自分は理路整然とした緻密な作品も好きですが、理屈抜きの熱い展開!というのも大好きです。
そんな「熱さ」がこれでもかと凝縮されているのがこの作品です。
この作品でとにかくすごいのがスケール感。冒頭が終わって次に戦うのがなんと神、始まって間もなくで神、いきなりスケールが凄い。
しかも読んでいく内に戦う相手の規模はどんどん大きくなり、最終的にはもはや並みの人間には正しく把握できない程の、読者の想像を果てしなく飛び越えていくとんでもない規模に発展していきます。
戦いも最初から苛烈ですが、強大な敵と相対する度にそのインフレ度合は加速していき、もはや文章として表現できる限界点ギリギリを突き進んでいきます。
いや、これ誇張じゃないんです、素人には何が起きているのかほぼ分からない。でもそんなスケール感を少年漫画の様にデフォルメして落とし込んでいるおかげで、ヴァーサスの戦いが熱く、激しく、カッコいい事がちゃんと伝わるんです。この表現力はお見事という他ありません。
もちろん登場人物もみな熱くてカッコいいですよ。
主人公のヴァーサスはもちろんですが、彼を取り囲む人々もまた力強く魅力的。話が進むにつれかなりのキャラが登場するのですが、誰もがきちんとした個性と生き様を持っているのにグッと来ました。ここもまた「熱い」ポイントですね。読んでいて胸に響くキャラが必ずいるはずです。
あらすじに「スーパー門番ほのぼのイチャラブ同棲スローライフアクションファンタジー」と書かれていますが、この言葉に嘘偽りは一切ありません。全ての要素がもの凄い密度の熱量と共に封入されており、それでいてちゃんと伝わる。
こんなハイカロリーでも胃に優しい作品はなかなかありません。小説だけで終わってしまうのがもったいない!
理屈じゃない熱さとカッコよさを求める方に、是非お勧めしたい一作です。