神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
やほ

第21話 買物

公開日時: 2020年9月2日(水) 00:01
文字数:5,512

「さて、話というのはクトゥルフ界からの侵略についてじゃ」

とエメラダがネクタルという酒をガブガブ飲みながら話す


場所はヴァニラの部屋の上部階でエメラダ、ヴァニラ、ライカ、僕、そしてマーガレットが嬉しそうにエメラダに酒を注いでいる


「先程チラと地球を見て来たが、まだ星自体は残っているものの、クトゥルフ神族がルシエルらの世界、デウス界の神々を滅ぼし吸収し終えておったのじゃ、次はこのユグドラシル界へも侵略に来るじゃろう、奴らの好みからすると初めに1番力を持つ生命体のいる星へ戦力を集中するじゃろう、という事はこの星に尖兵のモンスター共を送り込んで来るという事じゃ、わかるか?」


「ああ、戦争準備をするんだな?」

「軍の殲滅部隊も地球で時間を稼ぐ為今もモンスターと戦っている処ですよシショー」

(僕らの宇宙ってデウス界っていうのか、初めて知った)


「うむ、そこでじゃ。その時間を稼いでおる間にワシはルシエルを鍛え、戦力として数えれるようにしようと思う。」


「え、それは流石に厳しくないか?私達レベルの戦力に数えるとなると、この世界の上位戦士と同等という事になるぞ、ルーシーは地球人なんだ、無茶をさせ過ぎるのは危ない」


「大丈夫じゃ、ふふっフェンリスよお主らも知っておろう、ルシエルは交尾する程に強くなる、魔力の質に偏りが出ないよう多くの女を与えよ、そして地球で実戦の経験を積んで50年程でお主らと肩を並べる事が出来るじゃろうて」


(50年⁉︎)


「む、それは確かに…でも、いや…うーん」


「何じゃ他の女を与えるのがイヤか?ふははっお主も随分入れ込んだようじゃな」


「う、ま、先ずはウチのメイド達からにしてくれ、な、ルーシー、私の相手も3日に1度はしてくれよ?」


「バカモノ、せめて10日置きにしとくのじゃ、ただでさえお主の影響が色濃く出ておったのじゃ、ルシエルがある程度育つ迄は辛抱せい」


「ええ⁉︎そんな…っグスン」

ポロポロとヴァニラが大粒の涙を流し出した


「げっ、全く、子供の頃のままか、いくら強うなっても変わらんのう」

「御主人様、大丈夫ですよ、ルシエル御嬢様も御主人様を愛していらっしゃいます!あわわわ…」

「隊長には私もいるんだから我慢してー」

「ヴァ、ヴァニラ…何も全く出来なくなるわけじゃ無いしさ、僕も寂しいけど早く強くなれる様に頑張るからさ、落ち着いて、ね?」


「…私を1番愛してるか?スンッ…」


「も、勿論だよ、みんなを心から愛しているけどヴァニラが1番さ!」

どうやらヴァニラはお預けが苦手なようだ、素直というか、我慢が出来ないというか、うん、中身が子供だ、見た目190cm超えなのにな…


「…じゃ我慢する」


「では防衛戦力強化の為、当面はルシエルの鍛錬を地球で行う、ワシもちと地球で調べたい事があるでの、もう一つ伝えたい事がある、地球へ行く前にこの世界の主戦力を集めよ」


「あ、でわ私が議会発令しておきます、ピピっと…3日後の12:00になりますね」


「うむ、ではワシはちとロキの所に行ってくるのじゃ、では3日後にの」


言ってエメラダはマーガレットから酒瓶を奪いパッと消えた


行動早いなー、ライカは何か懐中時計を取り出し何処かと通信したらしい



「ふぅ、じゃあシショーも行っちゃって3日後迄時間もあるしぃ、街に遊びに行こっか?」


「そうですね、今のルシエル御嬢様の姿に合う御召し物もないので購入の必要がありますし御主人様達と一緒なら誘拐の心配も低くてすみますね」


「おお、行こう行こう!服や装飾品なんかも買いに行こう!それにそろそろ牧場にも肉を選びに行きたいしな」


「牧場?そっか、毎日食べてるあのステーキの肉だね?ボクなんの肉なんだろうって思ってたんだ、楽しみだなー」


「じゃあ早速行こう行こう♡」






そうして僕らは街へ買い物へ繰り出す事になった、輸送中汚れるかもって事で先ずは牧場へ向かう事になった


「ビフレストゲート」


ライカがゲートを開き移動する

思えばこのゲートも魔法の1つだ、エメラダの転移とは全く違う、転移の方が数人の移動に向いてるが、大量の物を移動させるならゲートの方が向いてるかもしれないな


ゲートを抜けた先はだだっ広い草原だった、只々広い、視界の遥か先まで全て続く草原だ、緩やかな丘陵が大海のうねりのようにも見えるその青い草原で、転々と巨大な動物がのんびりと草を食べている


「もしかしてあれが食材?」


「ん、そうだ、アレはボボと言って私たちの主食だ」


パッと見馬鹿でかい牛か豚、いや豚より猪かな、牛と猪を合わせたような四足動物だ、頭には巨大な角が生えており、丸々と太った体は丈夫そうな辛子色の体毛で覆われており、動きは実にゆったりとしている、体高は5m近くあるだろうか、一頭一頭が数十tはありそうだ


「いつもアレを食べてたのかー、初めましてボボ、いつもありがとう」

正直安心した、いつも食べてるステーキ、実は地球人の人肉だった、なんてグロ落ちだったりして?とか思っていた


「この牧場はウルザブルン大平原という場所にあってね、ボボ達が食べているあの牧草はこの平原に生えるウルズ草って言うの、このウルズ草はウルズの泉の魔力の恩恵を受けて育っているのだけど、そのウルズの泉の水は極魔峰ウルザードの魔力たっぷりの雪解け水で出来ているの。だからこの場所この草を食べるボボ達は凄く栄養が豊富で貴重なのよー」


「ここは御主人様の所有されている私設牧場の1つなのですよ、好きなだけボボ肉が食べれるようにと、他の天体よりこの地にボボを連れて来て放牧したのです」


「スケールデカいな…」


「うーーーーんいい匂いだ、実に良く育ってるじゃないか、なあマーガレット」

「はい御主人様、彼方のボボなど特に美味しそうですわ」

「うん、じゃあ早速調理場に送るねー」


ライカがゲートを開きサッとボボを転送してした


(こんなにあっさり終わるとは…それにしても本当に良い匂いがするな)

ボボの安心するような獣臭さだけじゃなく、ここに吹く風、ウルズ草の匂い、頭の中は晴れ渡るような匂いがする


「じゃ次はルシエルちゃんの服ねー」


そう言って僕らはまた直ぐに移動した






移動先はヴァナルランドだった、でもヴァニラのビルではない、遠くにヴァニラの家である超高層ビルが見えるが、此処はそこから5km程離れたビルの屋上だ。


「街での移動は基本的に屋上同しなのかい?」


「ん、そうよ、移動の基本は空だし殆どの建物は屋上が正門になっているのよ」


「と言ってもこれだけポンポンゲートを使える奴はそうそう居ないがな、普通ゲートはスターゲート装置を使って数人分の魔力を流して開く事が出来るが、ライカは個人で己の魔力のみでゲートを構築する事が出来るんだ、これが出来るのはライカとエスメラルダを入れて世界に10人もいないんだ、すごいよなー」


「ライカ御嬢様は超々天才なので」


「うう、もー折角褒められたのにイヤなヤツの事も思い出しちゃったじゃなーい」


「ははっ、まあどおせ3日後の共和会で会うんだ、私もヤツに会うのは嫌だがしょうがない」


「二人がそんな事言う何て主力陣も色んな人がいるんだね」


「はい、ルシエル御嬢様もお会いになられるかと思いますが、この世界での主力は、天狼族のヴァナルガンド家、不死族のミドガルズオルム家、ヘル族のアングルボザ家の主に3家から排出されているのです、天狼族は膂力、不死族は不死性、ヘル族は魔力量にそれぞれ特色があり、中でも不死族は飛び抜けて戦闘技術が高く、神殺しの一族とも言われており、尊大で他種族へ高圧的な面がおありなのです。その為他種族との折り合いも悪く、御主人様ともあまり良い関係ではないのですよ。」


「中でも不死族のイオルムって野郎は特に嫌なヤツなんだ、あのレイプ魔め」


「うえぇ、レイプ魔…それは…ダメだ…」

(羨ましいと思ってしまった、危ない危ない)


「さ、イヤなヤツの事は置いといて楽しいお買い物に行きましょうよ」

「う、うん僕は街も初めてだし色々見れるのが楽しみだよ」


街を廻ると思っていたがどうやらビル丸ごとアパレル系の店舗の様で、このビルを廻り服を揃えるのだという


今日の装いはマーガレットはいつものメイド服で、僕は合う服が無かった為取り敢えずフリーサイズのワンピースを着てウエストをベルトで締めて、靴もサンダル履きだ


ヴァニラは白いワイシャツに黒いジレを着て、暗いカーキ色のクロップドパンツを履き靴は黄色のパンプスだ、長い豪奢な髪は今日は黄色のリボンでポニーテールにしている


中に入ると多くの獣人がいた、獣人の男は初めて見たな、最初ヴァニラ達の部隊に男達は居たがみんな兜で顔が分からなかったからな


(ケモミミ尻尾がたくさんだー、か可愛いなー)


モフモフしたい


「こちらの服などルシエル御嬢様に良くお似合いですわ」


ケモミミをキョロキョロ見ていたらマーガレットが僕に服を合わせてくれていた


「あ、ああ、これもとっても可愛いね」

正直服の選び方何て全く分からん、取り敢えずマーガレットが持ってくる物に

「いいね」「最高だね」「完璧じゃん」と応えていた


ヴァニラとライカはそれぞれ好き好きに服を選び店員に運ばせている


最終的に数えきれない程の服や靴、下着を選んだ。会計をしてない気がしたので聞いてみると

「此方のお店は御主人様の持ち物ですので」

と驚きの答えが返って来た、簡単にお店と言っていたがそれはこのビル丸ごとって事だ


「よし次はルシエル用の装飾品だなそこは別の星になる、ヘルのとこだ、魔法付与された装飾品は装備者を守ってくれるから結構大事だぞ」





僕らは屋上からヘル族の星へゲートで移動した


そこはヴァナルランドと違い建物は低く、せいぜい4階建ての高さまでだ、なんとなく消滅したパリの街に近いか


ヴァニラについて行き石造りの上品な建物の前に着いた、ウルカグアリーと彫られた石の看板が正門の上に小さく表示してある、いきなりヴァニラがガラス張りのドアにそのまま突っ込んだ、と思ったらフッとすり抜ける、触れてみると何か膜の様なもので、少し抵抗は感じるが簡単にすり抜けられる


「この膜は魔導具装置で張られていて室内に汚れや余分な太陽光を調整する役割があるのです」


「ヘル家の開発した自動結界装置なのよー、設定次第で色んな効力を足せるの、防犯だったり、空調を調節したり、魔導を極めた一族の生活道具の一つよ、便利よねー、ヘル家はこういった魔導具を沢山作って普及させてるのよー」


「それは…すごいな」

開発した道具を一般の生活に浸透させるってのは革命の1つだと思う、必需品を作るってのはそれまでの生活を変える事になるからだ


店内に入ると宝石やアクセサリーが大きさや形、おそらく身に付けて行く場に合わせた雰囲気の飾り方をしているのだらう、ファッションセンス知識ゼロの僕でも上品さが分かる、絶対高い店だ!


「いらっしゃいませヴァナルガンド様、ミョルニル様、ロックベアー様、とはじめまして美しいお客様、私はこの店を任されておりますローランドです」


「…は、はじめましてルシエルって言います、よ、宜しくお願いします」

店長出て来た、白髪の見た目60過ぎのお爺様って感じだが身長190cm近くて姿勢良くタキシードを着こなしている…何というか

(カッケーーー!)

僕が女なら惚れてるね!落ち着いた佇まいが安心感を感じさせ紅い瞳が知性と野生味を訴えてくる、男の体になるならこの雰囲気を真似したいと思う


「やあローランド、今日はこのルーシーに色々と見繕って欲しいんだ、頼むよ」


「畏まりました、ではお手数ですがルシエル様、普段の用途や御召し物を御伺いしてもよろしいでしょうか」


「あ、はい、えーっとぉ?」

「ルシエル御嬢様、代わりに私がお応えしますわ」

「あ、お願い」

なんも答えれん、知識ゼロの上に場に飲まれてる

因みに今の格好はさっき買った服に着替えている、僕の白銀に輝く髪や瞳、雪の様に白い餅肌に合うからとクリムゾンレッドのワンピースだ、しっかりした生地だが肌触りは良く、胸元が開いているが下品にならない様な絶妙な形をしている靴は黒のメリージェーンだ、髪は芥子色ヘアバンドで


「ルシエル御嬢様の普段の装いと用途の一覧です、此方を参考にお願いしますわ」

マーガレットがタブレット端末の様な物を出しローランドに見せながら話をしている

そんなものがあったのか、先に出してくれれば良かったのに…後で僕も教えてもらおう。


「ありがとうございます、畏まりました、では直ぐに商品をお持ち致しますので1、2分お待ちいただいてもよろしいでしょうか」


「はい、宜しくお願いしますわ」


(早っ!話始めて30秒も経ってないぞ⁉︎)


「此方の品物になります、どうぞご覧下さいませ」


これまた早い、1分掛かっただろうか、ヴァニラとライカも一緒に空中に浮いたカートで運ばれて来た装飾品を見る


「全部もらおう」


「え?」

思わず声が出た


「ありがとうございます、直ぐに商品を包みます」


まだ1つも手に取ってもないのに「全部もらおう」?大小20個以上の首輪や腕輪や指輪やらがあったがなに1つ合わせてないぞ


マーガレットがカートに手をかざした、会計かな?


「ありがとうございます、またのお越しをお待ちしております」


結果5分で店を出た


「ねえ、随分早かったけどよかったの?服はあんなに色々合わせたのに」

「はい、合わせる目的と装いが決まってましたので早く済んだのですわ」


「そか」

そういうものらしい、ファッションわかんねー


「よーしじゃ最後は美味いもの食べにいくぞー!」


「それじゃあ今日はアルマティに行きますかー」


「いいな!よーし食うぞー!飲むぞー!」


そうして僕らはまだ16:00過ぎだというのに夜食へ向かった

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート