新しい環境、新しい場所、新しい出会い…
山田琴葉はそんな春があまり好きではなかった
学校生活というものは1年間でクラスを作り上げあっという間に新しい課題「新学期」というものを渡してくる
だからこそ今年もまた何も変わらない1年がやってくる。
不安や脱力でいっぱいのぬるい空気が流れる暖かくて重苦しい空気を切り裂くように教師は元気に声を張る。
「皆進級おめでとう!3年生は受験もって大変だと思うが、高校最後の年だ!青春して思い出も作ってこうな!今年3年4組の担任をするのは………」
(青春ね…青春なんて出来るのかな…
勉強もそこそこ、運動も特に出来るわけでもないし、友達は居るけど、なにかやってる訳でもないし。
男友達もいても所詮はタダの友達だし…青春…したいな)
長くつまらない担任の話を聞きながら琴葉は不安を胸に外を眺めてた。
「はぁ…」
「琴葉…琴葉!」
「んぇ?何?」
「何じゃないよ、1限目から新学期早々移動教室だって!」
「まじ?!ありがと〜!てか今年も一緒のクラスじゃん!ほのちゃんがいて助かった〜!」
「私もっ!琴葉が居ないとぼっちだったよ笑
早く行こ!」
微笑みながら琴葉と月本 穂乃香は化学室へ向う
琴葉は席に着くと気だるそうに口を開く
「1限目から化学とか地獄〜…」
「そう?私は化学すきだよ?」
「えー!なんで?!化学なんて難しいしつまんないよ…」
「まぁ確かに難しいよね」
「でしょ〜!あー今日何するんだろ…3年だしいきなり授業かな〜いやだなぁ…」
「まぁまぁ、でも、今年赴任してきた先生らしいよ!」
「どうせ化学の先生なんて臭いおじさんにきまってるよ」
「偏見すぎだって笑、まぁわかるけど」
しばらく会話を交わしていたらチャイムがなった
扉が開いて先生がはいってくる
「今日から3年4組の化学を担当する如月 怜です。よろしく」
「臭いおじさんじゃなかったね」
穂乃香が小声で笑ってくる
「まぁ悪くはなかったわ」
優しそうな顔をしてメガネをかけた若い先生
いかにも理系って感じ。なんか好きになれない
琴葉はつまらなそうな顔をして授業を聞き続けていた
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