少女は歩いた。ひたすら歩いた。
少女は生まれ育った島をでて、ある物を求めて世界を旅している。
この世界には色々な島や動物、精霊、秘境、宝、神秘が存在する世界。もしかしたらどこかにドラゴンも存在するのかもしれない。
少女の名は、べリス・ティボウキナ。
ハイドランジア大陸にあるシード国の料理店「オイル」で彼女はお金を稼ぐため、そして情報収集の為に働き始めた。働いて1ヶ月、ある重要な事がわかった。それは少女が求める物を見つけるのは凄く難しい事だ。「船」「整備士・航海士」「伝説島」この3つが関係している。まず、その島は伝説の島らしく、なんと空の上にあるそうだ。雲のように動いていて雲の中にある伝説の島だそうで、そこに行き着けるかどうか。その島は1つではないそうで、幾つも存在する。そこに行くための、専用の船。船というよりかは、空を飛ぶ船だそうだ。これがなければいけない。そして、それを飛行させる舵取り、航海士、整備士が必要だ。
この情報は、飲食店に足を運んだ旅人から聴いた話である。
べリスはまず、整備士・航海士を見つけることにした。そいつは男性という情報。しかも、その男は飛行艇を整備出来るたった2人しかいない。しかも1人は亡くなったそうだ。その人は航海技術もあるので、その人さえいれば、船はまず安心だと旅人に言われた。さらに、その男は伝説の整備士と言われるほどの実力だそうだ。べリスは必死になって、男を探したが、今までよりなにも掴めなかった。それもそのはずで、その男は凄く保守的で用心深いと聴いた。
べリスは寝ずに働き、自由な時間では情報を得るために出かけた。あまり寝れない日が続いて何ヶ月間が経ち、ここでは無理だと感じた。情報もないし、もっと遠くに行きたいと考え、飲食店を辞めようかと思った頃だった。少し小汚い男性が飲食店オイルを訪れた。いかにも旅人のような格好をしていた。バッグ1つで旅をしていたのだろうか。そんな彼をみてべリスは思った。私はバッグ1つとキャリーバッグを持って島を出てきた。彼よりかは裕福なのか。
もちろん、男性と女性で、身だしなみや服装や、持ち物は変わるので、それはそうだ。違うのは当たり前だ。そんな彼を淡々と入って来て、椅子に座るまでを見ていた。すると、注文に呼ばれた。これには、べリスが行くことにした。どこか、気になるところがある。
〈べリス〉いらっしゃいませ! 何にしますか?
〈男性〉ん〜 干しダラ、バカリヤウのコロッケ、カルド・ヴェルデ、メロンジュースで
〈べリス〉かしこまりました
べリスは注文を終え、厨房に伝える。思ったのは、あの男結構頼んだということ。
男だからあれぐらい食べるのか、と思うのだが一つ一つの料理は大盛りで、男性でも食べきれないほどだ。特にこの干しダラは大きな鱈がそのまま出てくる。1匹、2匹のレベルではなく、6匹は出てくる。コロッケだって、そこまで量は少なくないし、そして、スープのカルド・ヴェルデ。本当に全部食べきれるのか疑問だが。
こうして、早速メロンジュース、コロッケ、干しダラ、カルド・ヴェルデの順で料理がその男のテーブルに運ばれた。小さめの丸いテーブルだったので、あっという間に料理でテーブルが埋め尽くされていた。食べてる途中、男はウェイターを呼んだ。また、べリスが行く。メロンジュースを頼んできた。そのときだった、少しエッチなバニーガールみたい制服の腕からタトゥーが見えてしまった。すると、男はそれを見て、応えた。
〈男〉蜘蛛の一族?
べリスは驚いてしまった。そう、べリスの左手腕には蜘蛛と蜘蛛の巣のタトゥーが彫ってある。実はこのタトゥーはべリスの生まれた故郷、島の一族の言わば紋章のようなもの。ほかの人が見ても、このタトゥーを見て、「蜘蛛の一族」とは言わないだろう。ちなみに蜘蛛とはそこまで関わりはない。そもそも、その一族を知る者は少ない。
〈べリス〉なぜ、それを?
〈男〉早く、メロンジュースを……
べリスは言われるままにメロンジュースを入れ、男に提供した。
その後は怪しいところは何一つ無かった。あの言葉は一体何だったのか。気にはなっていた。
男は本当に食べ終わると、店をでた。
べリスは気になりすぎて、制服を脱いで、店長に頭を下げた。
〈べリス〉すみません! 今日で辞めます! 今日の給料なしで大丈夫です!
基本的にこの国では給料は、日給がほとんどで今日仕事すると、その日の終わりに貰える。
そう言って、べリスが店を出ようとしたところに、女店長は腕を掴んで微笑んだ。そして、給料袋を渡し一言いった。
「頑張りなさい」
その言葉に思わず、涙が出そうになった。でも、モタモタはしていられない。早く追いかけないと見失ってしまう。
〈べリス〉ありがとうございました!
そう、店内にも聴こえるほどの大きな声で店長にお礼をいい、店の扉を押した。上にかけてあるベルがなり、べリスは店を後にした。
べリスは先程の男を追いかけた。男はすぐに見つかり、そして男を呼び止めた。
〈べリス〉あの! まってください! ミサンガしたそこのおじさん!
男は、腕にミサンガをしていた。赤と白色のミサンガだ。
すると、その男は立ち止まった。そして、振り向いた。
〈男〉君は? さっきの?
男は、驚いたような顔でべリスを見ていた。
その男の正体は。
べリスは、母の形見を見つけることが出来るのか。
ー ♯1 探しき少女と男 ー つづく。
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