ウサギに拉致されてからのダンジョン攻略

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017:能力の確認

公開日時: 2020年11月29日(日) 19:48
更新日時: 2020年12月1日(火) 11:15
文字数:4,070

 俺は四つの水晶を個人倉庫へと入れた。


 個人倉庫とは携帯端末に搭載された超が付くほどの謎技術で、ゲーム的な言い方をすればインベントリと呼ばれる異空間倉庫のことだ。


 さて、俺とカズが決意を新たにしたところなのだが、二人で出来ることといえば体力の底上げと、能力の用途の確認ぐらいだ。船には幸い訓練場もあるとのことなので、そちらに足を伸ばすことにした。


 自分の能力の限界を知るというのはとても大事なことだ。何が出来て何が出来ないか。


 例えば俺は、マジックハンドがどの程度の重さの物を持ち上げることが出来るのか。またどの程度の重さを投げたり出来るのかの確認を行っていく。


 重さの単位の基準に自分自身を選んでみた。ちなみに俺の現在の体重は75キロだ。


 以前は85キロだったことを考えると実に10キロのダイエットに成功したことになる。


 わずか三週間で。


 まぁダイエットに成功した話は横に置いておくとして、現在のマジックハンドの構成はこうなっている。


 総数12本の腕があり、内訳はマジックハンド一番から四番は自分の身長175センチの半分ぐらいの大きさで、自分を放り投げる力。握り潰す力。殴りつける力はかなりのもので自分の力より少しあるぐらい。五番から十二番の手の大きさは自身の手の大きさより少し大きいぐらいで握力等の力は自身の力と同じぐらいである。


 ここまで育てるのに稼いだ金額のほとんどを使っている。これからも育てようと思うと貯蓄に回せるのは当分、先となりそうだ


 また、一度に操作できる腕の数は、操作する内容にもよるが基本的にはニ本だ。こちらも努力の余地があるだろう。


 そんな感じで能力の確認を行っていると、一人の男性が話しかけてきた。


「よぉ」


 まるでプロレスラーのような脂肪と筋肉の塊に髭とソフトモヒカンが特徴の熊のような男性だ。身長は180センチは超えているだろう。190センチ近いかも知れない。


 俺は少し気圧されながらも相手をすることに。


「こんにちは」

「おう。こんにちは」

「何か御用でしょうか?」

「おう。何やら面白いことをやっているなと思ってな!」


 俺は首をかしげる。


「面白い事?」

「おう。何やらでかい手の上に乗って跳んでたろ?」


 俺は納得する。マジックハンドのことか。男が言葉を続ける。


「あれってなぁ、あれか? 俺を握りつぶせたり拘束したりは出来るのか?」

「あーたぶん無理だと思います」

「ちょっと試してみようぜ?」


 そういうと男が「こいや!」と言って構えた。


 俺は苦笑いを浮かべたが、まぁでも申し出は有り難いのでお言葉に甘えて試すことに。俺は一番と二番の手で男の上半身をスッポリと覆い、握り潰すべく徐々に力を入れていった。それが最高値に達した所で男が言った。


「ふむ。それなりに鍛えている成人男性に羽交い締めにされたぐらいか」


 そう言って男は軽々と拘束を解いてみせた。


 そしてカズの方を見た。


「そっちの少年はどうなんだ?」


 そう言われてカズは一度俺を見て、そして男性の質問に答えた。


「俺の能力は時間操作系で、あまり使用回数がないんですが……」


 すると熊男は真面目な顔で更に質問だ。


「この後、ダンジョンに潜る予定でもあるのか?」

「ないです」

「ならいいだろ?」

「……はぁ。まぁ」


 そう言って熊男がやはり「さぁ来い!」と言って待ち構えた。カズが能力を使う。使うのは対象の時間の感覚を遅くするスロウだ。


 それを受けた男の表情がニヤリと笑った。そしてカズは能力を解いて「以上です」と言った。しかし男は不満そうだ。


「これだけか?」

「これだけです」

「攻撃手段は?」


 カズが俺を見るので携帯端末の個人倉庫からハンドガンを出した。男が面白い物を見つけたと言わんばかりに獰猛に笑う。


「ほぉ。銃か!」


 男はそう言って手を差し出してきたので俺は戸惑う。


「どうするんです?」


 すると男は「今度は俺の能力を見せる番だろ?」と言って、強引に銃を俺から取り上げてしまった。そして自身の眉間にハンドガンを当て発砲したのだった。

 俺は四つの水晶を個人倉庫へと入れた。


 個人倉庫とは携帯端末に搭載された超が付くほどの謎技術で、ゲーム的な言い方をすればインベントリと呼ばれる異空間倉庫のことだ。


 さて、俺とカズが決意を新たにしたところなのだが、二人で出来ることといえば体力の底上げと、能力の用途の確認ぐらいだ。船には幸い訓練場もあるとのことなので、そちらに足を伸ばすことにした。


 自分の能力の限界を知るというのはとても大事なことだ。何が出来て何が出来ないか。


 例えば俺は、マジックハンドがどの程度の重さの物を持ち上げることが出来るのか。またどの程度の重さを投げたり出来るのかの確認を行っていく。


 重さの単位の基準に自分自身を選んでみた。ちなみに俺の現在の体重は75キロだ。


 以前は85キロだったことを考えると実に10キロのダイエットに成功したことになる。


 わずか三週間で。


 まぁダイエットに成功した話は横に置いておくとして、現在のマジックハンドの構成はこうなっている。


 総数12本の腕があり、内訳はマジックハンド一番から四番は自分の身長175センチの半分ぐらいの大きさで、自分を放り投げる力。握り潰す力。殴りつける力はかなりのもので自分の力より少しあるぐらい。五番から十二番の手の大きさは自身の手の大きさより少し大きいぐらいで握力等の力は自身の力と同じぐらいである。


 ここまで育てるのに稼いだ金額のほとんどを使っている。これからも育てようと思うと貯蓄に回せるのは当分、先となりそうだ


 また、一度に操作できる腕の数は、操作する内容にもよるが基本的にはニ本だ。こちらも努力の余地があるだろう。


 そんな感じで能力の確認を行っていると、一人の男性が話しかけてきた。


「よぉ」


 まるでプロレスラーのような脂肪と筋肉の塊に髭とソフトモヒカンが特徴の熊のような男性だ。身長は180センチは超えているだろう。190センチ近いかも知れない。


 俺は少し気圧されながらも相手をすることに。


「こんにちは」

「おう。こんにちは」

「何か御用でしょうか?」

「おう。何やら面白いことをやっているなと思ってな!」


 俺は首をかしげる。


「面白い事?」

「おう。何やらでかい手の上に乗って跳んでたろ?」


 俺は納得する。マジックハンドのことか。男が言葉を続ける。


「あれってなぁ、あれか? 俺を握りつぶせたり拘束したりは出来るのか?」

「あーたぶん無理だと思います」

「ちょっと試してみようぜ?」


 そういうと男が「こいや!」と言って構えた。


 俺は苦笑いを浮かべたが、まぁでも申し出は有り難いのでお言葉に甘えて試すことに。俺は一番と二番の手で男の上半身をスッポリと覆い、握り潰すべく徐々に力を入れていった。それが最高値に達した所で男が言った。


「ふむ。それなりに鍛えている成人男性に羽交い締めにされたぐらいか」


 そう言って男は軽々と拘束を解いてみせた。


 そしてカズの方を見た。


「そっちの少年はどうなんだ?」


 そう言われてカズは一度俺を見て、そして男性の質問に答えた。


「俺の能力は時間操作系で、あまり使用回数がないんですが……」


 すると熊男は真面目な顔で更に質問だ。


「この後、ダンジョンに潜る予定でもあるのか?」

「ないです」

「ならいいだろ?」

「……はぁ。まぁ」


 そう言って熊男がやはり「さぁ来い!」と言って待ち構えた。カズが能力を使う。使うのは対象の時間の感覚を遅くするスロウだ。


 それを受けた男の表情がニヤリと笑った。そしてカズは能力を解いて「以上です」と言った。しかし男は不満そうだ。


「これだけか?」

「これだけです」

「攻撃手段は?」


 カズが俺を見るので携帯端末の個人倉庫からハンドガンを出した。男が面白い物を見つけたと言わんばかりに獰猛に笑う。


「ほぉ。銃か!」


 男はそう言って手を差し出してきたので俺は戸惑う。


「どうするんです?」


 すると男は「今度は俺の能力を見せる番だろ?」と言って、強引に銃を俺から取り上げてしまった。そして自身の眉間にハンドガンを当て発砲。


 止める間もないほど、あっという間の出来事だった。


「死……んでない?」


 男は笑ったまま不動で、さらに銃を眉間に当てたまま発砲していくがまったくの無傷なままだ。唖然とする俺に男が自己紹介を始めた。


「俺はチーム『スレイヤー』のリーダーをやっている、倉持堅師《くらもちけんし》だ。堅師と呼んでくれ。能力名は『不動の構え』という。まぁ見ての通り攻撃を無効化する能力だ。よろしくな!」


 これに俺が驚きの声を上げる。


「攻撃の無効化って、それって無敵ってこと?」


 すると堅師は笑って首を左右に振った。


「はっは。そんなに便利なものではないな。無敵時間で居られる時間は現在の所7秒だ。それに攻撃手段が乏しくてな」

「普段は何を使っているんですか?」

「斧だ。バトルアックスってやつだな。片手で扱えるやつな。それを二本持ちしている」


 大きな体から振るわれる斧の威力は相当なものだろう。しかし堅師は言った。


「この前、中級ダンジョンでオークっていう二足歩行の豚と対峙したんだが、倒すのに手間取っちまった。肉が分厚くてな。ありゃ人間の腕力じゃどうにもならん。他にもリザードマンってやつもだ。皮が相当に硬い」

「倒したんですか?」

「いや。オークは何とか倒せたがリザードマンは倒せなかった。オークは一匹だったが、リザードマンは川辺で群れで生活しているらしい。一匹が敵に気がついたら群れで襲いかかってくる。群れと言っても5,6匹ほどだが。だが一匹でも手間取るのに、それが5匹も6匹もいたんじゃあ無理だ」


 そう言って、少し考え込んだ堅師は、俺達を見て「もし、湿地帯のあるダンジョンに向かうなら気をつけろよ」と言って去っていった。


 カズが「何だったんですかね。あれ?」と言って首を傾げた。俺は「たぶんだけど……」と断ってから予想を話して聞かせる。


「たぶん、そのリザードマンの皮の鎧を突破できる能力者を探しているのかもな。俺たちはお眼鏡に適わなかったらしい」


 カズが納得した所で俺はひとまず帰ることを提案した。それにカズが頷き、宿泊施設へと戻ったのだった。

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