────「あんたの爺さんなら性転換して仏像と新婚旅行してるよ」
「は?」────
土倉晴は、生来の虚弱体質から仕事を辞め、しばらく「骨董好きの曾祖父の話相手」をしながら在宅仕事をするよう勧められた。
立派な土蔵の建つ曾祖父宅を訪ねると、そこに住んでいたのは「主人の留守を預かっている付喪神」カガリ。
なんとその家は、曰く付きの骨董や盗品、借金のカタに取り上げたアンティーク、人の姿で動き回る着物の精など、和洋問わずの怪しげな古物で満ちていた。
ラップ音どころのレベルではない活発さを見せる家具や装飾に呆然とする晴に、カガリは敷地内に溢れる古物の世話を頼む。
無口な人間と、生き生きとした無生物達との少し不思議な物語。