ダンジョン二層へと続く階段を降りた先も森に囲まれた道だった、しかし一層の森とは木の種類も違っている、一層の森は針葉樹林だったが二層は一層よりも背の低い沢山の種類の木が所々生えている、雑木林が続いてる感じだ、雨が降ってないのは助かった
落ち葉の積もった道を進むと栗毛の兎がピョンと道に飛び出して来た、頭に角がある、兎ではなくアルミラージってモンスターか、アルミラージは角の生えた兎のモンスターでスライムの様に雑魚モンスターとして定番の種族だ、赤い目に黄色がかった20cm程の角、体長は30cm程度だ。危険な感じは全く無く寧ろ可愛い見た目だ。
そのアルミラージが僕に気付き僕へ突進してきた
(速っ!)
弾丸の様に跳び上がったアルミラージを僅かに身を攀じる事でギリギリ直撃を回避出来た、アルミラージはそのまま後ろの木を貫通して更にその後ろの木に突き刺さった。アルミラージが貫通した木がメキメキメキッと破裂音を響かせ倒れる
「うそぉ〜…」
今は偶々避けれたが真面に相手なんかしてられない、鑑定を掛けながら走り寄る
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種族・アルミラージ
Lv・5
HP・120
MP・20
SP・110
STR・150
VIT・120
INT・15
MND・18
DEX・19
AGI・150
LUK・4
スキル・[突撃]
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やっぱり、装備品によるステータス補整を入れてもAGIで負けている、アルミラージは木に突き刺さった角を必死に抜こうと暴れている。角が抜けて自由になればAGIの差で滅多打ちに合うかもしれないので僕は急いでアルミラージを突き刺した。
ポフッと煙となって消えたアルミラージは米粒大の魔石を残した
「おおー、尻込みせずに何とか初見で勝ったぞー、でもこんな弾丸みたいに跳んでくるモンスターが群れで来たりしたら詰みだなぁ」
自分で言っててフラグかな?と思った矢先にまたピョンとさっきの倍程もあるアルミラージが道に出て来た、今度のヤツは色も紫がかって毒々しい、角もハッキリとした黄色だ。もしかしてさっきのは子供のアルミラージだろうか、コイツが親だってりして?とアルミラージが出て来た方に目を向けると数十匹ものアルミラージがピョンピョン跳ねて此方へ向かって来る、親ではなさそうだがバレたら詰みだ!僕はそそくさと木の陰に隠れた。
(あっぶなぁ〜、言った側からゲームオーバーになるとこだった、やり過ごそ)
さっきの子アルミラージの大きさから考えてもこの群れの危険度が窺える、一瞬で挽肉にされてしまうだろう
群が去って暫くは物音を立てずに慎重に待つ
(よし、良いかな、ふぅ)
僕は気を緩め木に凭れ掛かる、するといつの間にか目の前に猿が居た
「うおっ⁉︎焦ったぁ〜何だ猿かよ…、シッシ!あっち行け」
「キャアーーーーーッキャッキャキャーーーーッ!!」
僕が手を軽く振って追い払う仕草をした途端猿が叫びだした!硬質な壁を金属の爪で引っ掻く様な耳障りでけたたましい警戒音だ!
「ちょやめろ!おいっ!落ち着け、落ち着けってば!」
そんなに騒いだらモンスターまでやって来ちゃうだろが!と思ったらモンスターじゃなく奥から猿軍団が現れた
「ええーマジかよ、まあ猿くらいならいくらいても怖く無いけど、サッサと殲滅してやる」
大人しくさせる為に刀を抜こうと思ったら腰に下げた刀が無い
「え?あれ?何処行った?あれっ⁉︎」
「キャーッキャッキャッキャッ」
「あ、それボクの刀!」
目の前の猿が僕の刀でバシバシ地面を叩いている、いつの間にか猿にくすねられていた、油断も隙もない、てか拙い!攻撃力65万のミスリル刀を奪われるとか僕が死ねる!
「ちょ、返せ!お願い返して、あダメ抜かないで!そのまま!そのまま!抜いちゃダメー死ぬ死ぬ死ぬやめてー!」
願い虚しく猿は刀を抜き鞘をポイッとコッチに向けぶん投げた
フォンフォンフォンッカンッ!
顔をかすめ木に当たって落ちる鞘
「あっぶなっ!ちょやめてー」
ドパパパンッ!ドゴッ!メキメキメキメキッ!
猿と言い争いをしてるとその近くに居た別の猿軍団が数匹弾け飛び直線上の木に穴が空き倒れる
アルミラージの突撃だ!
「ゲェ!来たぁ!」
さっきのアルミラージの群が騒ぎに呼び寄せられ戻って来てしまった、猿が興奮して木に登りアルミラージ達に木の実や石を投げ付ける
「痛てっ!」
僕にまで投げなくても良いじゃないか
と言うか此処に立っていたら巻き添えで消し飛ぶ!横にも逃げれない!行き場が無く身を低くして頭を押さえるがアルミラージの突撃を喰らえば消しとんじゃう!
辺りをアルミラージの砲弾が飛び交う、刀を持った猿に突撃したアルミラージが偶々刃に当たり煙となって消えた、それを見た猿が猿らしからぬ表情でニンマリと笑い刀を無茶苦茶に振り回し走りだした、刃に当たったアルミラージが次々煙となる
「危ない危ない!それボクの近くでやらないで!ひぃぃーー!」
掠っただけで死んじゃうからー!
ピッ!
屈む僕の頭上を一瞬赤い何かが通り抜けたと思ったら辺りの木がザザッと倒れアルミラージや刀を持った猿も他の猿達も巻き込まれて死んでいる
「ゲェッ!赤スライム!」
こんな時に更に水圧カッターを飛ばす巨大赤スライムまで出て来ちゃった
アルミラージが突撃を咬ますがスライムの中に減り込んだ瞬間溶けて無くなった、猿達も流石に巨大スライムにはビビった様で一斉に逃げて行った、アルミラージは狂ったようにスライムに突撃してるし今が逃げるチャンスだ。
(モンスターってホント恐怖が無いのかね?どんな相手にでも死んでも向かっていくな、でも助かったー奴等が全滅する間に逃げよ)
刀を拾いカサカサと匍匐前進でその場から離脱する
(このまま安全圏まで行くんだ!ってあれ?静かになったな…)
身を伏せたまま辺りを見回すと巨大赤スライム以外既に居なかった
「全滅早っ!ええ〜どおしよ…でもコイツだけなら逆に大丈夫かな」
このスライムは殺気に反応するので倒し方は昨日で考えていた、僕は刀をスライムの上空へと投げる、刀はクルクル回りスライムに突き刺さり、巨大赤スライムはアッサリ煙となって消え去った
「やっぱり、殺気を向けなければ無反応なんだな、今回のはスライムに助けられたなー」
あと刀の攻撃力だ、どんな相手も一刺しで倒せる、しかしこんな滅茶苦茶強い武器も使い方が分からないと宝の持ち腐れだ、帰ったらエメラダに頼んで地球人のトコに連れて行ってもらおう、きっと刀の使い方を知ってる人も居る筈だ、剣術をちゃんと教えてもらおう。
それから暫く道なりに進むと線を引いた様にイキナリ枯葉の積もる道からアスファルトの道に変わった
(…うん、最初の村の次はやっぱ最初の町、って事だな)
最初の町って設定なだけあって小さい、スタート地点の集落が
家5軒、最初の村が10軒くらい、そしてこの最初の町は50軒くらいかな、きっと、小さな町・山に囲まれている・古い町並み、とかってカテゴリーからはめ込まれたんだろう
あまり特徴の無い、おそらくアジアの何処かの町らしき場所を慎重に進むがまるでモンスターが居ない
(もしかしてRPG設定で町の中とか何かの施設内はセーフゾーン?ありえるなー)
今日探索してみてとりあえず剣術を覚えたいし、まだ半日しか経って無いけどこの町でセーブしてログアウトしようかなと思い、火起こしの為に近くの民家に入る
ガチャリ
「お、開いてる。お邪魔しまーす」
「はーい」
「「……誰ッ⁉︎」」
奥から聞こえて来た有り得ない筈の返事に恐怖で一瞬で毛が逆立つ、直ぐに刀を構えガタガタ震える
(あわわやっぱセーフゾーンなんて無かったんだヤバババ!喋るモンスター⁉︎どれだけの知能⁉︎いきなり難易度バグってね⁉︎)
「…だ誰かいるの?」
(ひいぃぃ呼び掛けられた!ゴースト⁉︎返事したら呪い殺されちゃうっ⁉︎)
ギシリッ…ギシリッ…ギシリッ…
近付いて来る、恐怖で手が震え構えた刀がカチャカチャ言ってる
(来るうーーーオバケ⁉︎オバケか⁉︎)
あれっ?ゴーストなのに足音がするかな?と一瞬考えた時、角の先からソォっと人影が現れた
「あ、やっぱいんじゃん!返事してよもー」
派手な雰囲気の女の人が気を抜いた様に近付いて来る
「え?人間?」
(何で?何かのイベントか?)
「うわっヤッバ!キャワ!!有り得ないんですけどー!え?モデル⁉︎モデルなの⁉︎可愛いー!てか何で日本刀持ってんのー?マジウケんだけどー、ねえアンタも1人なの?ウチも1人で寂しくて死ぬかと思ったしー、兎か!あはっ!」
(人間?やっぱ人間だよね?エメラダの仕込み?イベント?)
「ちょっと聞いてる?あ、アタシ愛夜実、月白愛夜実、白い月でツキシロ、愛する夜に実りをって書いて・ヤ・ミ、月白愛夜実17歳!女子高生!宜しくね、でアンタは?」
「あ、ボクはルシエル…」
0歳、神でーす
「可愛いーー!絶対日本人じゃないじゃん!じゃルゥって呼ぶね!アタシも好きに呼んで!ルゥお腹空いてない?この家メッチャお菓子あるよ!てか人ん家勝手に入ってんだけどさ、食べる?ね大丈夫?聞いてる?」
「だ大丈夫です…」
勢いに圧倒されルゥは混乱しております
こうしてJK月白愛夜実と出会った
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