うだつの上がらないエッセイ集(2)

思いつきで気楽に更新します。基本的に一話完結なので、お好きなページをご覧いただけると嬉しいです。
月澄狸
月澄狸

猛烈? いいえ、ただの支離滅裂

公開日時: 2022年12月25日(日) 21:56
文字数:2,865

 怒りを溜め込んで怒ってくる人が苦手だ。その場ではニコニコしておいて、後で「とうとう堪忍袋の尾が切れた」という風に怒り散らしてくる。「私は今までこんなに我慢してやったのに、それでも私を怒らせたお前が悪いんだぞ」というような正義感とイライラ、プラスで。


 こちらに悪気があって、しつこく絡んだり茶化したり、相手の嫌がるイタズラを続けたとかなら分かる。でも、悪気がないのに私は何をやってもダメなのだ。ノロマで不器用。空気読めない。

 その人は、楽しかった思い出まで、論争の場に引きずり出してくる。「思えば一緒に出かけたあの時も、アンタははしゃいでペラペラ喋り散らすばかりで何もしなかったよなぁ!?」と。


 たしかに私は出来損ないだ。しょっちゅう人から怒られた。小学生の頃、体育の授業で逆立ちか何かがあって、私が「嫌だ、できない」とずっとわめき続けていたら、今まで怒ったところを見たことがない、優しいペアの子から、声を荒らげて叱られた。滅多に怒らない人まで怒らせる私って……と、妙に記憶に残っている。


 空気も読めない。相手が笑っていたら喜んでいるものだと思っている。

 冗談で場を和ませようとしたのに、後で「なんであんなこと言うの!」「今忙しいんだよ、見りゃ分かるだろ!」と叱られたり。怒られ続けていると気が滅入ってくる。


 また、自分が楽しいときはみんなも楽しいものだと思っている。それが、表でニコニコしておいて、後で陰口を言う人を何度も見かけて、人の笑顔は信じられないと知った。

 私は友達がおらず空気みたいな存在だったから、みんな、私に誰かの陰口を聞かれることを恐れなかった。よくぼーっと、まわりの人の陰口を聞いていた。残念ながらそれが勉強にはなっていないようだ。要領のいい人なら陰口を覚えていて、うまく立ち回る術を身に付けそうなものだが。


 明るくポジティブに。ずっとそうなら、すごい信念だと思う。が、裏表があると、表を必死に演出することが素晴らしいこととは言えない気がする。そんなの作り物じゃないか。四六時中、不機嫌そうにしている私の方がまだ、正直なのでは? って、それも良くはないんだけど。「こんだけ我慢してやったのに」みたいに言われたって、それは向こうが勝手にやってることだし、言われなきゃ分からない。


 けどなぁ、人間、裏表がないに越したことはないけど、やっぱり表も必要か。表がなかったら、ひたすらドロドロするもんなぁ。

 前職ではなんか空気悪かった。みんなしょっちゅうボソボソ、何か愚痴ってたし。私も「仕事遅い!」「なんでそんなことも分からないの!」と、見るからに不機嫌な様子で怒鳴られまくった。それでビクビクし、生きるのが嫌になった。

 今の職場の人は優しい。おそらくポカをしまくっているであろう私の仕事を、まわりの人が黙々とカバーして回ってくださっている。決して、怒ったような顔で注意をしない。注意をするときに怒る人が今まで多かったが、優しい注意の仕方もあるのだと知った。


 ただ、怒られようが優しくされようが、私の落ちこぼれっぷりは変わらなかった。雰囲気の良いところへいれば仕事ができるようになるかと思ったが、根が出来損ないなのは、そう簡単には変わらないらしい。それでもみんな優しい。裏でどう言われているかは知らないけど。


 うーん……やっぱり裏だけ、正直だけな世界も嫌か。どれだけ私が使えない奴でも、KYな失言を繰り返しても、グッと我慢して接してくださる方々のおかげで、私は平々凡々と暮らしていられるのだ。そしてそれに気づいていないようだとヤバい。


 私は日常生活はサッパリだけど、芸術の才能はあるんだよなぁとか思いながらやってきたが、それもなかった。まわりの人のフォローで生きていけているが、いつ総スカンを食らってもおかしくない。っていうか、とっくに食らってるけど「そう思っていないフリ」の優しさで救われていたりして。なら私も精一杯の表を演じる。つっても、気をつけまくった状態で失言狂なんだけど。


 人には得手不得手があると言ったって、できる人はなんでも要領よくできて、できない人は何をやらせてもできないように見える。創作ストーリーだったら私は、「一見何をやらせてもダメ、性格も悪い、ところが実はすごい才能がある」みたいなキャラになれたはずなんだけど、現実ストーリーでは無理なようだ。


 この人どうやって生きていくんだろう、マジで。と、他人事のように自分を見る。これが他人事じゃなくて自分だなんて、絶望しかない。ワーッと叫んで山に走ってゆきたくなる。でも山には私の苦手なスズメバチがいっぱいいるから行けない。自然暮らしも無理っぽい。


 壊さないようにしよう。日常を。落ちこぼれキャラで良いじゃない。おこぼれもらうように、ヘコヘコして暮らすのだ。って全然そんな態度も取れてないけど。


 死ぬまで健康だったら良いなー。お金も運も才能もない、皮膚科にはずっと通ってるし。持病は肌荒れで十分。

 この肌荒れ、高校生最後の頃くらいに発症したんだよなぁ。というかそれまでは、ほんのちょっとプツプツ痒いくらいで、すぐ治った。それが治らなくなった。自由な子ども時代が終わり、働いて生きていかなきゃならないという事実に直面したせいだと思う。だって私は学生のうちに才能を認められて、すごい人になるはずで、普通に働くなんてことは私の人生設計にない、夢は何でも叶う、はずだったのに。雰囲気悪い職場で、絶望しながら、朝から晩まで働くことを予感してたんだろう。


 今は時間に余裕があるけどそれだけ。筆も遅いし、たまに投稿した渾身の創作物は空振り。

 どうすんの? どうなんの? まだ一応若いと言えるレベルだけど、今からスキルがどうとか言うのはもう遅いし、こっちは仕事なんかそっちのけで創作に賭けてきたんだぞ。

 人生ギャンブラーかよ、我ながらウケる。とか言ってる場合じゃないんだってば。


 ものすごいパワーのあるお爺さんお婆さんに憧れる、一生不安定でもパワーで生きてやるぜって思いたいところだけど、若いのに落ちこぼれの私なんて、若さを失ったらもっとヤバい。しかも体にガタがきそう、っていうかもう来てる気がする。視力は年々落ちてるし、これ以上落ちたら、薄らぼんやりしか見えていなかった世界が、さらにモザイクみたいになってしまう。座ったり寝たりしているだけで痺れるし。ずっと肘ついてゲームとかお絵描きとかしていたせいで、肘つくと痛いし。全身にガタきそうな予感。病院? 知るか。なんで金ばっかり払わなきゃいけないんだ。月収100万ください、どうかどうか。マイペースに創作するんで。


 おっと、本音は情緒不安定でいっぱいだ。やっぱ裏表の表でいた方が良さそうだ。ただでさえ「できない奴」なのに、前の仕事みたいに、泣きながらやるようになったらヤバい、っていうか今の仕事でもたまに泣きながらやってる、鼻水止まらないから鼻かむのに時間かかる。ただでさえ遅い仕事がますます遅くなる。こんなことしてたらきっとクビだ。病院? だからカネと才能と運をくださいってば。




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