このお話は以前読み企画で読ませていただいたのですが、この小説はまさに今の時代でないと読めない小説なんですよね。紆余曲折あってスケルトンにされてしまった主人公ケビンと、ヒロインである美少女コレットちゃんとのすれ違いファンタジーコメディなのですが、まあとにかくすれ違う。
すれ違うというより、生身の人間とスケルトンですから、すれ違い以前に会話が成り立つ下地が無い!だって冒険者とモンスターだからね。狩る者と狩られる者です。
じゃあどんなラストになるの?という大きな疑問と興味がこの物語の主軸です。
が、まあすれ違うすれ違う!スケルトンのケビン目線での物語と、冒険者であるコレット目線でそれぞれの考えや環境も語られて行きますが、これが決して組み合わないパズルみたいにすれ違いが続きます。このすれ違いの様式美を楽しむ、という前提が必要になって来ますが、それができるとこの物語は更新のたびにニヤニヤしたりモヤモヤを楽しめる物語に変貌します。
そして、この辺りは作者さんの表現力だと思うのですが、ケビンが一目ぼれしたコレットちゃんがかわいいのですよ。なんだかんだでいい子だし、ケビンが一生懸命になるのも分かるし、「いつか分かり会えるのでは?」という気にさせてくれます。
つまり、展開の仕方も作者さんの創り上げた様式美の一つなのですよね。読者に対してのそういったもてなし方をしているわけです。
どのあたりで大きな進展が来るのか地味に更新を楽しみにすべき物語なのですが、それまでは良い意味でのお約束であるすれ違いをじわじわ楽しもうと思ってます。というわけで、たまには落ち着いたペースでそんな空気を楽しみたい、という方にお勧めの物語です。
あと、自分が異世界転生して不幸にも冒険でスケルトンになった時の為に読んでおくのもありでしょう。
これは、そんな物語なのです。