神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
やほ

第45話 小鬼

公開日時: 2020年9月18日(金) 06:01
文字数:8,647

装備を新調した僕と愛夜実と一ノ瀬さんの3人は再びダンジョン第10階層攻略に挑んでいた


「ねえルゥ、ヴァニラ達はこのダンジョンには来ないの?ヴァニラもライカもめちゃくちゃ強いんでしょ?」


「ヴァニラ達は異界で自分達の強さに合った敵と戦ってるんだよ、僕は映像で観ただけだけど、アレは近くにいるだけで巻き添え喰らって死んじゃうよ」


「えーどんな戦いなんだろアタシも観てみたいなぁ」

「私も興味あるわね、コレでも結構強くなったつもりなんだけどそんな戦い1度は観てみたいわ」


「んーじゃあ帰ったら観戦してみよっか、エメラダに言えば直ぐ観せてくれる筈だからさ」


以前観戦した時から僕もヴァニラ達の戦いを観ていないので久しぶりに観たくなった、もう純竜に勝てる様になったかな?後2人には悪いがこのダンジョン自体が弱い僕が順当にレベル上げ出来るようにと作られた、言わば初心者用の戦闘訓練施設なのだ、ヴァニラ達の戦闘を観たら2人とも驚くだろうなぁ


帰ってからの観戦を楽しみに神造迷宮アースの第10階層を歩く、僕らの今の装備は

一ノ瀬さんが昨日プレゼントしたレオタード型強化服に羽織袴型強化服を着ている、何方も防御型の強化服なのでゴブリン相手に大怪我する事は考え難い装備だ、武器はオリハルコン製の打刀にブルパップ式魔導加速小銃が1挺に魔導短銃を1挺だ、遠近何方にも対応出来る


愛夜実は瞬発力特化の強化服の上から女子高生の制服型デザインのミスリル生地の服を着ている、本人が言うには制服姿が安心するらしい、武器は両手にオリハルコン製の籠手を装備していて近接格闘を得意としている


そして僕は全身タイツ型強化服の上にミスリル生地のスーツ姿だ、両腕にオリハルコン製の籠手を、そして腰には岩熊菊だ


3人で歩いてると車の陰からアルミラージが現れた、第10階層は大きな都市になっていて死角が多い、次々と現れるアルミラージ


ヴッ


向こうに気付かれる前に一ノ瀬さんがヘッドショットを決めた!独特の発射音を響かせ次々仕留めていく


ヴッヴッヴッヴッヴッヴッヴッ


次々と現れるアルミラージの群れは奥のビルの陰からもピョンピョン跳ねて現れる


「結構多いなぁ」


反撃に出るアルミラージが豪速突撃で向かって来た!それを愛夜実が連続回し受けでいなし、空中で打つけ合い仲間の角で頭蓋を貫かれた個体が即死する、生き残った個体を僕が空中で斬り捨て片付ける


この半年で僕等は其々長所を活かし合い連携の取れた動きを出来るようになり、攻略を進めて来たのだ


200匹程のアルミラージの群れを掃討したと思ったら落ち着く間もなくゴブリンの群れがビルの中から現れた


「あっぶなぁーもう少しで挟まれるとこじゃん!」


愛夜実が言いながら落ちてた石を拾いゴブリンの群れに投げ付けた、先頭の個体はそれを避けたが次々奥から出て来るゴブリンだ、何処を狙っても後ろの個体に命中する


ゴブリン達は僕等の姿を認識するとやはりというか股間に血液を集め歓喜して襲い掛かって来た


「近寄るんじゃないわよ!死になさい死になさい!死になさいっ!!」

「きゃぁああぁぁっーーー!!来るなあぁっ!」


一ノ瀬さんは魔導加速小銃の出力を最大にしマシンガンのように連射し、愛夜実はゴブリン共を絶対に近寄らせまいと必死に投石する、僕も投石するが愛夜実の豪速球に比べると見劣りする、きっと強化服の出力を最大にしているのだろう、まるで対物ライフルかってくらいの威力にゴブリン共が纏めて弾け飛ぶ、僕の投石ではヘッドショットで何とか殺せるレベルだ、強化服の性能を遺憾なく発揮する愛夜実に、一ノ瀬さんの魔導加速小銃の斉射、何方も物凄い威力だがしかしそれでも次々湧き出るゴブリン共に徐々に押されてくる、どれだけいるんだ?と焦りを覚えた時、別のビルからも続々と湧いて出た!その上後ろの道からは3m級のジャイアントトードの群れが現れ逃げ場を無くす


「ちょっとヤバくないっ⁉︎」

「囲まれたわ!」

「正面の群れ!薄くなってる!殺しながら中に逃げるぞ!」


全方位を囲まれたが唯一先にゴブリンの群れが出てきたビルから次の敵が現れない、僕は2人に声を掛け邪魔なゴブリン共を斬り殺しながら中へと走る


広いロビーを抜け階段を上へ上へと上がって行く


「ゴブリン多過ぎでしょ⁉︎他の群れまで色々出るし!10階層からいきなり変わり過ぎじゃんっ⁉︎」


愛夜実がボヤくが確かに変わり過ぎだ、主にモンスターの数が、第9階層迄は多くても200匹くらいの群れまでで今僕等を追って来る群れは明らかに桁ごと上がってる!10000匹以上いるんじゃないか?


(もしかしてゴブリンだから?)


ゴブリンの特徴として繁殖がある、巣の攻略が組み込まれているのかも知れない、オマケに変更不可設定にログアウト条件で敵視中モンスター1km圏内不可と言うのがある、戦闘中にログアウトで逃げないようにって設定だが


エメラダよ、これは流石にキツいぞ、銃火器ではレベルが上がらないが爆発物でも持っておくんだった、そう、爆弾で一気にエリアごと爆破したいが、それだと僕が倒した事にならず経験値が入らないようなのだ、しかし今はパーティを組んでるし討伐の効率を優先しても良かったかも…アイテムボックスには神樹ローションと丸薬しか入れてないし、どうやって帰ろ…


階段を上がる途中でゴブリンが産まれるのを目撃してしまった、母親の腹を破り数えるのが面倒になる程の赤児ゴブリンが這い出てそのまま母体を食いだした、なんともエグい、更には母親まで産まれた赤児を掴み食べたのだ、じゃあ産むなよ!とも思うがきっと欲求のままに交尾し、産み、食べるのだろう、このままじゃそれが僕等の未来になる


「絶対ヤなんですけどー…」

「でももうすぐ私達も輪姦されてああなるのね」


走りながら愛夜実が呟き一ノ瀬さんが冷静に縁起でもない事を言い出す


「ちょっ!どーにかしてよルゥ!何か無いの⁉︎秘密兵器とかさ!なんか裏技とかさ!」


「この中で一番弱いボクに期待しないでくれ」


「あーもうっ!なんでアンタは神様なのに人間より弱いのさっ!おかしいでしょ!」


耳が痛いが僕だって望んでこんなに弱いんじゃないんだ許して、あとこの階段いつまで続くの?疲れたからおんぶか抱っこで運んでほしい


「仕方ないだろ、あー疲れた、座りたい…」


「外から高さを見た感じだともう少しで屋上に出るはずよ、そこで囲まれないようにゴブリン共を殺し続けましょう」


一ノ瀬さんが言った通り屋上ロビーに出た、外に出ると空中庭園になっていてその上はヘリポートだ、地上500m以上のビルの屋上、装備品のお陰で走破出来たがもう休みたい、底上げされたステータスによりゴブリン共を引き離したが、もう数十秒もすれば奴等も到着するだろう、超人体になったとは言え愛夜実も生身の人間だ、強化服のエネルギー残量も気になる、今一番頼りになるのは人造人間の一ノ瀬さんだが人造人間もエネルギー容量がある、それが切れた時、生身の人間並みに体力が低下してしまうのでタイムリミットは其れまでだろう、階段奥から下品な威嚇の大合唱が聞こえて来た

僕等は一ノ瀬さんを基点に左右に分かれ3人で三角形に並んでゴブリン共の到着を待つ


「さあ、覚悟の時だ、殺し尽くそう」

「あったりまえー!犯されてたまるもんですか!そんなの死んだほーがマシだっての!」

「愛夜実が犯されそうになったら私が先に殺してあげるわね、グスン」


「千冬〜アンタから殴り殺すわよ」


「2人ともそこまでだ、きっと休む間も無くなるだろうから今で神樹ローションを飲んどくんだ」


僕はアイテムボックスから3本のボトルと丸薬を出し全員で分ける、一気に飲み干し体力を回復する


人造人間となった一ノ瀬さんも丸薬を飲んで副作用で死ぬ事は無い


「もっと他に味が付いてて欲しんだよねー」

「私は嗅覚と味覚を強化しているのでそのままでもクセになりそうな風味だと思うわよ」

「生きて帰れたら色々試してみよう、さあ来たぞ!」


「「「「「ギャギャイギャッギャッ!ギャイイイイィィィィーーーー」」」」」


屋上ロビーから空中庭園へと飛び出して来たゴブリン共へ一ノ瀬さんが真正面から最大出力の魔導加速小銃を連射する、奥から続々湧いて出るので貫通して纏めて殺せるので位置どりが効いている、そして左右に溢れて来た個体を僕と愛夜実で片付ける


僕はなるべく最小限の運動を意識し素早く仕留める、愛夜実は勃起したゴブリン共を前に冷静さを欠いた動作になっている、しかしただ殴っただけでゴブリンが爆散し後ろの個体達に散弾のように骨が突き刺さる、なんとも豪快な戦闘スタイルだ


射つ射つ射つ!殴る殴る殴る!斬る斬る斬る!兎に角殺しまくる!一ノ瀬さんの見事な射撃により僕等に襲い掛かる後続の密度が高くなり過ぎないように調整されている、それに気付きゴブリンを爆散させる方向を調整しなるべく中心に群れが集まるように敵を殴る愛夜実、連携の取れた攻撃を横目に僕は兎に角ダメージを負わない事と素早く片付ける事を無心になって繰り返す


膠着が続く中、奥から一際大きな個体が現れた、並みのゴブリンの5倍はあろうかと言う大きさだ


「アレ何⁉︎アレもゴブリンなの⁉︎」

「デカいわね、武器まで持ってるし」

「多分ホブゴブリンってヤツだ!大型のゴブリンだ!」

「近寄らせちゃダメね、死んで」


一ノ瀬さんがまだ外に出てもいないホブゴブリンをヘッドショットで煙りに変えた、きっと正解だ今近接であんなデカいのを相手にしてちゃ流れが変わる、ホブゴブリンが武器として持っていたバイクがその場に転がる、既に5000匹以上は殺した気がするが勢いは増すばかりだ、でもこの均衡を保てば敵が尽きるまで戦えそうだ


そう思っていたが


「弾切れよ」

一ノ瀬さんが苦い顔で告げ刀を抜く


「アタシのスーツもエネルギー切れだわ!」

愛夜実の瞬発力特化の強化服にも限界が訪れた


(拙い!敵の勢いが増した)


次の瞬間一閃、二閃と鋭い斬撃がゴブリンの群れを纏めて薙ぎ払う


「さあ、全部斬り殺してあげる、2人共まだまだイケるわよね?」


一ノ瀬さんの頼もしい剣線に僕等は落ち着きを取り戻す


「アタシだってーーーーーーっ!」

愛夜実が強化服のエネルギー切れを感じさせない回転力でゴブリン共の頭蓋を砕き次々煙りに変えていく、まるで鬼のような形相だ


僕は変わらず只管ゴブリンを斬り続ける、地味な戦い方だ…


僕より剣の腕が上の一ノ瀬さんが襲い来る群れを纏めて薙ぎ払い、再び膠着状態になった、かと思った矢先奥から群れを巻き込み火球が襲い来る!僕等は飛び退きそれを避けたがゴブリン共が一気に広場に出て来てしまった、火球の正体は一体のゴブリンが放った魔法だった


「ゴブリンメイジ?」


「何よそれ⁉︎火を出したよ⁉︎」


「魔法を使うゴブリンだ!ヤバい次が来るぞ!」


しかし次弾の火球は発動しなかった、一ノ瀬さんが初弾で潜り込み、もう一度魔法をチャージしたゴブリンメイジを素早く斬り捨てた


「拙いわね」


敵陣深く潜り込み周りの群れを斬り殺しながら出口へ戻って来る一ノ瀬さんが呟いた


「怪我でもしたのか⁉︎」


「いいえ、アレよ」


顎で奥を指すのを見て僕等も焦りを覚えた


「さっきのホブゴブリンがめちゃくちゃ来るんですけどー!」


「その奥、もっと厄介そうなのが居るわ」


なんとホブゴブリンの倍以上もある個体が現れた、周囲にはゴブリンメイジまで混じってる


「ゴブリンキングってゴブリンの上位種かも!」


流石にもうお腹いっぱいだ!吐き気がする、もうゴブリンなんか見たくない、ウンザリする、何より此奴ら臭いんだもん、帰りたい


ゴブリンメイジの集団が一斉に火球を放って来た、まだ中には一ノ瀬さんが居る、ヤバい直撃だ!


「千冬!」

「一ノ瀬さん!」


建物内が業火に包まれ、内に留まることなく勢いよく出口から火炎が噴き出す!ビルの屋上が吹き飛び火柱が立つ


爆発により熱風が肌を焼き黒煙が渦巻く


立ち昇る黒煙を突き破り火球が現れた、その火球がゴロゴロと転がり火が消えたところで立ち上がる、一ノ瀬さんだった


「大丈夫か⁉︎」

「千冬怪我は⁉︎」


「…大丈夫、炎は全部服で防げたわ、それより、来るわよ」

羽織っていた強化服を脱ぎ捨て一ノ瀬さんが刀で黒煙を指して警戒を促す


黒煙が腫れて来た頃漸くゴブリンの影が見えて来た、残ったのはホブゴブリンとゴブリンキングだけだった、ゴブリンメイジが全て居ない、並みのゴブリン共は爆発に巻き込まれ全滅したようだ


「魔法使いは全部殺したわ、でも大型の奴等は時間が掛かる」


何と一ノ瀬さんは魔法を強化服で防ぎながら更に敵陣深く斬り込み厄介なゴブリンメイジを全て斬り捨てていたのだ


ゴブリンキングが僕等を指差し何か吠えた、そしてそれに反応したホブゴブリン共が雄叫びを上げて超速で突進してくる


直撃すれば間違いなく即死の一撃になるだろうその突撃に愛夜実は正面から向かっていき直前でスライディングに切り替えホブゴブリンの足首を蹴り砕いた!


(焦った〜愛夜実が自殺したかと思った)


足首を砕かれたホブゴブリンが空中を砲弾のように飛翔し一ノ瀬さんが擦れ違いざまに首を飛ばす、僕は2人の連携に遅れを取ったが次の個体が僕に突撃して来たのを落ち着いて対処する、タックルを向かって斜めに避け背中に回ると同時に後ろから首を斬る、ホブゴブリンは突撃の勢いそのままにビルの下へと消えていった


敵はまだまだいる、しかし単体のステータスでは装備品のお陰でこちらが上だ、上手く立ち回れば切り抜けられる筈各々綺麗に一撃入れれば大抵のモンスターを殺せる武器を持っているんだ、何とかしてみせる


「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」


僕は気合を入れて立ち向かい敵を威嚇する


「あははっルゥめっちゃこわぁーい♡」

「ルシエルちゃん喉を傷めるわよ」


からかわれてしまった


次々巨大な砲弾と化したホブゴブリンが襲い掛かってくる、肉壁タックルを避けても大木のような腕で殴られただけで内臓破裂は必至だろう、そうなれば畳み込まれてゲームオーバーだ、絶対に一撃も貰えない

ならば此方もなるべく一撃で仕留める必要がある、あの巨体を一撃でとなるとやはり頭、絶対に胴を狙ってはダメだ、戦闘が長引く程苦戦する

チート武器の性能を活かして頭蓋をカチ割ってやる!


迫り来るホブゴブリンのタックルをなるべく紙一重で避ける、と言うか敵が早過ぎて紙一重で避けるのがやっとだ、

その避けざまに相手の顔の前に刀を合わせる、すると自身の突進攻撃によりホブゴブリンは簡単に鼻から上を滑り落とす!

次々迫るホブゴブリンを同様に殺す、殺す、殺す

後続のホブゴブリンが攻め方を変え両腕での叩きつけをして来やがった!流石に避けれない、僕は刃を滑らせホブゴブリンの片腕を斬りとばす、次の瞬間衝撃で視界がブレる


「…!…ゥ!ルゥ!大丈夫⁉︎しっかりっ!」


(は?何が起きたの?目が回る〜)

霞む視界の前では一ノ瀬さんの背中が見える、愛夜実が何か叫んでるがよく聞こえない


(あれ?体が動かないぞ、てゆうか痛い、めちゃくちゃ痛い!あれ?攻撃を受けた⁉︎いつの間に?息が出来ない)


「コホッエホエホッ!ごほっ!な、なにがっ?」


酸素は必要無いがいきなり咽せると苦しいもんだ


「ルゥ敵の腕斬った後で蹴られたんだよ、きっと最初からそれが狙いだったんだ、体が大変な事なってるけど大丈夫なの⁉︎」


言われて自分の体を確認すると鳩尾から下が180度反対を向き背骨が折れてる状態だった、きっと内臓もぐちゃぐちゃになってるだろう、ホラー過ぎでしょ


「ガフッ…ヤッバァ…」


血を吐き気が遠くなる


「ちょっとルゥ!千冬が耐えてる内に回復しなって!」


(あ、一ノ瀬さんが1人で戦ってるのか…早く戦闘に戻らないと…)


痛い、めちゃくちゃ痛い、僕はアイテムボックスから神樹ローションを出した、愛夜実が取って僕の体にぶっ掛け丸薬を口に突っ込んだ、神樹ローションを口に流されたのでそのまま飲み込む、ゴリゴリと音を立てて体の形が戻って行く、神樹ローションのお陰で痛みは無いがかなり気分が悪くなる現象だ…


体力と怪我が全快し周りを見ると、一ノ瀬さんが激しく戦っている、と言うか2人共ボロボロじゃないか、僕を庇って無茶をしたのだろう


「どのくらい気絶してた?」

「2、3秒だよ!でももームリ千冬なんて片腕食べられちゃったし!」


一ノ瀬さんの利腕をゴブリンキングがボリボリ骨を砕き咀嚼している、どうやら一ノ瀬さんの防御特化の強化服も度重なるダメージに耐久性の限界を迎えたようだ


「一ノ瀬さん!変わるので退いて回復して下さい!」

僕は一ノ瀬さんの隣に隣に並んで丸薬を渡す、凄まじいのは30匹は居たであろうホブゴブリンが残り2体にまで減っている事だ、一ノ瀬さんが僕が気を失ったほんの数秒で片付けたのだ


(相当に無理をしたんだろうな、後は僕が殺そう)


対峙するゴブリンキング達も簡単にはいかぬ相手と認識し此方の出方を伺っているようだ、距離が近付いたので鑑定をしてみる


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種族・ホブゴブリン


Lv・34


HP・1780/1800

MP・10/10

SP・450/980


STR・1200

VIT・2800

INT・11

MND・18

DEX・120

AGI・550

LUK・1


スキル・[繁殖]


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種族・ゴブリンキング


Lv・56


HP・5230/5400

MP・100/100

SP・3800/4600


STR・3900

VIT・7200

INT・50

MND・90

DEX・600

AGI・1200

LUK・1


スキル・[大繁殖]


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以前の僕なら強化服込みで何とか勝てただろうが、今のステータスでは勝ちを拾う事が難しい、どうしたものか


とか考えてるとゴブリンキングがホブゴブリン2匹の脚を掴み持ち上げた、よく分からない行動に反応が遅れてしまう


次の瞬間ゴブリンキングがホブゴブリンをバットのようにぶん回し武器として使ったのだ


(うおっ!冗談みたいな事しやがった!)


二刀流に持つホブゴブリンが不細工な顔を引き伸ばし高速で振り下ろされる、すんでのところで何とか躱すが振り下ろされたホブゴブリンが地面に叩きつけられた衝撃で足元がフラつきバランスを崩す


(ホブゴブリンノビてんじゃんか!コイツヤバ!)


「グボオオオォォォ!」

体勢を崩されたところに横薙ぎのホブバットスイング!僕は刀で受ける、ホブバットは受けた刀により胴体から真っ二つになるが僕もあまりの質量と速度に打ち飛ばされた!

腕と肋骨がボキボキっと嫌な音を発する、

煙りとなって消えるホブバット、僕は高速打球となってビルの屋上から弾き落とされる!この高さだと絶対に即死だ!


為すすべない僕の体がビンッと引っ張られる!愛夜実が間一髪僕の足首を掴み落ちずに済んだ、しかし余りの勢いで慣性に引かれ、停止出来た時には2人共ビルの縁にぶら下がった状態になる、僕は逆さになり愛夜実が片手で耐えている状態だ、遥か下に地面が見える、脚が震える高さだ


「くっ、ルゥ大丈夫⁉︎」


「ガフッ」

大丈夫と言おうとして血を吐き出してしまった、またまた1発で内臓破裂だ、口から上が鮮血に染まる、全然大丈夫じゃなかった


「2人共大丈夫⁉︎さあ早く!」

グイッと一ノ瀬さんに引っ張られ引き上げられた、ゴブリンキングは全力で振り回していたバットが突如煙りとなって消えた事で一瞬バランスを崩したようでその隙に一ノ瀬さんが助けてくれた、しかしヤツは直ぐに再びバットを振りかぶり襲い掛かって来た


振りかぶられるホブゴブリンの頭部が最高速に達する前に一ノ瀬さんが跳び上がりカウンターでホブゴブリンの頭部を両断する!ボワッと煙りになって消えたホブゴブリンだが、今度はゴブリンキングも体勢を崩さずすかさず一ノ瀬さんの脚を掴んだ、何をするか瞬時に理解する、叩きつけられれば人造人間といえど即死だろう、絶望色濃い状況に愛夜実が飛び出す!ゴブリンキングの胸に飛び込み攻撃を仕掛ける!いつの間にか僕の刀を取ってそれを心臓目掛けて思い切り突き刺したのだ!


「ギャギャアァァァィィイイッ!」


(死んでない!ヤバい!)


愛夜実も胴を鷲掴みにされ内臓を握り潰される


「イヤアァァゴッガフッ!」


愛夜実が叫び血を吐く


ゴブリンキングは潰した愛夜実を宙に放り一ノ瀬さんをバットに愛夜実を打ち飛ばした!鮮血と肉と骨の打つかり合う衝撃音を鳴らし愛夜実が弾かれ飛んで行き隣のビルに突き刺さる


一ノ瀬さんも脚が千切れ血を撒き散らし動かない


その一ノ瀬さんの頭をゴブリンキングが踏み潰そうと足を上げた


「やめろーーー!」


僕はゴブリンキングの巨体をその膝を足場に跳び愛夜実の深く突き刺した刀の柄を全力で蹴り上げた


「ギュギイィィィイイイーーーーッ!」


ゴブリンキングが膝を付き煙りとなってアッサリ消えた、危機一髪、刀の切っ先を魔石に迄届かせる事が出来たのだ





その後神樹ローションと丸薬により僕と瀕死の一ノ瀬さんは回復、生きてるかわからないが愛夜実の突っ込んだビルへと向かって急ぎ、新手のモンスターの気配も気にしながら駆けて行った、どうやら辺りのモンスターは殺し尽くしたようだった


階段を駆け上がると、ボロボロの愛夜実が階段を降りる途中で倒れているところを発見できた、僕は発見するなり即神樹ローションをぶっ掛け丸薬を口移しで飲ませた


瀕死だったが蘇生出来、僕らは何とかログアウトする事が出来た、もうゴブリンはウンザリだ

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