12名による合同の演習。まずはお互いの能力を知ることから始まった。
索敵に適した能力者は二人。
一人はスレイヤーズの倉井という人物の能力。能力名はレーダーという能力で、周囲の視認した範囲を自身の作り出した地図に自動で書き込むことが出来る能力だ。
地図を見せてもらったが、さながら3D地図のようだ。
そしてもう一人の索敵に適した能力者の能力と組み合わせると凄いことになることも分かった。
もう一人の能力者がムッキーズのリーダーであるムッキーだ。
「出てこい。ネズミたちよ。鳥たちよ!」
というわけで動物を召喚する能力だ。しかも彼の能力はそれだけに留まらず、この召喚した動物たちと視覚を共有できる事もできるらしい。しかもその見ている情報をそのまま他の人にも見せることもできるとのこと。
つまりどういうことかと言うと、ムッキーのネズミや鳥たちが知り得た情報を、そのまま倉井に見せれば、あっという間に周囲一体の状況を丸裸にできるというわけだ。
事実。倉井の地図は、ものすごい勢いで敵の数から種類まで、また周囲の地形から状況までを余すこと無く表示されていっている。
スレイヤーズのケンシが笑う。
「これは便利だ。これなら敵に怯えずに目的の場所まで進めるな!」
というわけで12名が進む。進む先は魔物の居るエリアだ。
最初は初級ダンジョンでお試しの訓練を行っている。ダンジョンは森林ダンジョンを選んだ。
索敵の二名を中心にして残りの10名が四方を固める布陣だ。3チームの能力者をそれぞれ配置してある。
ちなみに俺たち『チームハル』は全員が中央で四方のバックアップが仕事。
敵の奇襲は索敵を担う二人の能力で警戒する必要がないが、罠はそうは行かない。
これは自分たちで警戒しなくてはいけないので、慎重に進む。
この罠だが初級だと膝までの落とし穴だったり、草同士を結んで作った簡易のくくり罠だったりと致死性の低いものばかりだが、それでも驚くものは驚くし魔物に襲われている時に不覚を取れば命はない。
それに今回は中級や上級へ向けての練習なので、ちゃんと警戒することになった。
まぁそれを担うのは四方を守るメンバーの主な仕事なのだが。
サーチ・アンド・デストロイ。敵は見つけ次第に殲滅されていく。流石に初級ダンジョンだと相手にもならない。それぞれがそれぞれの役割を担い、あっさりと森のダンジョンや市街地ダンジョンなどをクリアしていった。
3チームのまとめ役に収まったケンシが頷く。
「うん。初級ダンジョンは問題なさそうだ。中級ダンジョン攻略を進めよう」
こうして俺たちは中級ダンジョンへと進むことになったのだが、その前に改めて交流会をやろうということで、宿泊施設の大広間を借り切ることとなった。
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