムの軽量機がそう抗議する。
<逆脚機のスワン>
『何よ、まだいたわけ?
私の近くにいたら盾かおまけの撃墜かのどっちかよ?装甲に関係なくねぇ?』
<軽量二脚機のスワン>
『そう……助けたわけではないの……でも!!』
なんと、背部の唯一の射撃武器らしいスラッグガンを構え、即座に放つ。
拡散する徹甲炸裂フレシェット弾は、ハイエナエンブレムの機体を通り過ぎ、まだ生きていたヒュージナックルへ無数の穴を開けて沈黙させる。
<軽量二脚機のスワン>
『感謝はします。
これで貸し借りは無しね?』
<逆脚機のスワン>
『…………チッ』
<軽量二脚機のスワン>
『どういたしまして』
苛立ち紛れに、手頃な破片を踏みつけるハイエナエンブレム。
大人の対応だなと密かにソラは思っていた。
「……まぁやっぱり、クズでも変わりものでも頭数は残していて正解だったなぁ……」
そんな二人に、ソラは自分の操るブルーカナリアを近づけてそう呟く。
<軽量二脚機のスワン>
『貴女……!』
<逆脚機のスワン>
『その口ぶり、アンタがコイツらを誘導させたのね?』
「まぁね。
私は新美ソラ、機体はブルーカナリア」
<軽量二脚機のスワン>→<エルザ>
『はじめまして!
私は……エルザ・イェルネフェルト!
機体は『コリシュマルド』、こっちが』
<ガチタン乗りのスワン>→<ソフィア>
『ソフィア・ウィンディルック。機体は『ヴェンデッタスリー』。
こちらのエルザお嬢様の従者……まぁツレとでも言った方が分かりやすいか?』
軽量機のコリシュマルドの背後から、履帯を動かして左肩の3の字をV字に斬り裂くエンブレムを見せる。
<武器腕機のスワン>→<ユカリ>
『先程はありがとうございまぁす!!
自分は、柏野 ユカリです!!
機体は、『フルメタルジャケット』……ぉぉっと!?!』
敬礼でもしようとしたのか、右腕にあたる砲身を上げた瞬間バランスを崩しかける。
<逆脚機のスワン>
『あんた大丈夫?
路地裏のホームレスが消毒用アルコール飲んだ時の動きだけど』
<ユカリ>
『うっ!?
……しゅ、シミュレーターなら、もっとこう……』
<逆脚機のスワン>
『勘弁してよ……盾にでもすればアンタの機体がアタシの『サヴェージファング』に倒れ込んでくるんでしょ?』
「言い方まで酷いね、ハイエナちゃん?
ところで名前は?」
<逆脚機のスワン>→<マリア>
『…………言いたくないけど、マリア。
島村マリア。でも名前が嫌いだからハイエナちゃんとかの方が良いわ。
機体名のサヴェージ・ファングかそれで呼んで』
と、今までの印象と違う声音でそう言うハイエナエンブレムの機体のスワン───マリア。
「なるほど。
…………じゃあ、遠慮なく言うけど、アンタみたいなゲスで凶暴なヤツはじめてかも。
それでもさ、まだ新人で同じ依頼を受けているんだ。
生き残るために力を貸して?
盾役ぐらいにはなるよ」
<全通信回線よりの声>
『『『えぇ……!?』』』
周りがどよめく中、マリアのサヴェージファングがこちらへ向く。
<マリア>
『あんた、ムカつくぐらい頭冷えてるわね?
まぁなら良いわよ、お互い腹に何か抱えても、依頼なら協力する時はする。
それがスワンってヤツでしょ?
途中で寝てたけど、教育ビデオでここだけは聞いてたわ』
「そうさ。
正直に清廉に生きて、理想に殉じて死んでも良いし、
ゲスでどうしようもない事ばかりしてでも、生き抜くのだってスワン。
どの道、報酬に釣られて来たんだから私たち、どうしようもないよね?
それにさッ!!」
ブルーカナリアの右腕のゲイルスケグルから放たれる極太のレーザー。
新たにやって来たMWを撃ち抜く。
<機体AI音声>
『エネルギー、残り65%』
「もう、とっくの昔に手は汚している!!」
焼け落ちる残骸。
そこから伸びる血塗れの小さな腕。
だが、向こう側に隠れているはずのその手の主は……もう……
「全員、そのことは良く分かってるよね?
人殺しなんだよ、スワンは。
今更、手を組む組まないで揉めて死んだら、金の為に殺してきた相手の命に失礼でしょ?
どうさ、『汚れ仕事人』たち?」
沈黙。
だが、すぐさまその場のeX-W達が、敵の来る方向を見る。
<ユカリ>
『……そうですね』
ドン、と唐突に放たれる一撃───いや二撃。
恐らくHEAT弾のそれは、硬いヒュージナックルの装甲をも貫き爆散させる。
「初めてバランスを崩さなかったね」
<ユカリ>
『……さっきは、直接撃てませんでした。
撃てなかったんです……人がいるって思ったら、まったく……!』
シュゥ、と煙に出る武器腕の、ユカリのフルメタルジャケットが前に出る。
<ユカリ>
『これは殺し合い。
分かっていたのに逃げ腰で!!』
再び放たれる極太のHEAT弾が2発。
恐らく、スペースの都合上人が入っており、最も当てやすい胸部にあたる場所へ正確に。
<ユカリ>
『だから……シミュレーターと違うなんて言い訳で……
逃げ腰だから転んで……でも!!』
<マリア>
『なんだ、結構やるじゃないアンタ』
再びサヴェージファングのチェーンガンが火を吹き、全員が火器を放ち始める。
<マリア>
『所詮、人殺して金を得る仕事なのよねぇ!?
じゃあ派手に行こうじゃない!!
あのクソ共ぶっ殺してスッキリ大金を稼ぐ!!
あははははは!!こうじゃなきゃわざわざこんな仕事しないわよねぇ!?
死ねクソテロリスト共!!死んで私の金になれ!!』
なんともまぁ、清々しいまでのクズな発言である。
だが───そもそもそれが目的なのだ。
<エルザ>
『……ッ、好きにはなれない考え方……』
「なるほど、ここにいる割にはお金稼ぎじゃない訳ありスワンなんだ」
コリシュマルドの隣に立ち、ソラはその中にいるエルザにそう話しかける。
<エルザ>
『………ええ、そうなの。生活に困っているわけでなくて』
「そういうのもありだし、あそこの暴れてるハイエナちゃんの考えに共感する必要はないよ。
私もちょっとクズすぎとは思うからね。
たださぁ!?」
コリシュマルドを払い除けるよう、ブルーカナリアの右腕部に握るゲイルスケグルを構え、一発。
その先で狙っていたスケアクロウを破壊した、それと同時に隣にいた別のヤツももう一つのレーザーに貫かれる。
「お?」
<ソフィア>
『油断して死ぬものではないですね、お嬢様?』
見れば、ヴェンデッタスリーの背部にある大口径ハイレーザーキャノンが起動していた。
<エルザ>
『ソフィ!?』
<ソフィア>
『あなたにも私にもまだ目的がある。
今回は貧乏くじだったが、生きて帰れれば充分勝利だ……
そのためにも、今は誰であろうと協力した方がいいし、綺麗事だけで済ます様な状況ではない』
瞬間、超信地旋回したヴェンデッタスリーが、両腕のマシンキャノン『カルティベイター』を掃射。
まだまだくるMW群を牽制し、前にいるフルメタルジャケットとサヴェージファングの2機を援護する。
<ユカリ>
『助かります!』
<マリア>
『話は決まったならとっとと来い!!壁がいないのよ!!』
「マリアちゃんのそのアセン、武器腕と速射系武器で空中戦したかったんだろうけど……チェーンガン反動で撃てないしね強化人間でもなければ」
<マリア>
『他人のしくじりなじるのが趣味な訳?
助けろとっとと!!』
「助けるさ、次はロケットとか積んだほうがいいよ!」
<エルザ>
『ここは私が。
人に物を頼む態度ではない、と言っている場合ではないようね!』
瞬間、エルザの操るコリシュマルドがストライクブーストで前に出て、左腕の増設エネルギーシールドを展開してサヴェージファングの前に出る。
<マリア>
『ハン……!そういう事で良いのよ。
ほらほら、どうした他の2機!!』
マリアの煽りに、流石に黙ってこのまま見ている訳にはいられない。
ソラもブルーカナリアを進めようとした。
<ソフィア>
『……ソラと言ったか?一つだけ聞きたいことがある』
そんな時に、隣にキュラキュラ履帯の音を鳴らしてヴェンデッタスリーがやってきた。
「何?」
<ソフィア>
『この仕事を続けていれば、いずれお前を恨んで殺そうとする人間も出てくるだろう。
……その時ならお前はどうする?』
それは、今する質問ではなかった。
要するに、普通この状況で言うことじゃないとソラは怪訝に思った。
ただ……なんとなくだが、ソフィアの機体名が気になった。
ヴェンデッタ。報復。復習。それも血を見るような徹底的な意味。
…………なんとなく、なぜ今そんな質問をしたのかが、言語化出来ないだけでさっせた。
「……私には、天文学的に金のかかる将来の夢があるの」
だから、こんな状況だが、答えた。
<ソフィア>
『……夢?』
<マリア>
『今喋ってる場合!?』
<エルザ>
『良いんです!!
……続けさせて』
どうも、エルザは何か知っているらしい。
とりあえず、ソラは手短に答える。
「私は夢のために天文学的大金が必要で、ついでにちょっと変わった家族も養う必要もある。
だから、恨み買うようなことをして悪いとは思うけど立ち止まれない。
背負ってでも走り切る。今はそうしたい」
<ソフィア>
『たとえ地の果てまでお前を追い詰めると言われてもか?』
「……良いじゃん、そんぐらいのことやったんでしょ?
ちょうど私も夢のために『地の果て』ってところに行く予定だったから、付き合って貰うよ」
バシュン、とゲイルスケグルのハイレーザーで一体のスケアクロウを落として言い放つソラ。
「これで何機撃墜……いや、何人殺したんだろうね。
可哀想とは思うし仲間や家族が恨むのも当然。
復讐鬼には私を追いかける権利も義務もある」
燃えるMW。そこから飛び出して火だるまのままのたうち回る人間がいる。
テロリスト、ミレニアムの構成員。
そう、人間なのだ。
<ソフィア>
『……まだ人らしい部分がお前にはあるようだ』
カンッ、と装甲に弾かれる砲弾の音が横から響く。
見れば、ヴェンデッタスリーが横から来たヒュージナックルの滑空砲を角度をつけて侵入することで自身の重装甲で砲弾を弾いていた。
「あ……!」
<ソフィア>
『気を取られる話をさせてすまなかったな。
行こうか。生き残らなければ恨みすら背負えない』
ボン、と背部のグレネードでヒュージナックルを消しとばすソフィアのヴェンデッタスリー。
……感傷に浸る場合じゃないとは思っていたのに、とソラは自省するが、羞恥心とちょっとしたプライドでそれは口に出さない。
「ごめん。
みんな、言い出しっぺで仕切るけど、このまま敵の本部まで行くよ!」
<ユカリ>
『失礼ですけど、本部の場所を知って!?』
「私じゃなくって……まぁ、『相方』がね!」
そっと、背中のバーンズ製レーダー範囲ギリギリにいる友軍ビーコンを見る。
さっきから止まっていると言うことは……
***
森の一角に、樹々によって上から巧妙に偽装された敵の本拠地がある。
<ミレニアムMW部隊機A>
『どうやら、まだひよっこの割に強いらしいな』
<ミレニアムMW部隊機B>
『なぁに、カチューシャクラートからこの数のMWを手に入れている!
物量はこちらが上だ!』
今、その本拠地の扉が開き、
絶望的なまでの物量、そして前進する一群。
『武装組織』というには、あまりにもその規模が大きく、あまりにも強力。
スケアクロウは無数のロケットミサイルを装備し、
ヒュージキャノンは増加ブースターまであるほど。
軍団。
今、地下から這い出た絶望が、その姿を表す。
「うーん……意外とコントローラー操作も難しいもんやな……」
────T字にメモリ、三角の印、
倍率が強化され、軍団の一角が……ロケット装填済みのランチャーがアップされ、中心に据えられる。
「ここでええな。まずはご挨拶や♪」
チュインッ!
そんな音に遅れて、ボォンという音が遠くから響く。
直後、一機のスケアクロウが爆発、巻き込まれて連鎖的に周囲が誘爆していく。
ボォン!ボォォン!!!
ズギャァァァァァァン!!!!!
<ミレニアムMW部隊機C>
『な……何が起こ────』
MWの軍団は、一瞬で全滅した。
そんな炎のショーを除く目が、
ここから600m先の、小高い丘の崖の上の樹々の下にある。
「ストライク!!バッターアウトや!!
ま、機体は「ホームラン」やけどな!!」
長大なスナイパーキャノンを構え、4脚の安定した姿勢とリボルバーリバティー社製のゴツさが信じられない射撃安定性を誇る重腕で凄まじい精度の遠距離砲撃を成功させたホームランタイガーとアズサ。
「しっかしえらい燃えとるなぁ……!
山火事になったらシャレにならんケド……ま、目印には良いやろ!」
ほな、と構えを解き、移動を開始する。
「勘のいいヤツならもう狙撃ポイント割り出してるもんな。早く移動するのもスナイパー。強めのストレートだけやない、変化球もできてこそピッチャーや。
ってバッターみたいなエンブレムでそらないやん!」
あっはっはっ、と笑いながら崖を飛び降りる。
「さて、勘のええ仲間なら気づいてくれたやろ。
でっかい花火で目印したんやから」
***
爆発は、戦場の全てから見えるほどの炎と煙を見せていた。
<エルザ>
『爆発……?』
「よし、目標見つかった!!
あの爆発の場所へ行くよ!!』
当然、スワン達は目標を定め、全速力で移動を開始する。
***
読み終わったら、ポイントを付けましょう!