【完結】スケルトンでも愛してほしい!

女冒険者に一目惚をしたスケルトンのすれ違いコメディー!
コル
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コレットの書~発生・2~

公開日時: 2020年10月31日(土) 12:00
文字数:2,334

 カルロスさんも現役だったら、カルロフさんみたいに重厚な鎧を着てここにいたのかしら。

 ……先にカルロスさんを見ていたせいか、カルロフさんのきちっとしている鎧姿がすごい違和感。

 

「ゴホン。では、この不肖カルロフ・レガイタスが今回の依頼の内容を説明します! よろしくお願い致します!」


 それにしても大きな声、屋外ならともかく屋内でそんな大声を出さなくてもいいじゃない。

 口調からしても性格が何か堅そうな感じがするし、私の苦手なタイプかも。


「各班は手渡された地図に描かれた円の範囲を捜索、ジャイアントスネークを見つけ次第討伐! 以上であります!」


 短っ! しかも、内容はグレイさんから聞いていた事だし。

 それってわざわざ注目させて言う事なのかしら。

 

「何かご質問等はございますか!? ……無いようですので、これにて終わるであります! 各自たのみましたぞ!」


 他の冒険者さんたちが一斉に立ち上がって動き始めた。

 けど、同時に入り口に行ったせいで詰まってる。


「ありゃあしばらく出られないな、少し待つとしよう」


「そうですね」


「うっス」


 そうだ、今のうちにケビンさんのプレートの事を話しておこう。


「グレイさん、これを見てほしいんです。昨日、遺跡で見つけました」


「ん? 冒険者のプレートがどうかし……っ! これはケビンの!? ――っコレット!」


「あいた!」


 グレイさんが私の肩を力いっぱい掴んできた。

 あれ? この状況は……まさか……。


「遺跡のどの辺りで拾ったんだ!?」


 ぎゃあああああああああああああ!

 やっぱり、体を前後に揺らしてきたあああ!


「いいいいますからあああ! ははは放してくくくくださいいいいいい!」


 グレイの力でそれをやられると、首の骨が折れそうなんだってば!


「先輩! ストップ! コレットさんが死んじゃうっスよ!」


「――あ。すまん、取り乱した……」


 ……助かった~。

 マークさんが止めてくれて良かった。


「いっ、いえ。ふぅ……え~と、拾ったのは私がゾンビに襲われた場所なんです」


「あんな所に? そんな馬鹿な、あの辺りは何回も探索したぞ」


 そこなのよね。

 グレイさんは長い間、遺跡を捜索しているのに見逃していたなんてありえない。


「となると、考えられるとすれば。ここ数日遺跡内が荒れに荒れた影響で出て来たか、モンスターか動物かが何処からか拾って来たか。うーん……今すぐにでも、その落ちていた場所を調べに行きたいが……」


 グレイさんが、机の上にあるジャイアントスネークの絵を悔しそうに見てる。

 その気持ちわかります……私もそうだもの。


「さすがにジャイアントスネークをほってはおけない。遺跡に行くのは、この件が片付いてからだな」


「そうですね……」


 人が襲われる可能性がある以上、こっちが最優先。

 もう~タイミングが悪いな~。


「あのーそのプレートがどうかしたっスか?」


 私達にとっては重要なプレートだけど、マークさんにとってはただのプレートだから不思議そうにしている。当然と言えば当然よね。


「このプレートはですね――」


「――グレイ殿!」


 ……また、でかい声に遮られた。


「何だよ、カルロフちゃん」


 ブッ! まさかの兄弟そろってちゃん付け!?


「その呼び方は止めろと何度も言っているでないか!」


 何だ、グレイさんが面白がって言っていただけか。


「ゴホン! それより今回の件、私に押し付けただろ?」


 あ~やっぱりそうだったんだ。


「……何の事か俺にはわからんな」


 だったらグレイさん、何で目線を横にずらしているんですか。


「とぼけるな! 今のリリクスに四つ星冒険者はお前しかいない! この話が行かないわけがないだろう! せっかく休養を兼ねて父上と母上に会う為里帰りしたのに、これでは意味がないではないか!」


「お兄ちゃんの事を忘れてるぞ」


「あんな奴は兄ではない、顔も見たくないわ!」


 そう言っても、鏡を見たら嫌でも見る事になるよね。

 だって、同じ顔だし。


「それとだ、先ほどから何やら話しているようだが……まさか、サボる算段をしていたのではあるまいな?」


 なっ!


「はあ? そんな話してねぇよ!」


「ふん。貴様の事だ、信用ならん。貴様等を監視する様にギルドと話してくる」


 ちょっと何よ、この人!


「待ってください! 私達はそんな話をしていません!」


「俺にもよくわからないっスけど、サボる様な話をしてない事はわかるっス!」


「ほう、では何の話……をっ!!」


「?」


 どうしたんだろう、急にカルロフさんの顔が赤く染まっちゃった。

 熱でも出たのかしら?


「……おっお嬢さん、お名前は……?」


「え?」


 周りに女の人はいないし、という事は聞かれたのは私?

 何で、いきなり名前を聞いて来たんだろう。


「あの、コレットと言いますけど……」


「……コレット殿……良い名前だ」


「はあ……」


 これは、どういう状況かしら。


「おっと、失礼。自己紹介がまだでしたな。私の名前はカルロフ・レガイタスと申します」


 知っています。

 さっき大声で言っていましたし、グレイさんからも聞きましたし。


「それで、何のお話をしていたのですかな? 是非、あなたのお口から聞きたいです」


 ――ゾワッ!

 何!? 何か寒気がした!


「えと、あの、その、話していたのは――」



「――という訳、なんです……」


 一通りケビンさんの事を話したけど……。


「ぽー……」


 話している時、ずっと私の方を見続けてぽけ~としていた。

 何なのよ、一体。


「あの、私の話を聞いてました?」


「ハッ! 無論です、一字一句聞き漏らさずに聞いていましたとも!」


「……ならいいんですけど」


 本当かしら。


「んん、事情は分かりました! 実に素晴らしい! よろしい、不肖ながらこのカルロフ・レガイタス。コレット殿の為にケビン殿を探すお手伝いをします! さあ、共に遺跡に行きましょう! 今すぐに!」


「はいっ!?」


 今すぐって、また何を言い出すのよ! この人は!?

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