リョウさん?
って誰だ…??
「ああ、はい、そうです」
その一言で場が大いに盛り上がる。
有名人…とか?
私ともう一人、色白で高身長な人が分からないという表情を浮かべている。
「え、もしかして知らないんですか?!」
「有名なタレントの人ですよ!」
…なるほど。
「え、リョウさんに仕掛けられたドッキリとか」
「あ、それだ!」
男性たちの目に希望の光が宿り始める。
「うーん…残念だけど、そうじゃないみたいです…」
それに対して眉毛を下げながらそう言うリョウさん。
「どうして分かるんですか?」
「まず芸能人じゃない人を何の前触れもなくどこかに連れていくことは有り得ないです。
それに、僕の記憶が間違っていなければここに来る前は仕事から帰る途中だったので…何かの企画ではないはずです…。」
「はー…ドッキリって言ってくれよ…」
「俺まだ死にたくないよー…」
さっきの盛り上がりが嘘のようにまた広がる重苦しい空気。
一縷の望みも虚しく、自分たちが何かに巻き込まれてしまったという事実が突き刺さった。
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