僕は帰って来たヴァニラ達に一緒に地球に行き共に戦いたいと頼んだ
けっして訓練が嫌で嫌で逃げ出したいからと言うわけではない、無いったらない
「お落ち着けルーシー、その前にその姿はまさか覚醒進化したのか⁉︎地球人が⁉︎」
「ふわぁこんな美少女見た事ありませんよぉ」
「いえ覚醒進化ではありませんわ御主人様、ルシエル御嬢様は伝説の英雄達の様に魔力を浴びて急成長をされたのです」
「何だそれは?」
覚醒進化という初めて聞くワードが出て来たが違うらしい、そしてヴァニラは自身の魔力の影響で僕が急成長した事を知らないようだ
「では一旦お食事をしながら説明しましょう」
ヴァニラの部屋で僕、ヴァニラ、ライカ、マーガレットの4人で食事をし、箸やナイフフォークをまだ上手く扱えない僕の食事をマーガレットが補助してくれている。僕は映画やアニメでしか地球の常識を知らないけど、此処ではメイドも場合によっては一緒に食事をしたりお風呂に入ったりと地球の常識とは違うようで僕はこっちの方が好きだな、一緒に食事をするんだけど給仕もする、何だかお母さんって感じで家族って雰囲気がして居心地が良い。
「もとより伝説級の実力者である御主人様や超天才であるライカ御嬢様は馴染みが無かったのかもしれませんが通常高圧高純度高密度の魔力に至近距離で曝された場合、その器である体がそのエネルギーに耐えられず蒸発するか運が良くても死んでしまうのです、それをルシエル御嬢様は御主人様とライカ御嬢様の超々々高魔力放出をゼロ距離で浴び続けたのです、それに耐えられただけでもルシエル御嬢様は驚異の器をお持ちですし、その器を満たした御主人様達の魔力がルシエル御嬢様の体を急成長させたのですわ」
「「成る程」」
「それだけかよ⁉︎ボク死ぬとこだったって話だよ⁉︎」
「まぁまぁそれでもルシエルちゃんはこうして生きてるし良いじゃないのよぅ」
「うむ、つまりルーシーは目合う程に強く成長出来るというわけか、素晴らしいじゃないか」
うーん僕がおかしいのかぁ?まあ魔力の影響で急成長ってのも説明されてもよくわからないしな…
「ルシエル御嬢様は初め不思議な程体幹も未熟で重心も安定していなかったのですがこの4日で見違える程に丈夫になられました、体の動かし方をある程度身に付けたので条件付きでなら多少は戦う事も出来るかと思いますわ」
「おお、そうなのか?凄いじゃないかルーシー、それじゃあ暫く休暇を取れるから明日にでも我々だけで地球へモンスター狩りに行こうか」
やった!
「うん行きたいよ!前は何もせずに殺される処だった、どれだけやれる様になったか試したいんだ」
「それでは私は護衛も兼ねてルシエル御嬢様のお側で実戦の解説を致しますね」
「えーじゃあ私も張り切っちゃおー、今回は全く戦いも無しだったから明日は思いっきり戦るぞおー」
「ふふっそうだな、この4日間戦闘が無かったし明日はルシエルに我々の活躍を見せてやろう」
「御主人様とライカ御嬢様が本気で戦闘をするとルシエル御嬢様の獲物がいなくなってしまいますわ、少しは獲物をお譲り下さいませ。それとルシエル御嬢様はまだ戦闘技術を教えていませんので投石での参戦を推奨します。食後に明日の模擬訓練をいたしましょう」
「投石かぁ昨日から割と狙った所に投げられる様になったから当てられるかな」
この4日間、マラソンの次に多く行った訓練が鉄球キャッチボールだ、素手でやったのでキャッチミスをする度に骨を砕かれた、その甲斐あってキャッチのコツも掴めたしステータスを活かした投擲も上手くなったと思う
「そうだ、ねえヴァニラ、救助された地球人達は何処に送られてるの?」
「ん、ああ割と地球に似た星を開拓して其処に移住してもらったよ、いきなりこの星の住人と住まわせても何方も混乱してしまうだろうって事でだろうな、まあ政府の考えだ、その星の生活状況もモニタで観れるが軍本部にはその星と繋げたゲートもあるから割と簡単に行けるぞ、行ってみるか?」
「んー今はいいや、そのうち行ってみたいけど今は明日みんで行く地球が楽しみだもん。てか星ごと開拓して住まわせるなんてとんでもない技術に思えるんだけど普通なの?」
「其々専門部署がありますからねー、その能力に特化した人達を集めて一気に開拓をするんですよー」
「そっか、それは凄いな、其々どんな部署があるの?」
「んん?あれ?隊長から聞いてなかったですか?」
「私が説明したのはルーシーの宇宙が他の宇宙から侵略戦争を仕掛けられているという事くらいだ、細かい話はライカが説明しろ」
「もぅ、えっとね、じゃあまずはー」
ライカの説明によるとこうだ
この宇宙では神々と直接会う事も出来るので
王等は存在せず、共和制の様に神々と方針を相談したりするリーダー達を其々の星々に置いているそうだ。
宗教というものも存在しないとの事、おかしな話に聞こえるかもしれないが神の存在が実際に身近にあると宗教は生まれないらしい。考えてみればそうだ、「神の存在を信じますか?」なんてのは実際に居る事がわかる世界の人からすれば、「逆に知らないのかよ?」と思われちゃう。
ただ神々の中には自分の支配域で自らを崇拝させたり生贄の儀式をやらせたりと悪趣味な遊びをする神も存在するらしく、その場合支配圏争いをして神を殺す事もしばしばあるとの事、何とも恐ろしい話だ。
て事でその神の支配圏に住む者は主神と眷属といった関係で、神々の戦争が起こるせいで眷属にあたる人々は必然的に軍を組織する事になって、自然と軍が政府組織を運営する流れが出来たそうだ。
その軍だが、統括機関が必要な部門をいろいろ専門的に分けている
行政機関、金融機関、衛生機関、開発機関…etc…などなど兎に角沢山あるらしいよ、うん。
ヴァニラ達は特務機関の異界調査部隊として編成されたらしい、驚いたのは調査隊はヴァニラの一隊だけだというのだ、確か50人ちょっとしかいなかった筈だがそれで宇宙をくまなく回りきれるのかと思ったが、探査機が優れているそうで銀河系くらいならスッポリ探索出来てしまうらしい。そして前に言っていた様に戦闘はヴァニラとライカが殆どを請負い他の隊員の仕事は探索と死なない事、そしてゲートを繋ぐ為に集められているんだそうだ。
量より質、それも圧倒的な質がものをいうのがこの宇宙の常識だった。
ドラゴン並みに強力な敵と遭遇した場合、人数が多過ぎれば被害が増えるだけだし少数精鋭になるわけだ。
そして今回は調査隊が多くの生存者の場所を特定したので短期集中で一斉に救出活動を行ったのだ。
もう地球に人間は残っていないだろうという事で帰還したので、今は殲滅部隊が地球でモンスター共と戦っているそうだ、明日はその地球の激戦区を避けてモンスター狩りを行う予定だ。
この宇宙はユグドラシルと言い、この星はヴァナルヘイム、この都市はヴァナルランドと言う、この辺りはロキって神の支配圏らしい
何でもこのロキ神、獣人が好きらしく別の支配圏からやって来て、元居た神を殺してこの星の支配圏を乗っ取ったらしい。大昔の事でその時の事は記録に残されているだけだが何千億億の生命が死んだそうだ、何とも迷惑な話だが、神からすればその死も自分のエネルギーになるのだから気にも止めないのだという。
僕はアルティミアが死んじゃうとスキルも増やせ無いから困っちゃうな、持ちつ持たれつ頑張ろう。
食後の運動だと言ってヴァニラとライカも僕の訓練について来た
今日の訓練は明日の為に投石を当てる練習って事でヴァニラ達3人が的になり僕の投げる鉄球を避けるだけとなった、それならキャッチボールで良くないかって?訓練前にヴァニラとマーガレットのキャッチボールを見たらそれは出来ないよ。だってまるで戦艦の主砲の撃ち合いなんだもん、当たらなくても衝撃波でバラバラに弾け飛んじゃうよ
僕もステータスを活かして高速で豪速球を連投したんだ、それこそ数千球ね、当然のように僕の投石は1度も当たらなかったさ
遅くまで訓練をしてヴァニラ達も僕と遊べて楽しかったと言っていた、僕は必死に本気でやっていたんだけどね、まだまだ赤子と大人って感じだ。
それから4人でお風呂に入り、4人で食卓についた、僕がマーガレットも一緒に食事をするのを気に入ってお願いしたんだ、やっぱり何だか家族って感じがしてとっても良い
マーガレットは夕食後、明日の全員分の準備をするとの事で部屋を出た
そして僕は明日準備の為Lv上げに精を出す、勿論ヴァニラとライカの3人でね♡
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