ツイッターで九藤朋さんとお話をさせていただいている時に、不意に〝降りてきた〟作品です。
私自身が意図的に考えて絞り出したのではなく、文字通り〝もたらされた物語〟です。
まるで取り憑かれたように一心不乱に書き上げました。
それと、この作品は『ファンタジー』です。
SFではなくファンタジーです。
ラストシーンを見ていただければご理解いただけると思います。
「生存可能性は?」
「90%以上です。ですが……」
「何か問題でも?」
「能力発揮時に非常にデリケートになります。護る者が必要でしょう」
「了解したわ」
その者は希望だった。
荒れた惑星を蘇らせる救いだった。
そしてあまりに繊細な命だったのだ。
「それでは、個体名をいかがしましょうか?」
「生産可能数24枠の中で開いてるのが――」
「〝アルファ〟〝ラムダ〟〝オメガ〟ですね」
「それじゃアルファでいきましょう。状況が許すまでこれでなんとか運用するしか無いわ」
「了解しました」
「それと〝護る者〟はあなたに任せるわ」
「もう一体アンドロイドを建造ですか――物資不足ですから許可が降りるかどうか」
「頭脳だけアンドロイドにすればいいわ、あとは廃棄工程の警備ロボットあたりからリサイクルしましょう」
「了解しました。それで名前は?」
そしてその女性はすこしだけ思案した。
「〝オメガ〟で行きましょう。最後の文字なんてちょっと不吉だけど」
「科学者が縁起担ぎですか?」
「この状況では神様にだって頼りたくなるわよ」
「そうですね。でも――」
その若い技術者はつぶやく。
「――本当に神様に助けてほしいです」
「そうね」
若い技術者のつぶやきを否定する声はなかったのである。
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