序章 ユキは願い、決意する
一章 アスカは知り、気付く
二章 アスカは悩み、分かち合う
始まりは、彼女の笑顔だった。子供のように無邪気で、花のように可憐で、宝石のように美しい。人を幸せにさせる彼女の笑顔が、私は好きだった。
失踪した恋人の帰りを待つ友人を襲ったのは、その恋人の死を知らせる不思議な夢。俄には信じがたいその夢は彼女を深く傷付け、酷く悲しませた。
彼女には笑っていてほしい。そう思った私は、彼女に寄り添い続けることを決める。彼女が再び笑顔を取り戻せるように。
しかし、それを境に私の身の回りで不可解な出来事が起こり始める。アパートの一室で怪現象に遭い、親しくなった大学生は行方不明になり、妹は傷害事件に巻き込まれた。
友人の存在に助けられながら、私はそれらの出来事に向き合っていく。けれど、あるとき私は、それらの出来事の背後に友人が見たものと同じ不思議な夢が存在することを知る。そして、それを知った時、事態は思わぬ方向に傾き出して──