「万里一空」
宮本武蔵の言葉だ。僕の学校では今、読書週間というものが行われている。僕は読書は嫌いじゃない……むしろ好きだ。ぼっちだから一人でできることが好きになったという可能性もある。
ちなみにこの言葉の意味は『目標に向かって努力し続けること』らしい。いい言葉だ。こういう言葉は好きだ……前向きになれる。
じゃあこの言葉を聞いたら努力するのかと聞かれると、そうでもない。僕は努力が嫌いだ。勉強も嫌いだからいつも流し読みをする。人と関わる為に何かを頑張るのも嫌だから、ぼっちでいる。
言い訳にしか聞こえないとは思うし、言い訳の部分もあるが、僕が周りに合わせようと努力していないから今の僕があるということも否定できない。
まぁ、僕がこんな考え方をしていいのかはわからないが……努力はしたほうが良いだろう、うん。僕はしないけど、努力は絶対にしたほうがいい。
努力したらそれを誇れるようになる。頑張ったという実感があるから。でも、だからといって努力した結果がすぐに出るわけでもなく、時間がかかる。
時間がかかるということは、諦める人も少なくない。もちろん、それでも頑張り続けている人もたくさんいるが。
……ホントに、努力が報われるまでの道は万里と言っても過言ではないだろう。だからこそ、誰もが努力は報われると信じ、そして頑張り続けようとする。ゴールは中々見えてこなくても。
「……あぁ、そこについては少し考えが違うかもしれない。私も努力は嫌いだし、しない。だが、人と関わることを努力だと思ったことは一度もない。そこが、私とソウスケくんの差なんだろうな。……そんな真面目な顔をするな。前々からわかりきっていることだろう。
さて、ソウスケくん。そんな君を喜ばせるためにも、一緒にお風呂にでも入るか?……ふふ、顔を赤めて、可愛いな。
え、入る?そこを頑張るなよ、クラスメイトに話しかける努力をしろよ。……なんだ、冗談か。
にしても、ソウスケくんも私に色々な顔を見せてくれるようになったな。最初の頃は睨まれてしかいなかったのに。私達が仲良くなったか、ソウスケくんが成長したか……。
理由は定かではないが、私達も人間。人と関われば勝手に変わっていくもだ。私はその変化を少し嬉しく思っているよ」
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