「If you can't fly then run, if you can't run then walk, if you can't walk then crawl, but whatever you do, you have to keep moving forward.」
英語の授業で聞いた言葉だった気がする。
意味は……つまりは何があっても前へ進め、という感じだろう。
自他共に「お前には似合わねぇ」と思う人が多いであろうこの言葉だが、実は好きだったりする。
何があっても前に進み続ける姿勢、それは僕には足りない部分だろう。面倒なことを嫌い、人と関わることから逃げ、ただひとりで考え続ける……いや、最近同居人はできたけど。
僕は何かが起きたら諦めるだろうし、這いつくばって進むかと聞かれるとNoと答えるはずだ。つくづくダメ人間だと思う。
というかそもそも僕は進むべき方向自体を理解できていない。この言葉の真意が『諦めないこと』という部分にあるとしても、進むことで諦めないことを表しているのなら、向かうべき場所はあるはずだ。
しかし、どこに進めばいいのか、完全に受け身な僕は自分では考えることができない。こういう余計なことを考えるのは得意だが。
まぁでも、今は何も考えず他の人と同じ方向でも良いだろう。もし別の向かうべき場所ができたとしても、その時に他の人たちと離れればいい。真反対なんてことはないだろうし。
勘違いされるかもしれないのでもう一度言っておくと、僕はこの言葉が好きだ。人はこうあるべきだと思うし、僕自身もこういう人間になりたいとも思う。でも思うことと行動に起こすのはまた別なわけで。
「歩けなくなったら歩けるまで休めば……いっか」
晩飯時にて。
「新生活にも慣れ始めたし、目新しいことが減っていっている……ソウスケくん、何か面白いことはないか?……ふむふむ、あぁその言葉か。
正直私は失敗自体をすることがないからな、その言葉の重さは理解できるがありがたみを感じたことはない。
しかし、私も人間だ。いつか失敗するかもしれないし、気付いてないだけで既に失敗してるのかもしれない。その時はお世話になるかもしれないな。
ソウスケくんはこの言葉を聞いたときどう思った?……なるほど、それはいい。
休んだとしてもまた歩き出すのなら、それは諦めてないということなんじゃないか?多分君は自分の中では『自分はすぐに諦める奴』と思っているだろうが、諦めたとしてもまた再出発してるやつは、それは諦めたのではなくただ休憩しているだけだ。
つまりソウスケくんはただただ体力のないひ弱な若者ということさ」
褒められているのか貶されているのか微妙なラインだが、人から自分の良い評価を聞くのは悪くない。人と関わると悪い評価も勝手に。聞こえてくるからそれは嫌だが。
というかあれは虚言なのかこの人が規格外なのか、どっちなんだ?この人は偶にこういう発言をするが嘘をついているようにしか見えない。
取り敢えず、僕と葵さんのタイプは真逆なので、気は合わないということだけは理解できた。
……いつもそれしか理解できてない気がするけど。
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