写真の中の生き物は、永遠に生きているから好きです。
うっかり死なせてしまう心配もない。現実的な対立の心配もない。寿命を迎えることも、捕食されることもない。
現実では恐ろしい生き物でも……、人間社会との間に問題を抱えた生き物であっても、写真の中ではただ美しい。そう思うことが許される気がします。
カワウも、オオキンケイギクも、ムカデやハチやゴキブリも、みんな綺麗です。
死も争いもない穏やかな時間。一瞬を固定された、永遠に変わらない一枚。
たとえ気のせいだとしても、写真を通して生き物に語りかけ、こちらにもどこかから何かが届いているように感じられます。
それが一方的に思いを募らせる、独りよがりで身勝手な美化だとしても。
次に本物の毒虫に会ったら、本物はいつものように攻撃してくるとしても。
現実では何ら関係性が変わらないとしても……。
写真の中の姿は愛らしく、写真を見ている時間は平和です。
写真を撮ることも、創作の一つなのかもしれません。
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