「さぁ、ここがキルシュ村の総合ギルドだよ」
「すごく…大きいです」
「有栖、少し誤解の招く発言はやめようか?」
アリアの案内で、俺達はキルシュ村の総合ギルドに着いた。
建物は、アリアの屋敷に匹敵するほどの大きさなのか、有栖がとんでもない事を言ったのですかさずツッコミを入れた。
「早速中に入るよ。 受付で冒険者登録をするからね」
そう言って、アリアが先にギルドの中に入ったので、慌てて俺達も後を追うようにギルドの中に入る。
「中も広いですね…」
「まぁ、総合ギルド…いわゆるなんでも屋だからね。 討伐だったり採取だったり村周辺の巡回だったり色々あるよ」
「なるほどねぇ」
「あ、アリア様いらっしゃいませ。 そちらのお二方は?」
アリアとそんな会話をしながら受付に来ると、アリアを見て丁寧なあいさつをしている受付嬢がいた。
そして、俺達を見て目を見開いていた。
「上手く話せないけど、今日の事件で異世界から来た二人だよ」
「そうなんですね。 エルネシアの王都で召喚が行われたというニュースを最近見たので…もしやと思いましたが」
「あの召喚の事、もうニュースになってたんだ。 早いな…」
「まぁ、情報の開示の速さは我が国が一番だと思ってるよ」
ギルドのネットワークで知ったのかどうかは分からないが、ヘクトが行った勇者召喚の事がニュースになっていたらしい。
情報が来るのがはやいよなぁ、この世界は。
特にこのエルネシア王国のギルドネットワークは、他の国よりも早いようだ。
「それよりも、この二人の冒険者登録をお願いしたいんだけど…」
「お二方のですね。 えーっと…」
「柊 卓といいます」
「双子の妹の柊 有栖です」
「スグル様とアリス様ですね。 では、そこにある緑のオーブに触れてください」
受付嬢は、その横にある緑のオーブに触れるように指示した。
さっきの銀のオーブのように、手に添えるように触れればいいんだな…?
緑のオーブに手を添えると、淡い光が発生する。 眩しくないので目を瞑る必要はないな。
その光が見えなくなってきた後で、オーブの口が開いてカードが出て来た。
「このカードは…?」
「それがスグル様のデータが入った冒険者のライセンスカードです。 紛失しても再発行はできますが、ランクに応じた手数料が必要です」
「ランク?」
「はい。 アリス様のカード発行が終わったら説明しますね」
俺の隣には有栖が緑のオーブに手を添えている最中だった。
同様に淡い光がしばらく発生し、光が収まったと同時にカードが出て来た。
「アリス様のカードも出てきましたね。 では、ランクについて説明しましょう」
そう言うと受付嬢は、ボードを俺達に見せて来た。
そこにはFやらSやらのアルファベットが書かれていたが、これがランクなのだろうか。
「ランクは最初はFからスタートしまして、Bランクまでは依頼をこなせばランクアップできます。 ですが、Aランク以上のランクは試験を受ける必要があります」
「その理由は?」
「ランクが高ければ高いほど、ギルドの顔になるので、高ランクにふさわしい人格や礼儀を持つ必要があるのです」
「へぇ…」
なるほどね。
つまり、スタートはFからだが、Bまでは依頼をこなす事でランクアップが可能だが、AやSへはギルドの顔になるらしく、それにふさわしい人格や礼儀は必要なので、試験を行うのだろう。
「あと、引っ越しなどで他国に行かざるおえなかった場合は、一度カードを返却させていただき、他国で新たに登録をする必要があります。 つまり、ランクはFからまたやり直しになるのです」
「ランクを引き継げないんですか…。 厳しいですね…」
(引き継げないのか…。 そこが問題だな)
ちなみに受付嬢曰く、ランクは引き継がれないようだ。
他国へ引っ越しになる際に、一度ギルドに今持ってるカードを返さないといけないようだ。 そして、他国で再度ギルドに登録してもらう必要があり、再びFランクからのスタートという事だ。
つまり、できるだけエルネシア王国に留まる必要があるわけだ。
「では、依頼の方はどうしますか? 明日からでも構いませんが…」
「アリア、どうする?」
今、依頼を受けた方がいいのかを今まで黙って聞いていたアリアに尋ねた。
「まぁ、今日起こったばっかりだし疲れてると思うから明日にしようか。 そろそろご飯も食べないといけないし、その上で帰りによろず屋で武器も買わないといけないし」
「そういえばそうでしたね。 ここに飛ばされたのは今日だったの忘れてました」
アリアが休んだほうがいいと言われたので、俺達はそれに従う。
生活に慣れたら、自分で動くことも視野に入れないといけないだろうが。
「というわけで、依頼は明日からにします」
「分かりました。 明日以降で日中ならいつでもいいので見に来てくださいね。 お待ちしております」
受付嬢さんに見送られて、俺達はギルドを後にした。
アリアが今日俺達が異世界に飛ばされてきたことを鑑みての判断だろう。
そして、帰り際のよろず屋で、武器を購入し明日以降の準備は整った…と思う。
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