この間、庭が雑草でモサモサしてきたので仕方なく草むしりをしました。
どうして草むしりをしなければいけないんでしょうね。草を拠り所にしていた虫が一生懸命逃げて行き、可愛い雑草たちも死んでしまいます。花を育てるのが下手でしょっちゅう植物を枯らしてしまう私にとって、雑草は勝手にスクスク育ってくれる魅力的な生き物です。
「ああ、草たちがこんなに美しく青々と葉を広げている。もっと生きたかっただろうに、私なんかに始末されて可哀想に……」と、負のオーラを直径1kmに振りまきながら草をむしっていたところ、目の前にミツバチが飛んできました。私に背を向け、ピタッと空中で静止しています。
「わぁ、ミツバチ……いやミツバチか? ミツバチってホバリングするんだろうか。でかいハナアブの一種かな……」などと思いながらしばし眺めていると飛び去ってゆきました。ずんぐりむっくり、丸くて小さくて可愛らしかったです。春ですね。
その直後、目の前にオレンジ色のシジミチョウが舞い降り、羽を広げました。シジミチョウのこの行動は以前も見たことがあります。調べていないので分からないのですが、体を温めているように見えます。そっと近づいて観察させていただきました。距離は10cmもないくらいでしょうか。触角や足やつぶらな瞳がよく見えます。
いつもは虫たちからけっこう距離をとられるイメージなのですが、この日はみんな近づいてきてくれて嬉しかったです。
あとで調べてみると、オレンジ色のシジミチョウはベニシジミのようでした。オレンジだけどベニシジミ。
うちにはカタバミがたくさん生えてくるのでヤマトシジミの方が多いのですが、ベニシジミも時々やってくる印象です。その他、アゲハチョウやモンキチョウ、チョコレート色のジャノメチョウたちが横切ります。ジャノメチョウやセセリチョウは蛾だなんだと言われていますが、蛾と同じくらい可愛いと思います。
草むしりの時にはスズメノエンドウも見ました。どちらかというとここでは毎年カラスノエンドウが優勢なのですが、今年はスズメノエンドウがたくさん茂っていて面白かったです。スズメノエンドウってちょっとレアな印象なのは私だけでしょうか。木に絡みついて1m以上になっていたので、スズメノエンドウはカラスノエンドウ並みに伸びるんだなと驚きました。スズメノエンドウ、豆のミニチュアみたいで可愛いです……。ヘビイチゴもイチゴのミニチュアみたいで可愛いです……。
スズメノエンドウとヘビイチゴを少し残しました。人間のエゴですね。
草むしりの最中、繁殖行動に励んでいるダンゴムシたちを見ながら思いました。
虫ってものすごく怖がりな子がいて、部屋でクサギカメムシをつかまえようとしたとき、カメムシはダッシュで走って逃げようとしてつまづいて転んでいました。そしてプラスチック容器でつかまえると私の手を見て後ずさりしたり、触角をぷるぷる震わせたり、外に逃がしてあげてもピーンと爪先立ちのような姿勢で警戒していたりしました。しかし逆に私がプラスチック容器でつかまえても、危機が迫ってもぼんやり毛繕いしているような虫もいます。いや、毛繕いはぼんやりしているのではなく体のメンテナンスをして体勢を整えているのかもしれませんが……。
危機が迫ってもぼんやりしている虫は、失礼ながらちょっとおバカさんなのかと思っていたのですが、よく考えたら毎日が食うか食われるかの厳しい自然界の中で、ちょっとやそっとの危機でうろたえるようでは生き残れないかもしれませんね。オロオロと逃げ回れば体力も消耗します。個体が危機を回避しまくることより、一か八かでさっさと目的を果たすことを選んでいるのかもしれません。
そう思うと、他の虫が逃げまどっている最中にも繁殖行動に励んでいる図太いダンゴムシはこの先安泰なのかもしれません。庭にいっぱいいるところを見ると食べ物も豊富なようですし……。
いやでも臆病なクサギカメムシやツマグロオオヨコバイもたくさんいるので、そこは個性でしょうか。動物でもテレビや動画で見ていると、間違いなく人間を認識して反応している子と、人間を認識しているのかいないのかよく分からない子がいたりしますね。これもそれぞれの種族の選択なのでしょう。
虫も小さくても動物です。一見無表情でなに考えてるか分かりませんが、よく見ていると色々な仕草や姿形を見せてくれて面白いです。テントウムシの毛繕いなど小動物っぽくて癒されます。
なのであまり植物や虫の邪魔をしないで済む生活ってないだろうかと気になってしまいますね。近所で見かける雑草は外来種も多いようですが、在来種が外来種に取って代わられたくらいで地球が滅亡するのでしょうか。ニホンタンポポがセイヨウタンポポに代わろうが、オナモミがオオオナモミに代わろうが、きっと世界は続いていきます。在来種も外来種もすべて一心同体であり生物たちの選択である、という気もします。
それより核兵器や武器や憎悪の念が山ほど地球上にあることの方が間違いなく全生物にとっての脅威だし、アスファルトや建物の方が地上の面積を多く奪っているんじゃないかと思ってしまいますね。
……と、今日はこのような主張ですが気分次第でコロコロ変わります。以前は「このままでは在来種が滅んでしまう」とか「わざわざこの地に生息する野草を駆逐して、人の手で品種改良された外国の植物を植えまくるのが『自然』なのか? それこそ環境破壊ではないのか?」と書いたりもしました。
あっちの気分になったりこっちの気分になったり。この気分をうまく創作に使えれば良いんですけどね。あっちの意見とこっちの意見をキャラクター化して戦わせてみたりして。
あと大体今では在来種とか外来種とか知ったこっちゃなく、雑草はゴミ扱いですね。
草が生えれば虫が集まり、それが自然になるというのに、人類は何かもっと大きな自然を夢見ているような。(手つかずの森とか山とか滝とか?)
もっと身近な小さな自然と共存できないでしょうか。どこか遠くの未開の地ではなく、空想の世界でもなく、庭や道から誕生する野草や虫たちと……。
そうは思いつつ、もうすぐ家の中にルリジガバチやスズメバチが侵入してくる季節になると思うと頭が痛くなるのでした。理性は自然との共存を望んでいるのに、本能が拒んでいます。
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