世界から隔離されたような、雑踏の届かぬ小さな部屋。
その小箱のような部屋の中に、少年と少女が二人。
少女は目が痛むほどに白い、清潔なベッドで眠っている。
少年はそんな彼女を想い、静かに祈りを捧げている。
時折聞こえてくる、規則的な電子音。
機械の画面で起伏を繰り返す線。
それが、彼女の命が繋ぎ止められていることを示す証。
その証を感じながら、少年はずっと祈り続けている。
――もし、神様が存在するというのなら……この願いを、どうか聞き届けてくれないだろうか。
両の手を組み、瞳を閉じて。
――長い長い時間を、僕はずっと待ち続けてきた。苦しみに身を焼かれそうになりながら、ずっと。
その向こうに、彼女の生命を探るように。
――だから……どうか、彼女の目を覚まさせてはくれないだろうか……。
誰にも侵すことのできぬ、静かなる祈り。
部屋は、規則的な電子音で満たされたままだった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!