神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
やほ

第52話 終演

公開日時: 2020年10月17日(土) 00:00
文字数:3,355

その火は太古の宇宙で何も無い頃

今は亡き創世の巨神であるユミルという神がギンヌンガガプという小宇宙で暮らしていた時に異界よりの侵略に合い怒りと憎しみによって生み出したのが終焉之炎焔である


その火は時空すらも燃やし尽くし後には何も残さ無いと言われている、全ての存在を一纏めに滅ぼしてしまう恐るべき火だ、巨神ユミルはその火を創造すると共に自身も燃え滅び侵略者の宇宙ごと燃やし尽くしたと伝わる


始まりの場所に在ると伝わる火、時空すら燃やし消滅させると言う終焉之炎焔が残っているなど在るはず無い、神々に置いても御伽噺であるというのはそういう事だ


「はははははっ燃えろ燃えろ!くたばれ愚か者共が」


バルドル達は抵抗する事も出来ず焼き尽くされ、ヴァルキリー達も1人を残してみんな燃やされてしまった


「クソッ!みんな殺された!己ッ己ッ!」

オーディンは最後のヴァルキリーと共に火から遠ざって回避しながら悪態を吐く


火から逃れるが黒龍が2人に迫り瘴気で身体を朽ちさせてくる


「我が主人…さよならです、どうか貴方は生きて…」

「うおおぉ死ぬな!待て!」


「もう良いだろっ!二グラスッ!!」


黒龍の黒炎瘴気に身を朽ちさせるヴァルキリー、しかしその体内から突如触手が突き出した!


ズビュルッ!ズヴッ!ギュルッ!


「あああっ!」

「なっ!?ロキ貴様何をした!?」

触手が体に巻き付きヴァルキリーを締め上げる


「やっと食べられる、何とか間に合ったわねぇ」

ヴァルキリーの体内から現れたのは魔神ニグラスだった、ヴァルキリーを呑み込み喰らい尽くす


「ああっ凄い!どうなってるのこの女!?エーテルがどんどん溢れてくる!」

「己!我が妻を!何だこの魔神は!?気配さえ無かったぞ!」


ニグラスは一定の抵抗力を下回った時に対象を捕食する事が出来る、ロキはニグラスの準備を整える為に戦いを消し掛けていたのだ


そしてニグラスは対象に寄生し内から捕食する、どうやって体内に侵入したか?それは自身の体をナノマシンよりも小さな粒子に変え、その種を小さな傷やあらゆる穴から入り込ませたのだ


神器エインヘリアルの残り全エーテルごとヴァルキリーを呑み込んだ、何度も分裂増殖出来るニグラスはそのエーテル量に何度も体を焼かれながらも体を作り変えエネルギーを取り込んでいるのである


「さあ、残るはお前だけだぜオーディン!二グラス!コイツは今のお前でも戦い方を間違えば負ける可能性がある、格下と思って舐めてかかるなよ」


オーディンはすぐさま神舟フリングホルニでエーテル供給方向を己に変え二グラスへ流れるエーテルを絶ち切った、そして神器エインヘリアルの蓄積エーテルを自身で使用する、使用後自身が滅びる運命を受け入れて


「我が妻達も最早生まれ変わる事さえ叶わぬ、ロキよ、せめて貴様の完全なる死を持って弔いとしよう」


オーディンが装飾高い黄金の全身鎧に包まれる、神器エインヘリアルの効果が顕現している証だ


「ぬううぅん!」

オーディンが内より激しくオーラを爆発させる、オーディンが動く


ズゥヲッ!

その瞬間瘴気の黒龍が上方より急襲しオーディンを呑み込んだ


「あ」

ロキが思わず声を漏らす、ヴァルキリー達の浄化オーラによって押し出されていた黒龍だが、邪魔するモノがなくなり近付けるようになった、攻撃命令を出したままだから当然なのだが、思わぬタイミングに唖然としてしまった


ロキが呆気に取られていると黒龍の穴という穴から萌黄色の光が迸った、腹を引き裂きオーディンが這い出てきた


「都合良く体内から破壊し易かったわ」


グングニルは失われたが今の一撃一撃はグングニルの火力にも匹敵する、オーディンは瘴気の黒龍を浄化してロキへ突貫した


それを二グラスの触手が行く手を阻む

「貴様の相手はワタシがする、お前も中々美味そうだ」


「その醜い姿で妻達の気配を発するな!死ね化け物がっ!!」


憎悪を籠めた右ストレートから光の波動を発するオーディン、知覚出来ない速度の連撃で二グラスを撃つ


「があぁぁっ!イギィイィ焼ける!身が焼けるぅっ!」


既にエネルギーの総量ではオーディンよりも二グラスが大幅に上回っている、オーディンは防御を捨てて攻撃の一点のみにエーテルを集中し二グラスへ打つけている、敵の攻撃も攻撃を被せ捩じ伏せる戦闘方法だ、一撃でも貰えばダメージは甚大、勝利の為に全てを掛けている


「やっぱり侮れないぜぇ、悪いけど、俺は自分で戦うのは趣味じゃないんでね、頑張れ二グラス、お前が頼りだ」


「ぬあああぁぁーーーいいいいっ!」

二グラスは多重結界をオーディンとの間に発生させた


バリイィィィンガシャンガシャガシャガシャガシャシャシャシャシャシャシャン!


構わずオーディンは結界を殴り続ける、一撃で数枚の結界が割れ爆ける、オーディンの連撃によって薄い硝子が粉々に砕けるように飛び散って剥がれていく

二グラスは結界を生み続ける、オーディンは結界を砕き続ける、何方の速度が上回るか、


二グラスは焼かれた触手を自切し新たな触手を生やす、結界越しに触手の突きを繰り出した、均衡を破る一撃


それを決めたのはオーディンだった、二グラスが溜めの攻撃を繰り出した瞬間、短距離転移で背後に回り溜めの右ストレートを二グラスの背中から突き刺した!


「がふっ」

「おおおぉっ!燃え尽きろ!イカ女!!」


「ぃぃいいいいいぎゃあああぁぁぁぁーーーっ!!!!」


オーディンは二グラスの心臓を握り潰して浄化の焔を爆発させた、流石の上位魔神二グラスも体内から浄化されれば抗う事も出来ずに魔石を浄化された、そして黒紫色のタールのようにドロドロに溶けて消滅していった


「はぁはぁっ、さあ、残るはお前だけだ、ロキ、今度こそ1対1の最終戦だ、覚悟しろ」


オーディンが強い視線を打つけるがロキはニヤニヤと薄笑いを浮かべている


「1対1?ホントにそうかなぁ?ちょっと気が早いんじゃなぁい?」


「なに?うぐっ!?」


オーディンが腕を押さえる、二グラスの心臓を握り潰した腕が激痛に襲われたのだ


「馬鹿な!確実に魔石を浄化した筈だ!」


その痛みが急速に全身を走りオーディンの動きが止まる


「最高のタイミングだ、バイバイオーディン♡」

オーディンが顔を上げるとロキが目の前に立ち、緑の火を纏う質素な剣を振り下ろした


斬ッ


一太刀、オーディンの首筋から対角の脇腹へと袈裟斬りで両断した


「があっ!」

「んもうっ何をするロキ、もう少しでこの男の神核を喰らい尽くせたのに」


オーディンの胴体から二グラスの声が聞こえ触手が這い出てきた


「だからこそさ、コイツの神核ばっかりは誰にも譲れねえよ、頂きます!」


「…クソ…ごっ、!おごぉっ!」ブピッ


ロキは剣を離しオーディンの切断された気道から脳へと腕を突き入れ、躊躇なく神核を握り潰して吸収した


「おおっ力が満ちる、漲る、溢れる!迸るーーっ!!」


ロキの切断した左腕が元通りになり体が大きく逞しく成長する


「へえっ、アンタも良い男になったわね、凄く美味しそう♡」


「ははっ俺の後の目的はトールだけだ、他の神は全部お前が喰っていいぜ」


「ワタシは力の大小よりどれだけ好みかが重要なのよ、今喰べたオーディンも最高だったけど、その前に喰べたフレイ、あの味は忘れられないわ、今でも思い出しただけでホラこんなに…」


くちゅくちゅと背中の太い触手を膣口に挿入し動かしてそれを指で広げてロキに見せる、愛液がダクダクと溢れニグラスの魔力が増幅する


体質に合ったエーテルがあるのだろうとロキは思ったがそれ以上の興味は持たなかった


「そうか、美味いヤツに会えると良いな」




それからロキとニグラスはトールとの戦いの前にその他のユグドラシルの神々を余さず殺し吸収した、十分に力を蓄えトールの実力を超えたと踏んでロキは望みの戦いに挑んだのである


そこに至る迄の映像を嬉々として解説しエメラダに観せるロキ、ニグラスもすっかり全身を復元し横のソファでだらけ退屈そうに欠伸をしている、ニグラスはエメラダの小さな存在値と女という事から興味を持っていない


「どうだいエッダ?面白かったろ?ふふふっトールの力も得た今、俺に敵うヤツなんてどの宇宙にもいないんじゃね?」



「…ふぅ、そうじゃな、なかなかおらんじゃろうのぅ」


「あーその含みのある言い方、やっぱウゼェわ、じゃお前もそろそろ死ぬか」



そして遂にエメラダへと死が迫る

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