ALGSは知能を持たない。ただありとあらゆるものを破壊するためだけに生まれてきた存在。
ALGSには、銃や爆弾といった攻撃が一切通用しない。だが一切攻撃手段が無いというわけでもない。
ALGSに通用する武器が──【フォトンライト】という対ALGS用に作られたものだ。
フォトンライトは特殊な鉱石である「フォトンライト鉱石」を使い作られている。このフォトンライト鉱石はALGSの体内にて作られていて、この鉱石はALGSがエネルギーを貯蔵しておく器官でもあるため回収には大きな危険が伴う。
そんなフォトンライト鉱石は武器以外にもALGS避けの結界や色々なものに使われている。
超次元戦闘型武装集団
通称──【グレイプニル】
それが俺らの所属するチームの名前だ。
以前までは【自衛隊】と呼ばれていた。そう──ALGSが現れるまでは。
2080年8月10日
11時20分
今おれは、どこにいるかというと──
「やってきたぞー!海っ! 」
俺は今、高校の夏休みで海に来ている。
別に一人で海にきているわけではない。
【Free life Club】訳してFLCという帰宅部のメンバー3人と一緒に遊びに来ている。
「何そんなにはしゃいでんだよ陽気!」
俺は陽気。FLCのリーダーだ。そして今俺にツッコミを入れてきたのは宝鐘創我。FLCの副リーダーだ。緑色の髪にモヒカンというとても特徴的な容姿の彼は、FLCでも一二を争う程の生粋のオタクである。仲間思い、そしてどんな女性でも男性でも愛せる心の広い持ち主でメンバーに慕われている。
「海に来たらはしゃぐのは当然だろっ!」
「はぁ……陽気。さっきまであんなにエナジードリンク飲んでたじゃん。急に動いたら吐くよ。」
俺にド正論をかましてきたコイツは大空祐醒。彼は長めの黒髪、そして真っ白い肌が特徴のFLCの頭脳担当である。顔の半分ほどが髪で隠れていてあまり視界が広くないため、よく壁や柱などにぶつかっている。
そして隣でスマホをいじっているのが、霧ヶ峰信也。青髪のマッシュルームヘアの彼はFLCの自称イケメン担当で、暇があれば自撮りをしているちょっと面白い奴だ。
「大丈夫!大丈夫!俺は吐く自信ないから……っ⁈」
「陽気……急にどうしたんだっ?」
創我が心配そうに聞いてきた。
「ちょっと吐き気が…おえっ…。うげろヴぇろヴぇろごっ…。」
砂浜には、俺が海に到着するまでに飲み食いした物がすべて吐き出されていた。
「はぁ……まったく。だから言ったじゃないか。」
祐醒は呆れたようにそう言うと、優しく俺の背中を擦ってくれた。
「陽気トイレに行ってこい。祐醒もついて行ってやってくれ。」
創我がそう言うと「了解!」と返事し、祐醒は俺と共にトイレがある海の家へ歩みを進めた。
11時35分
外で大きな爆発音が聞こえた。その数秒後大きな揺れが俺と祐醒を襲った。
「――っ⁈ おい祐醒っ! 祐醒大丈夫かっ?」
俺は急いで呼吸を確認した。
「――よかったぁ。ちゃんと息してる。」
祐醒はさっきの揺れでどうやら気絶したようだ。祐醒を安全そうな所に避難させた後、俺は他の仲間のことが気になり海の家から出た。するとそこにはありえない光景が広がっていた。
砂浜には大きな岩が落ち、四足の化け物が次々にビーチにいる人々を殺していく。
俺は化け物に気づかれないよう慎重に創我と信也を探し始めた。
「おーいっ! こっちこっち!」
そんな声が聞こえ振り返ってみると、岩の陰から顔をだす創我と信也の姿があった。
次話へ続く……
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