俺は、ネット用語で「誘拐犯御用達」の意味で使われてる車種のバンから降りた。
　人通りは、ほぼ無いが……いつ誰がやって来るか知れたモノでは無い。
　の拉致は、速やかに行なう必要が有る……。
　一体全体、どんな理由で、このが世にも有りがちなデスゲームの参加者に選ばれたのか知らないが……これも仕事だ。
　俺はの背後からガスマスクをして近付く。
　「道具」であるクロロホルムは、大昔の推理小説のように少量で気絶させる事は困難らしい。
　俺は、の肩を叩く。
　振り向く。
　俺はの顔にクロロホルムのスプレーを思いっ切り浴びせ……。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……♪」
　えっ？
　は大笑いしながら、どこかへ走り出し……。
『はい、一七番失敗です』
　耳に付けていたインカムから声がする。
『失敗の原因は、道具の選定でしたね。』
「いや、ちょっと待て、どう云う事だよ？」
　俺は無線機の向こう側の相手に、そう問い掛ける。
『あ〜、この説明何度目かなぁ……。あなたは、デスゲームの参加者を誘拐する為の要員として雇われたんじゃなくて、デスゲームの参加者として雇われたんですよ』
「へっ？」
『だから、このデスゲームの第一回戦は……「の拉致に失敗した者は首筋に埋め込まれた小型爆弾が爆発する」ってモノなんですよ』
　おい、待……

こんなデスゲーム有りかよッ?!