神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
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第40話 竜舞

公開日時: 2020年9月4日(金) 22:30
文字数:2,916

核撃ブレスを吐き出すドラゴンが現れた!ベヒーモスとの戦いで派手に暴れた為、結果ドラゴンを呼び寄せる事になってしまったようだ


「ドラゴンだ!」

「純竜じゃの」

「純竜?他にも色々種類がいるの⁉︎」

「うむ、先程のワイバーンや亜竜、今の純竜もじゃがレッサー、エルダー、エンシェント、そしてネームド迄階級や種族があるのじゃ」

「ネームド?真名持ちの事?」

「いや、あまりに強い個体に呼び名が付けられいつの間にか名称となったモンスターの事じゃ、中には神を喰ろうて神化した者もいるそうじゃ」

「そんな危なそうなヤツ迄いるのか…あのドラゴンはどのくらいの強さなの?」

「知らぬ」

「え」

「見て分かるのはフェンリス達よりは強力だろうという事くらいじゃ、アレこそ格上じゃ、2人が連携し合って何処まで通用するかが見所じゃのう」

「十分危険じゃないか」


僕は画面を凝視しヴァニラとライカを探す


2人は先程よりも上空へ、宇宙空間迄退避していた。どうやら無事の様だ、熱烈なディープキスをしているからね、ライカの強化支援魔法の重ね掛けなのだろうが一瞬こんな時に何をしているんだと思うところだ。


ライカは更に上空へ、ヴァニラはドラゴンへ向けて翼を広げ飛翔した


ドラゴンは未だブレスを吐きまくり星を破壊し続けている、その姿は赤銅色で所々赤かったり赤黒かったりしており見るからに堅そうな鱗に覆われている、尻尾を抜いた体長はおよそ30m程か、尾はその更に倍以上の長さがあるので全長100mはありそうで、背中の翼を広げた横幅もそのくらいはある、金色の眼に頭部には何本も角があり特に一対の角が大きく先に行く程黒く染まっている、尾や手脚も同様に先に行く程黒い


それにしても何を爆撃しているのかと地上を映した画面を見るとマグマの海に何か蠢いているのが確認出来た、煌々と赤く燃える巨大蜥蜴だ、全長8m程の燃える蜥蜴がマグマの海で泳いでる、それも数百匹の群れで彼方此方で飛び跳ねていた。それがドラゴンのブレスの直撃に合い蒸発している、前にも観たがドラゴンにはどの世界の存在も関係無く敵判定なのだろうか


「アレはサラマンダーじゃのぅ、珍しい、幻獣じゃぞ」

「幻獣?魔獣とは違うの?」

「近い存在ではあるが幻獣とは半分は精霊なのじゃよ、精霊とは自然の中でエーテルの溜まる場所等で偶発的に自我が芽生え意思を持った精神体の事じゃが、幻獣はその精神体が更に魔石に宿って発生する稀な存在なのじゃよ、そもそも魔石を創る神が少ないからのぅ」

「その幻獣であるサラマンダーがボコボコに殺られてるのか…」

「まぁ魔獣からすれば何よりのご馳走じゃからのぅ、ベヒーモスがマントルを剥き出しにした事で星の中で生息していたサラマンダーを食べ放題になったからのぅ、あのドラゴンは喜び勇んで寄って来たのじゃろう、普段は火山の火口から潜り探索しているじゃろうしのぅ」


死んだサラマンダーから金色の粒子が立ち昇っている、ドラゴンが其れを思いっきり吸い込んでいる、アレがドラゴンの目当ての様だ。



そこへ遥か上空より到達したヴァニラが完全に無防備なドラゴンの頭部へ初撃にして最大の一撃を決める、己の身を光の魔狼と化しての強襲蹴りだ!世界が閃光に包まれる。ベヒーモスに打ち勝った先程の激突を優に超える一撃だ。ドラゴンの核撃ブレスを遥かに上回る魔力量!

初撃で決まった!そう思ったが甘かった、ドラゴンは片角が折れているし多少はダメージも入っただろう、しかし完全に不意をついた最大の一撃でその程度だった、絶好の機と持てる最大火力でやっと角1本、機を逃さず畳み掛けるヴァニラ、超速回転の連撃を喰らわす!

しかしドラゴンは初撃のダメージを頭を震わせ抜き、その身を叩きつけるヴァニラの連撃を意に介さず怒りを発して閃光の様なオーラを爆発させた、その衝撃にヴァニラは全魔力を高め防御体勢で耐える、迸るオーラに耐えるのに一瞬身動きの取れなくなったヴァニラに大咆哮を放つドラゴン、紙一重ライカの遠隔ゲート転移によってドラゴンの斜め後方、咆哮の効果範囲外に逃れるが、魔力の揺らぎを鋭敏に察知したドラゴンは身を回転させ尾を振り波動による次元斬りを繰り出した、ライカの張った多重結界が薄い硝子を連続して砕く様に弾け飛ぶ!身を裂かれる瞬間、超反応により魔力の小爆発を発生させ爆風を喰らう事で強制移動をし辛くも波動の直撃を避けたヴァニラ、次元斬りによりマグマの海が二つに割れる。

しかしドラゴンは更なる超速接近をし回転して連撃を繰り出す!爪撃、尾の叩きつけ、翼によるなぎ払い、噛みつき、頭突きと、回転を活かした変化に富んだ凶悪な乱撃はさながら舞の様で見る者を魅了する美しさを孕んでいる


その竜の舞の標的となったヴァニラは自身の超反応とライカの遠隔支援との連携により何とか直撃を避け続ける、しかしその絶大魔力の乗った超速質量攻撃は直撃を避けても副次的魔力嵐により容易にヴァニラの身を削りダメージを蓄積させる、とうとう攻撃を避けるのに限界を迎えたその瞬間、天空より巨大なサテライトビームがドラゴンに直撃した!その威力によりドラゴンはマグマの海へと押し落とされる


別画面で気付かなかったが、ライカが最大魔力による極限魔砲を発動させたのだ


ヴァニラは逃げるのでは無くマグマの海へ向けて飛翔した、間を置かずマグマの海が膨張すると大噴火を起こした


ドラゴンの咆哮によりライカの魔砲以上の波動が天を突き刺す!追撃にブレスによる対空砲の嵐を発生させる


天体を俯瞰で映すウィンドウには核戦争でも起きたかの様な連続爆破が空を埋め尽くしていた


ヴァニラはブレスを何とか避けられたがライカは衝撃に巻き込まれ深傷を受けた!対空ブレスは止まずライカはボロボロになり遂には力尽き落下した


憤怒に燃える赤竜の煌々と眩いオーラは触れるもの全てを蒸発させていた、その状態から再びヴァニラへ向けて飛びドラゴンダンスを繰り出し今度は容易く標的を捉えた、ヴァニラはオーラを纏い爪撃を受け流すが、受けた手は裂かれ、尾の叩きつけを受け流した腕は粉砕された!攻撃を受け流す度身を砕かれる、最後の爪撃により叩き落とされ、頭蓋を砕かれ意識を失いマグマの海に突っ込んだ


「2人共ヤラれちゃったよ!イヤだーーーーー!」


完全に防戦一方でとうとう撃墜された2人、ドラゴンは溜めを作り魔力を膨れ上がらせる、トドメを刺す気だ!容赦の無い魔力増幅、ここへ来てこれまでに無い最大攻撃を放つ!


特大火砲が打ち出されたその時、その背後から青白い光の流星が火砲を追い抜きマグマの中に飛び込んだ!直後ブレスの大爆発で大陸が消し飛んだ


「…し…死んだ…2人が…」

「よく観てみよ」

「え?」


煙の中から先程の青白い光が飛び出して来た、巨大な狼だ、それは透けていて中に人影が見える、僕も良く知る人物だ


「お兄さん!」


巨大な光の狼はヴォルフリードの溢れるオーラであった、そのオーラの中には回収されたヴァニラとライカが寝かされている


「2人とも無事だ!良かったぁ〜」


ヴォルフリードはドラゴンへ対し冷たい視線を向け、隠す事無く敵意を発している


明確な敵に対しドラゴンは大轟声を上げ威圧で応える




覚醒戦士の戦闘が始まった

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