うだつの上がらないエッセイ集(2)

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月澄狸
月澄狸

どネガティブとスピリチュアル

公開日時: 2023年1月29日(日) 06:37
文字数:2,519

 スピリチュアルを信じていました、というか「信じています」というか。

「こうすれば願いが叶う」というのをやってみようとしてみては、無理でした。姿勢を正そうとしても、普段の姿勢が悪すぎて、姿勢が悪い方が楽なように。

 スピリチュアルが説教臭く思えて、「ああしろ」「こうしろ」と自由を奪われているように感じてしまうのです。例えるなら「休日は勉強やボランティアをしなさい。鍛錬しなさい」と言われているみたいに……? ネガティブ人にはキツいです。


「そんなの、信じたくなければ信じなきゃいいのに」って思う人もいるかもしれませんが。さらに「?」となるかもしれないことを書きますと、今後、波動が低い人は低い世界へ、波動が高い人は高い世界へ行くらしいのです。

 で、波動が高い低いってのは何なのか。私はあんまり理解していないのですが、「ポジティブ・ネガティブ」「明るい・暗い」にほぼ該当するように思います。要するに、明るくポジティブな人は願いが叶う世界に行き、暗くネガティブでマイナス思考な人は、負の感情渦巻く破滅の世界へ行く、と。それが「二分化」「次元上昇」「アセンション」などと呼ばれているようです。


 まぁオカルトに近いかもしれませんね。「これまで通りの世界もある」とのことなので、普通に生きていれば今まで通りに生きられるはずです。それで良ければそれで良い。

 ですが私は、弱肉強食のない世界へ行きたいのです。どの生物が良いとか悪いとか言われたり、殺したり殺されたり、そういうことが一切ない、平等で平和な世界。

 普通に考えれば、そんなことを叶える方法はありません。「金持ちになりたい」とかであれば、一応、叶えようと動くことはできますが、「弱肉強食をなくす」為に動く方法も分からないし、「世界の掟」をなくそうなどというのがそもそもイカレた考えです。だって、すべての生物は食べて生きているのに、「食べることをなくす」だなんて……自分一人が食べずにいることさえ無理なのですから。


 それでそのオカルトの、アセンションとやらに賭けたかったのです。

 引き寄せの法則だの宇宙の法則だのの本には「好きな仕事につくには?」「運命の人は? 結婚は?」というようなテーマでよく書かれていますが、私は仕事の話も結婚の話も苦手です。

 仕事も結婚も、本気で頑張ればどうにかなる、常識の範囲の話ですよね。引き寄せなんてしなくても、素晴らしい結婚をした人もいるでしょう。別にそこに魔法は必要ない。ですが、「魔法のように何でも叶う」って理屈が本当なら、仕事だの結婚だの生活感溢れるやつだけじゃなく、「弱肉強食をなくす」も可能なはずですよね?


 ある程度普通のことしか叶わないとしたら、それって魔法じゃない気がします。「私たちを災害や病から守ってください」とか。私が災害や病から逃れたとしても、誰かは巻き込まれてしまうかもしれない、災い自体はなくせない世界。「他人」と「他人じゃない人」が存在する世界。そうじゃなくて、「火地風水(台風とか地震とか?)、菌やウイルスと友達にならせてください!」と言いたい。なんか、そこまで劇的なことじゃないと、「精神世界」とは感じないような……。


 それでアセンションのために波動を上げたいのですが、難解です。

 たとえばゴキブリやカメムシのスピリチュアルメッセージを検索すると、あまり良くないことが書いてあるのですが、それって、ゴキブリやカメムシに近づいたり、画像検索したり動画を見たりしちゃダメってことでしょうか? 私はゴキブリやカメムシを見かけることで幸せな気持ちになれるかもしれないのに、ゴキブリやカメムシを見る度に「これは災いへの警告だ。気をつけないと」って思わなければいけないのでしょうか? それは嫌です。私は害虫に出会うことで幸せな気持ちになりたいし、害虫が殺され続ける世界は嫌だ。


 しかも生き物のスピリチュアルメッセージって、ただ世間一般のイメージをなぞっているだけでは? 「黒猫は不吉だから殺す」時代があったかもしれませんが、生物を毛の色で判断するなんておかしいですよね。人種差別と変わらない。


 さらに、波動の高低も私には難解です。波動が高いとは、「ポジティブ・明るい・元気・前向き」であることで、逆にマイナス思考で暗くて陰鬱でギスギスしていて劣等感が強くて嫉妬深いのが「波動が低い」ことだと言いますが(私そのものだ……)。


「明るい」「暗い」って雰囲気の問題ですよね。悪いことも明るく、良いことも暗く言うことはできるのでは?

 そして「前向き」というのがまた難しい……。「前」ってどこ? 「後ろ」ってどっち?


 例えば、ファンタジーな作品でよくありそうなセリフ。

「俺たちならきっと大丈夫だ! さぁ、力を合わせてモンスターを倒そうぜ!」

 一見こっちが明るくて前向きで波動が高いですよね。


 でも私が惹かれるのはこっちです。

「モンスターを倒してしまっていいのだろうか。こんなに倒して可哀想。でも倒さなければ。人間のために……。ごめんね……」

 暗いですね。


 ファンタジーを例に出すと難しいのですが、現実って善悪で簡単に片付けられないことばかり。それを「明るく前向きに」捉えるというのが超難解なのです。個人的に。

 私は言っていることの雰囲気(明るさ・暗さ)より、言っていることの内容・理屈で判断したいですが……。私の捉え方はどネガティブだと思われます。

 かといって明るくなる方法も分からないというか、パーティーみたいな元気な空間にしばらくいると、疲れて笑顔が引きつってきます。


 波動が高い・低いという話が苦手なのは、自分の中で、「明るい=いじめっ子」「暗い=いじめられっ子」みたいなイメージがあるからかもしれません。

 いじめっ子って、みんなで群れてギャハギャハ笑って「イェーイ」みたいな感じで、「明るい=パワーが強い=怖い」と感じるのかも。逆に暗く大人しく静かで、コソコソしているような子なら、暴力を振るったりグイグイくるイメージはなく、怖くない気がするのかも(暗くて大人しい子でも犯罪に走るかもしれませんが……)。


 えーと、結局何が言いたかったんでしたっけ。とにかく明るくなれそうにはないけれど、進めるところまで進みたいです。




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