うだつの上がらないエッセイ集(2)

思いつきで気楽に更新します。基本的に一話完結なので、お好きなページをご覧いただけると嬉しいです。
月澄狸
月澄狸

足元に海

公開日時: 2021年3月8日(月) 01:08
文字数:581

 小学生の頃……


 水はけの悪い場所に雨の後、大きな水たまりがよくできていました。

 みんなが土を蹴って大穴が空いているブランコの下、そして校舎の玄関前……。


 水たまりには青い空や流れる雲が映り、風を受けてさざ波が立ち……

 青くて波がある、それはもう小さな海でした。


 空の水である雲が、地面に落ちた水に写っている。空はあんなにも高いのに……。


 その様子は不思議なものですね。小さな海に揺れる光景とさざ波を見つめていると、今自分が大きな船に乗って水面を眺めているような気分になったものでした。

 そして実際今も地球という大きな船に乗って回っているわけですね。


 大きめの水たまりにはたまに、プールから飛んできたのかアメンボがいることがありました。

 ヤゴのような虫がいたこともありました。カゲロウ幼虫だったのかもしれません。

 現れては消える小さな海ですが、新しく池ができたときなどは、こうやって生き物が集まってくるんでしょうね。



 地上では心配事がたくさんです。水たまりに生まれた生き物が干からびて死んでしまうのではないか、とか、命は儚いとか……。


 しかし小さな海に写る大空の広さは計り知れません。

 命は空から来て空に帰るのでしょうか……。私は何も知りません。


 小さな海には時に太陽も映ります。小さな鏡にも大きなものが写せるのですね。それは遠く離れているからこそ、全体像を映すことができるのかもしれません。



読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート