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「ミリア姉様、この人達は?」
「ええ、王都『シュクレール』から脱出したらしい召喚された人達の中の四人よ」
ミリア達と出会った幸人達は、彼女に案内された先の屋敷にて、一人の少年と顔を合わせていた。
出会った当初、幸人達は戸惑いからミリアとシリルを警戒していたが、敵じゃない事を告げると安心したのか、ミリア達に色々と話をした。
自分達が突然この世界に飛ばされた事、それを行ったヘクトという人物が魔族殲滅の為の即戦力として自分達を召喚した事を…。
そして、その最中のクラスメイトの対立のゴタゴタの隙を突いた友人が自分達を逃がし、なるべく王都から離れる為にあの森まで歩いた事を。
それを聞いたミリアとシリルが、ヘクトのやり方に顔を歪めていたが。
「ミリア姉さんは、その子達をセシルの屋敷に連れていってあげて。 ボクはそのまま王都に行くから」
シリルがそう言ったので、ミリアが四人をセシルの屋敷へと連れて行き、今に至る。
ミリアが連れてきた四人の前にセシルが立ち、自己紹介を始める。
「僕はセシル・ラム・エルネシア。 あなた達が召喚された先のエルネシア王国の第二王子で、穏健派の筆頭でもあります」
「穏健派?」
穏健派という単語を聞いた四人は、首を傾げる。
セシルはそのまま話を続けていく。
「現在のエルネシア王国は、王位争いの真っ只中なんだ。 穏健派である僕と、過激派のヘクト第一王子の派閥が争っていてね」
「ヘクトって、私達を召喚した張本人?」
「そうよ。 ヘクト達過激派思想には大臣のグズーラもそっちについてるからね。 私やシリルはセシルと同じ穏健派よ。 ちなみに、私のフルネームはミリア・リム・エルネシア。 第一王女なの」
「ミリアさんも王女様なのか…」
「でも、継承権は捨てたわ。 でも、セシルとヘクトは男だからか、継承権を捨てられないの。 故に発生した争いなのよ」
ミリアが王女であった事を初めて知った幸人達は驚いていたが、ミリア自身が継承権を捨てた事にも驚いていた。
「でも、何で穏健派と過激派が?」
「この世界は、現在は魔族とは和平状態なんだ。 父が若い頃から、和平を結んだと聞いている」
「和平状態…魔族と…」
春菜は、魔族と和平状態である事に呆然とする。 他の三人もそうだった。
「じゃあ、なせヘクトは魔族殲滅を?」
だが、すぐに冷静さを取り戻した真菜がセシル達に質問をした。 それに答えたのはミリアだった。
「ヘクトは魔族とか亜人…獣人とかが嫌いなの。 彼らとすれ違うだけで嫌悪感が出るくらいにね。 特に何もされたわけでもない。 ただ、それらが存在するという事だけで嫌ってるの。 ヘクトだけじゃなく、グズーラを始め他の過激派思想の人間もそんな感じよ」
「単なる異物扱いなのかよ…」
「そういう事だよ。 過激派思想を持つ者の考えは皆、人間以外が住んではいけないという排除思想を抱いている。 当然、その思想は他国からも批判されているけどね」
魔族や獣人等の亜人を単に異物扱いして、殲滅させる思考だった事に幸人は唖然とする。
だが、セシルが言うように、今はエルネシア王国内にしか居ない過激派の人間は、皆人間以外は排除すべきという考えのようだが、他国等国際世論はそれに対する批判が相次いでいる。
「ただ、ヘクト達はそんな国際世論に対しても魔族の味方として敵意を抱き、排除しようとしているの。 貴方達を召喚したのは魔族だけじゃなく、魔族との和平を支持する国際世論を力で排除するためてもあるみたい」
「そんな…何で…」
「あなた達異世界の人間は、僕達現地の人間より、身体能力が軒並み高いからだよ。 故に即戦力になりやすいからね」
ミリアからヘクトの本当の目的を聞かされた春菜と真菜は、ショックを受けていた。 幸人と和哉もそれなりに衝撃を受けたようだ。
「もし、そうなら俺達クラスメイトの中では、あの三人組が一番危険だな」
「三人組?」
幸人が口にした三人組の事について、ミリアが首を傾げながら聞いてきた。
「俺達が王都から脱出するきっかけになった修羅場を作った張本人で、不本意ながらクラスメイトでもありました」
「そいつらは、いの一番にかつクラスの代表を名乗ってヘクトの頼みを引き受けましたからね…」
「本当なの!?」
「本当ですよ。しかもこの世界に召喚されたのは運命だからって平気で言ってましたからね」
「なんと短絡的な…」
幸人と和哉による三人組の話を聞いたセシルも怒りを通り越して呆れていた。
「元々、あの三人組は変な願望を持っていたので、私達は警戒してたんですけどね」
「変な願望の持ち主であるその三人組がヘクトに同調したとなれば、かなり不味い事になるわね」
ヘクトの過激派思想に、あの三人組が同調した事にミリアは警戒を強める。 異世界の人間が現地の人間より、身体能力が高い事を踏まえての警戒だ。
「とにかく、あなた達は暫くこの屋敷に泊まるといいよ。 食事や部屋とかも用意しておくよ」
「いいんですか?」
「貴方達は、ヘクトから逃げた人達だしね。 私達で何としても守らないといけないし」
「すみません、お言葉に甘えます」
こうして、幸人達は一時的に住む場所を確保できた。
食事の後、四人は疲労が溜まったのかぐっすり眠った。
しかし、翌日にシリルからヘクトが王位を襲名し、魔族や国際世論等に宣戦布告をした事を聞かされるのであった…。
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