うだつの上がらないエッセイ集(2)

思いつきで気楽に更新します。基本的に一話完結なので、お好きなページをご覧いただけると嬉しいです。
月澄狸
月澄狸

写真の中の世界平和

公開日時: 2021年12月21日(火) 02:25
文字数:410

 写真の中の生き物は、永遠に生きているから好きです。

 うっかり死なせてしまう心配もない。現実的な対立の心配もない。寿命を迎えることも、捕食されることもない。


 現実では恐ろしい生き物でも……、人間社会との間に問題を抱えた生き物であっても、写真の中ではただ美しい。そう思うことが許される気がします。

 カワウも、オオキンケイギクも、ムカデやハチやゴキブリも、みんな綺麗です。


 死も争いもない穏やかな時間。一瞬を固定された、永遠に変わらない一枚。

 たとえ気のせいだとしても、写真を通して生き物に語りかけ、こちらにもどこかから何かが届いているように感じられます。


 それが一方的に思いを募らせる、独りよがりで身勝手な美化だとしても。

 次に本物の毒虫に会ったら、本物はいつものように攻撃してくるとしても。

 現実では何ら関係性が変わらないとしても……。


 写真の中の姿は愛らしく、写真を見ている時間は平和です。

 写真を撮ることも、創作の一つなのかもしれません。




読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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