神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
やほ

第47話 雷神

公開日時: 2020年9月25日(金) 00:00
文字数:4,097

エメラダの開いたウィンドウ、そこに映るのはクトゥルフ界の宇宙空間の何処かだ、密度の濃い魔素のせいか宇宙は薄明るく、画面中央には黒い太陽が怪異的な光を発している、まるで光と闇が逆転したかのようなネガティヴワールド、その摩訶不思議な世界観を鮮やかに斬り裂く青い閃光が発せられた


雷の如き青白い光の刃は光速を超え時空を斬り裂き星々を切断した、その天災を引き起こす超越者の凝縮されたエーテルは黒い太陽すらも燃やし蒸発させた、異界を破壊する者、同郷の者達からすら畏怖を込めて呼ばれた別名は雷神。真名をトールという、ユグドラシル界に置いて並ぶものの無い最強の神だ、蒼天を連想させる蒼い肌に雷線が疾るかの如き黄色の血管、頭部から発する超高密度のエーテルは具現化し雷髪と呼んでよく憤怒に燃える眼球は赫く赫く輝いている。トールは神眼を持ってしても捉える事は困難な光速の突きを繰り出す、体外へ発せられたエーテルは雷光となり時空へ干渉する、その破壊力は容易く天体を砕くがそれは喩えるならば拳速により発生した微風に過ぎず、見るべきはやはりその突き自体にある、大量のエーテルを練り上げた連突き、対象をその魂の存在事消し去る程の破壊力だ、超常の攻撃を止まない嵐の如く発し続けている


足場の無い宇宙空間でいつまでもトールの攻撃を受ける者、それは異界の名も知らぬ女神だ


「あははははははははははっ!お前面白いよ!こんなに愉しいのは久しぶりだ、もっとワタシと遊ぼう!もっと愉しませてよ!」


「小娘がっ!直ぐに浄化させてやる、そこに直れぃ」


「あははもっと激しく攻めてワタシに1発挿れてみなよ、アンタ最近ここの神々を殺しまくってるヤツだろう?」


激しいトールの連撃を全て避けて高笑いをする女神、直撃すればタダでは済まないという事を理解しそのリスクとスリルに快楽を感じる異常体質だ


「もっと!もっとぉーー!ほらぁっ!」

女神がトールを上回る速度でカウンターを発しトールの顎を蹴り上げる!ドンッとお互いのエーテルがぶつかり合い爆発する、カウンターを喰らった筈のトールはその攻撃には微動だにせず更に攻撃を続けた


「はっ!頑丈だなぁ!強い男は好きだよ、アンタになら抱かれても良いかもねぇ」


トールの攻撃を避けながら自身の秘部を撫でて舌舐めずりする余裕を見せる


女神の容姿は異形であった、艶かしく美しい事は明確なのだが黄金の瞳に白く灰を被ったような肌、側頭部には禍々しい角が生え、後頭部からは尻尾ならぬ頭尾が生えておりそれが体に巻き付きその先が己の膣口に挿入され微振動しているのだ、背中から生える多関節の翼膜が衣装の用に乳房を包んでいるが、それが蠢き常に乳房を揉みしだいている


痴女だ、痴女がいる


その態度がトールを挑発し更に攻撃は激しさを増す


「はっ!堪らないねぇ、うぅん♡ゾクゾクするよ、ふふふ」


「直ぐに挿れてやるぜ、この拳をなぁ!」


時空を削りトールの拳が振われる、その度に雷光が走りそれを避ける女神は舞台でスポットライトを浴びて妖艶に誘う踊り子のようだ


「そろそろワタシもイクよ!」


女神の鋭い回し蹴りがトールの全身を撃ち、重い一撃が首を刈る!しかしビクともしないトール、それはただ女神の動きを一瞬止める事になった


トールはこれ迄の攻撃とは毛色を変えて速度特化の一撃を放つ


パァン!

「グッ」

遂にトールの一撃が女神を捕らえた、顔面を弾き動きを固め更に隙を大きくした


初めからトールに誘い込まれていたのだ、ギリギリ避けれる程度に大振りな攻撃でカウンターを打たせ絶対的防御力により動きを止める、そして攻撃の起点を作る為の速度特化の一撃、全てが計画通り


そして攻撃の起点というだけあり本命の火力はその後だ


「オオオオオオオオオオッ!!」


トールが吼える!エーテルを凝縮した両拳を速射し連撃を叩き込んだ!叩き込まれた大量のエネルギーにより女神の体は蒸発する、魔力を侵蝕浄化されこの世に留まれなくなる、遂には全身を撃たれその魂までを浄化され尽くし消滅していった


「ああっ、イク、イっちゃうわぁ、ぁぁ母さま…」



トールは両腕を広げる、異界の女神を浄化しそのエーテルを吸収して更にその存在値を増す


「神が…母だと?」


女神の最期の言葉を反芻し疑問を覚えるトール


「それよりも、エッダよ!観ているな?オーディンの情婦め、覗くならアイツを覗いとけ」



『断じて情婦などでは無いわ!それに油断するな、まだお主を見ている者がおるぞ』



「言われなくても分かってるさ、出て来いよ、それとも引き摺り出されたいか?」


黒い光を放ち次元に裂け目が出来る、そこから先程の女神によく似た存在が現れた


「我が名は二グラス、我が娘を殺した者よ、貴様の名を聞こう」


「ふっ、オレの名はトール、雷神と呼ばれたりもしてるな。渇望に支配されし魔神よ、貴様も娘のように直ぐに浄化してやるぜ」


二グラスと名乗った魔神は先程の女神をより美しく、更に禍々しくした容姿をしていた、黄金の眼と真紅の唇、より白く灰を被ったような肌は不思議と張りと艶も併せ持ち、黒々とした血管をその身を這わせていた、手脚は肘から先、膝から下にかけて艶のある黒い液体に覆われている。そして側頭部から伸びる角は山羊の角にも似ており非対称の大きさをしている、長い黒髪は胸の高さから下は何本もの触手に変質し、先程の個体と同様に後頭部から生えた触手は体を締め付け膣口へ潜り振動しズチュズチュ音を発して、背中の多関節の翼膜が乳房を愛撫しているのだ


常に自慰行為をし愛液を垂らす異形の魔神二グラス、姿も行動も変態そのものだが発する存在感、内包する存在値はトールに比肩する


「浄化だなんて無粋だわぁ、ワタシがお前を挿れてあげる、この中に、ね?」


二グラスは膣口に深々と挿入していた尾をズリュリと抜き出し指でパクパクとその穴を広げたり閉じたりして見せた


「ちっ、さっきの娘と同じ事しやがって、気持ち悪いヤツ等だぜ、貴様のその力、随分同族を殺して来たようだな」


「あら分かる?ちょっと前に何処かの世界の神々を食べ放題出来たのよね、凄く愉しくて気持ち良かったわぁお前もワタシを愉しませてくれるでしょ?」


「…ああ、愉しませてやるよ、首だけにして仲間達が殺され尽くすのを最期の時まで見せてやろう」


「あら、愉しそう、ふふっじゃあそろそろ、イクわよ♡」


二グラスが体に密着させていた尾と翼を広げて全身に魔力を漲らす


対するトールは両拳をハンマーの様に変質させ内包するエーテルを集中させる


「ああんもう我慢出来ないわっ挿れたい挿れたい挿れたい挿れーーー」

「叩き潰すーーー」

両者が台詞を吐きながら動き出した、その初速の速さに言葉は聞き取れない


カッっと世界が光に包まれた、超常の神々の激突の破壊力は超新星爆発をゆうに超え、新たな時空を発生させた、それは宇宙開闢のインフレーションだ


両者は新世界の中央で激しくぶつかり合う!その余波により新時空が生まれては高次元の亀裂を発生させ世界を引き裂き崩壊させる、時間軸の違う世界で平然と生存出来る両者はその身を削り合い超速で復元し戦いを加速させる


その両者の激突を感じ取り参戦し漁夫の利を得ようとする神々もいた、しかしあまりの破壊力に近付けず、又は近付き過ぎて浄化されしまい消滅する魔神まで出ていた


神々の中にあってすら超常の存在、それがお互いの存在を消滅させようと鬩ぎ合う!トールは片腕を盾にしもう片方の拳により多大なエーテルを凝縮させる、二グラスはトールが前面に出した腕を触手で絡め締め上げるそして手脚に込めた腐蝕の魔力をトールの体に叩き込んだ!


「消えろっ!」


溜めに溜めた全力の一撃を大きく頭上から振り下ろす、二グラスはトールの片腕を締め上げて切断し嘲笑いながらその一撃を避けた、かに見えたがトールの切断された腕がその身を離れてなお動き二グラスの触手を掴み固定する


「ぐっ、待っ!」


雷神之戦鎚、其れがトール最大の一撃、己の身を生贄に技を繰り出した怒りの最終攻撃が二グラスの存在を一瞬で消滅させた、雷光眩いエーテルの光線柱は二グラスを浄化させ発生していた新世界ごと砕き消滅させた、そこには元の光と陰が反転した世界が残った



「おお、此れ迄で最高の美味だ」


満身創痍のトールは見た目以上にその存在を消耗していた、浄化した二グラスの魔力を己のエーテルへと吸収し味わう、勝利の美酒だ



「ホント、最高の美味だわ」

「何っ!?」


トールの体内から消滅した筈の二グラスの声がする


「はあああああぁーーー!」

トールは己の体内へ向け浄化のエーテルを爆破させた

だがその一瞬に合わせ内部から二グラスが魔力を暴発させトールの体を破壊した


「ぐああああぁっ!」

「あははは!お前の中、最高だったよ」


トールは今の衝撃で存在値を大きく減少させその姿は肩口から斜めに大きく体を消滅させていた、エーテル量が十全であれば瞬時に復元出来る損傷も現在の消耗しきった状態ではそれも難しい


しかし対する二グラスは更に損傷激しく頭部のみとなっている、角は折れ触手は全て千切れている、首のみになっても変わらぬ笑いを発する


「貴様どうやって!?」

「さあ残りの魔力も全て余さずワタシのモノとなれ」


魔神二グラスは尾の先をトールに刺して己の本体を猛毒と共にトールの体内へ侵入させようとしたのだ、しかしその途中にトールの一撃によって殆どの魔力を浄化されてしまったのだ、搦め手によりトールを内部から食い尽くそうと企だてたもののトール自身の存在値が二グラスを上回り、猛毒も侵蝕も効果を望めない、このままでは体内に取り残され吸収されてしまう為己の存在を気付かせ誘爆を狙い体外へと抜け出したのだった、しかし余裕を見せれる要素はどこにもない、トールよりも二グラスがより死に近いのだから


「完全に消滅させてやる!オオオォォッ!」


トールはエーテルを練り己の体を修復した、残り少ない力を振り絞っての行動だ


「待っていたよ、この瞬間を」

新しい声がトールの背後から発せられた、そしてその胸を白刃が背から貫いている



「…ガフッ、はあっ!」


ドンッとトールが力場を発生させ刺客を引き剥がす




「なっ何故だ、ロキ!?」

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