神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
やほ

第44話 半年

公開日時: 2020年9月13日(日) 06:14
文字数:5,532

僕はエメラダの居る部屋へと戻った、僕が此処を出て3時間は経っている筈だ、エメラダは未だにマッサージをされながら寛いでいた


「エメラダよ、いったいどれだけ此処に居るつもりなんだ…」


「んん?そうじゃのう、気が向くまでこの星に居ようかのぅ、地球人とユグドラシルの精神的、技術的交流も大事じゃからなるべく見守りたいしのぅ」


完全に地球人を僕にしているエメラダはこの環境が居心地良いのだろう、全く動く気が無い


「地球人もこれからこの世界で生きて行くから精神的交流ってのは分かるけど、技術的にそんなに地球って遅れてたの?」


「そうじゃのう、先ずお主はどれ程ユグドラシル界の発展具合を知っておったかのぅ?地球との違いや差は分かるかの?生活面と、そして武力技術でじゃ」


「えーっと、先ずこの世界の生活で驚いたのは魔道具かなぁ、表面的に分かるのはそれくらいかも、地球が滅びたのが確か2060年でその時技術的にはAIが発達して人間の知能に近いロボットが生活のサポートや労働をしていて、人間の寿命もナノマシン技術の導入によって200歳を超えると言われていたよ、攻撃兵器では反物質砲が最大火力だったな」


「うむ、そうじゃな、それがこの世界ではナノマシン技術は完全に掌握しておりAIの発達具合も地球よりも随分と先にある、先ず労働しておるのは全てアンドロイドじゃ、医療では病気や怪我なども治癒魔法も要らぬくらいにナノマシンが完治させるし寿命というものからは既に解放されておる、産業、労働、病気怪我、寿命、これらからは技術的に完全に解放されておる、魔力操作を抜きにしてもじゃ、更に魔道具迄あるのじゃ、随分と差があるように感じるじゃろう」


労働者は全員アンドロイドだったと⁉︎確かに色々と進んでいるようだ、地球ではまだロボットを直すロボットが無かった、それが出来た時が人類の労働からの解放だとは聞いた事がある、そして技術的シンギュラリティ、平たく言えばAIが人間を超える時だが、ユグドラシルでは更にその先の未来へ到達しているようだ、地球で人間はせいぜいロボットに仕事を取られまいという労働に縋ろうと頑張りを見せていたもんだ


「そうだなぁフィクションの世界では人間は肉体を捨ててバーチャル世界で生き、永遠の命を手に入れるって話もあったけど未だ夢物語だったな」


「それがユグドラシルではこうじゃ」


エメラダの説明を聞くと


ユグドラシルの技術ではゼロから思い通りの肉体を作れる、それに自分の人格を移植し生きる事が出来る、だが実はそうする事で魂の量、魂の持つエーテル量が大きく損なわれるらしい。それにヴァニラ達のように破格の魔力量持つ者達は直感的に機械的な移植を避けるそうだ、それはそうだ自然のままに生きてて病気や寿命の心配が無く、アンドロイドへの人格移植どころか強化服等のサポート兵器すら不要なのだから。そして火力兵器、個の持つ武力がテクノロジーを上回り独力での天体破壊までやってのける、純粋機械兵器でも同じ事が出来るらしいがエネルギー切れの問題があるとの事だ


だが虚構の発想は地球人の方が深いそうだ、ダイブ型のバーチャルリアリティワールド等此方の世界では発想が無かったらしい、中には自由に精神を肉体から抜け出して活動する事も出来る人も居るそうなので、魔力操作やミスリル等の超常物質が無い故の発展がある、無いからこその進化を遂げるのだから生命ってのは面白い、全てが足りている神は進化なんて無いもんな、生命は無いものねだりでいつかは神にまで届くかもしれない


「という事からワシはこの星で新たな文明を生み出そうと考えたのじゃ」


成る程、異世界交流で地球人の発想、ユグドラシルの技術力や知識、ミスリル等の超常物質を合わせれば確かに新たな文明が生まれるだろう


こんな戦争中によくそこまで色々と考える事が出来るもんだ、と言うかどこ向いて話してんだ、寛ぎ過ぎだろ、5人掛でオイルマッサージさせて蛸みたいにだらけてやがる


「じゃボクは先に帰ってるよ、明日からもレベル上げに力を入れたいからさ」


「うむ、またの」


エメラダは結局地球人との生活を気に入った様でまるで帰らずミッドガルドに常駐するようになった、それから地球人とユグドラシルの交流は加速度的に進みミッドガルドから多くの地球人が異星へ移住するようになった


僕は毎日毎日違う娘とSEXをし房中術を鍛え、そしてヴァニラとライカが帰って来た時には熱く激しく愛し合った、2人ともSEXの度に魔力解放の密度が高くなるのを感じた、ヴァニラもライカも着実に強さを増している


しかし残念ながら僕のレベルは上がらずステータスも殆ど変わっていないのだ、数ヶ月生活する中でヴァニラ達と愛夜実と一ノ瀬さんを合わせ、一緒に出掛けたりピクニックをしたりして思い出を作り楽しんだ、驚きだったのは愛夜実も一ノ瀬さんも僕より強く、買い物に行った時ユグドラシル界の服や装飾品等の装備を身に付けたらあっと言う間にユグドラシル界の一般兵よりも強くなってしまったのだ。それを見てエメラダが3人でダンジョン攻略する事を進めて来たのでそれからは3人でダンジョン探索を進めている、階層を進め戦闘技術もかなり上達したと思う、ただ2人の方がより強くなり僕も守ってもらう事が多かった


出て来るモンスターを順調に倒していく、スライム、アルミラージ、ビッグマウス、ジャイアントバット、コボルト等の動物系の下級モンスターを次々と倒していたが巨大毒蛙と戦った時に愛夜実が蛙を殴った時に毒液を浴びて死にそうになるハプニングもあった、その時は直ぐに神樹ローションをぶっかけ全快して無事に済んだ。毒や麻痺等の状態異常も神樹ローションがあれば一発解決なのだ、そしてトロトロに液体を滴らす愛夜実はかなりエロかったな


半年掛けて第10階層迄到達した、そこで漸く見慣れたゴブリン共が現れるようになったのだが、女子3人で遭遇すると奴等は逸物を起っ勃てて襲い掛かって来た!それには愛夜実も一ノ瀬さんも悲鳴を上げて混乱してしまったので即時撤退して難を逃れたんだ


それにしてもだ、毎日SEXとダンジョン攻略をして半年以上経った僕は房中術と戦闘技術は確実に成長したと言える、だがレベルは変わらずステータスも殆ど上がっていないしスキルポイントも120しか貯まらず新しいスキルを創造する事も出来ず不安になりエメラダに聞いてみる事にした、今の僕のステータスはこう


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真名・ルシエル


種族・神


性・女


年齢・7ヶ月


Lv・1


職能・ファイター


ジョブ・神


HP・9

MP・21

SP・10


STR・5

VIT・7

INT・50

MND・45

DEX・11

AGI・10

LUK・1052


スキル・[創造Lv1][森羅万象数値化][鑑定Lv8][記憶力強化Lv3][自動翻訳][自動通訳][神体操作]

スキルポイント・121


称号・ルシエル


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装備補整抜きだと精々2歳児程度のステータスしかないのだ、どう戦えってんだ


「なあエメラダ、ボクは余りにもレベルが上がらずこのままで本当に戦力になれるのか不安なんだけど大丈夫かなぁ?この半年で出来るようになった事ってこれくらいなんだよ」


神体操作のスキルを使い僕はスカートの中からパンツを下ろしペニスを自在に変形させニョキニョキと動かして見せる


「心配要らぬからそれを仕舞うのじゃ」


エメラダに無表情で言われたが僕は真剣に悩んでいるのだ


「だってさぁ、身体が神造人間の時には毎日SEXをする度に驚く程レベルが上がってたんだよ?それが前より敵を倒してるし、房中術も格段に成長した筈なのにレベルが上がらないんだ、不安になるよ」


「アルティミアとの融合の弊害じゃな、神化の際にエーテルの器がほぼ空になっておるのじゃよ、器を満たす迄は辛抱する他無いのう、しかし器が満ちた時お主は以前よりも加速度的に飛躍的成長をするじゃろう」


そういやアルティミアは殆どの力を失い何も出来ない状態になっていたな


「あれ?それじゃあさ、魔石を食べれば早く器を満たせるかなぁ?」

「絶対にやめておくのじゃ」


厳しい口調でこれまでの気の抜けた雰囲気を一変させたエメラダに僕も気圧される


「モンスターの魔石を空の器に直接体内に入れる等持っての他じゃ、忽ち魔石持ちの魔神になってしまうぞぃ、使うなら精々入浴剤かマッサージオイルに混ぜる程度にしとくのじゃ」


「魔神?そんなのもいるのかよ」

色々居るな、神どおしの戦いも今どうなってるんだろ


「うむ、魔石持ちに成れば常に渇き他者のエーテルを奪いたくて堪らなくなるぞ、そうなればモンスターと同じじゃわい、まぁ焦らず行くが良いのじゃ」


「うーん…」


「毎日戦ってばかりじゃし今日はミッドランドで緩りとして行くが良いぞ、愛夜実でも誘って散歩にでも行くが良いのじゃ」


「ふぅ、分かったよ」





僕は愛夜実と一緒に街を歩く、この半年足らずでミッドガルドの地球人の街は恐ろしいまでに発展し既に高層ビル群が建ち並びミッドランドという名前まで付けられた


空では多くの空飛ぶ車が行き交い、産業は管理AIが運営している、既にバーチャル空間で生活する人迄出て来てその世界では思いのままの世界を作成して己の欲求を満たしているのだ。多くの一般人が人格をオンラインで保存し肉体を捨てている、偶に現実世界に出る時も自由に設計したアンドロイドに人格を移して活動しているが、その性能は凄まじいもので五感は本物以上に感度良く、アンドロイドの体なのに趣味でアナログな生活を楽しむ人迄居る。見た目を自由設計出来るだけあって最早何処の世界の住人なのか分からない者が殆どだ


軍事力でも地球人はユグドラシル界へ大きく貢献した、魔力操作こそ出来ないもののその仕組みと超常物質の知識を得た事で地球の技術者達とユグドラシル界の技術者達が連携し幾つもの新兵器を開発したのだ


今では新兵器であるマルチAI兵団の『ホムンクルズ』がクトゥルフ戦役に投入され大活躍をしている、驚いた事にワイバーンくらいなら1対1でも討伐してのける


ホント僕って戦力になるのかなぁ…


という風に人類は思わぬ形で労働と寿命から解放されたのであった、しかし勿論中には生身のままの人も居る、かなりの少数派ではあるが熱心な宗教関係者や自然を愛する者、人造人間に全く興味を持たない者等だ、因みに愛夜実も生身のままだ、愛夜実の場合特殊で丸薬の効果で肉体が変質し不老長寿化していたのである、エメラダに言われて後から知ったのだが、健康体の地球人が丸薬を飲んだ場合体が耐えられず忽ち死んでしまうらしい、エメラダは神体の僕が使用するから大丈夫だろうと渡していたらしく危うく愛夜実を殺すところだった、事前に教えて欲しかったな


そんな事で瀕死の状態で丸薬の効果で復活出来た愛夜実は細胞が活性化し見た目は変化しないものの鍛えれば鍛える程強くなれる何ともチートな体へと進化しているのだった


「ねえルゥ、聞いてるー?」


ヤベ、聞いて無かった、今僕等は一ノ瀬さんへの誕生日プレゼントを選びに街の服屋に来ていた


「ごめん何だっけ?」


「も〜千冬のプレゼントー、どっちが良いと思う?って聞いたのー?」


愛夜実が店のウインドウで選択した2つの服が映されている、因みに服と言っても戦闘用強化服である、見た目は薄い半透明のレオタード型の服だ、これだけを着て出歩いたりしたら半年前なら間違いなく痴女だった、しかし今では誰も気に留める人はいない


一ノ瀬さんは多くの人と同様に肉体を捨てアンドロイドの体になっている、設計は以前の見た目とあまり変わらないが性能を限界まで上げ五感を強化している、ダンジョン攻略をするのだから戦闘力特化にするかと思っていたのだが、一ノ瀬さんは美食家で美味な物を楽しむ為に五感特化型にしたのだった、何度か食事に誘われたが僕は未だ固形物を食べれていない


そんな一ノ瀬さんへ愛夜実が選んだ2種類の強化服は其々性能が違っていた、1つは瞬発力強化型の強化服でもう一方は防御力特化型の強化服だ、性能を比べて見ると瞬発力強化型はエネルギーが切れる迄ステータス換算でAGIが+30000程されるようで、防御特化型はVITが+25000といったところだ、しかし防御特化型は素材がオリハルコンとスライムの魔石を合成した生地で出来ておりエネルギー切れで性能が落ちない


「こっちが良いんじゃないかな?」


僕は防御特化型を選択した、今の攻略階層ではこの防御力を抜けるモンスターは中々居ないし、より安全で普段通りの動きが出来た方が戦い易いと思うからだ


「じゃプレゼントはこっちにしよー、そしてアタシの強化服はこっちの瞬発力強化で、ね♡」


自分の服も買うのかよと思ったがきっと愛夜実は絶対にゴブリンに触れられたくないのだろうな


色々開発は進んでいるが未だヴァニラやライカクラスの補整を出来るような装備品は出来ていない


そして僕は強化服を下着代わりに上からヴァナルランド産の服を着ている



こんな感じでエメラダが中心となって発展させた新たな文明はユグドラシル界に多大な影響を齎し多方面で人々の生活を変えていった


全体の戦力でもミッドランドが1割程の戦力を占めているらしく、半年でこの影響力は神々を以ってしても想像を超えた偉業である、きっとエメラダは初めからこうなる事を狙っていたんじゃないかと思うけどね


ヴァナルガンド家やアングルボザ家はミッドガルドに別邸を置きハティはミッドランドでよく地球人の子供達と遊んでいる姿を目にする、他の獣人の子供達も混ざっていて多くの人がミッドガルドへ移住しているのである




たった半年でここまで世界は変わったのだった

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