この間、虫刺されに関するテレビ番組を見ながら、「虫に刺された人って多いんだな~」「気を付けなきゃいけないことたくさんあるんだな~」と思っていました。
しかし、自分のことを思い返してみると。
私は幼稚園の頃から虫を追い回し、藪に入り込んだりしていたのですが、虫に噛まれたエピソードが数えるくらいしかないのです。
羽アリみたいな虫を網で捕まえ、それを素手で掴んだら噛まれたこと。
ムクムクと動く土を素手で掘ってみたら、何かに噛まれたこと。
家に入り込んできたムカデに噛まれたこと。
校外学習で足にヒルが付いて、噛まれたような気がすること。
……その程度しか、噛まれたエピソードが思い出せません。
これは不思議なことです。
私は、自ら虫に近づいてきました。それも、何が毒のある虫で、何が毒のない虫かといった知識もほとんどないまま。特に蛾など、何が毒蛾かも知らないのによく触っています。また、未だにヘビの見分けもつきませんが、ヘビを見たら追いかけたりしています。
これだと、人より多く刺されていてもおかしくありません。私は虫を探すのだから当然、虫除けスプレーとかもしていないのです(子どもの頃は親が時々かけてくれていたかもしれませんが……)。
虫を探す中で、申し訳程度に気を付けていたことといえば。
サシガメらしき虫はなんとなく怖いから触らなかったこと。派手なイラガの幼虫については、事前に毒があると聞いていたから眺めるに留めていたこと。ハチを見たら一目散に逃げること。その程度しかありません(ハチの前で一目散に逃げるなど、大きな動きも見せない方が良かったはずですが)。
近年も、噛まれそうだったけど噛まれなかったエピソードしかありません。
木に囲まれた小道を歩いているとき頭にポトッと何かが落ちてきたので、「ハチでも付いたのか?」としばらく固まっていましたが、その後服の袖で頭を払ってみたら、落ちてきたのはイラガの幼虫でした。
幸いイラガの幼虫も生きていたし(落として衝撃を与えてしまったので、その後どうなったか分かりませんが……)、私もなんともありませんでした。
あと、2年前の10月に、私がいつも持ち歩いているペンケースの裏に大きなムカデが付いていたことがありましたが、幸い私は微かな足音に気づいてムカデを発見し、その機会に接写もできました。
虫に対しては、うっかり潰してしまったりなど、申し訳ないことをしてしまうこともしょっちゅうです。私の方が大量に虫を殺しています。それにも関わらず、虫たちは何か、人間を攻撃しないように、ちゃんと予兆というか気配というか、小さな足音を発して知らせてくれている気がします。生き物のサインやメッセージに気づくことができれば、うっかり相手を殺してしまうことも、こちらが刺されることも減るような気がするのです。
土のあるところでしゃがむと、ダンゴムシの足音が聞こえます。地面を見ると、虫が歩いているのが見えます。そういうささやかな存在に、もっと気づいていけたらいいな……そんな風に思います。
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