神々之黄昏

R指定のラグナロク
やほ
やほ

第2話 初陣

公開日時: 2020年9月1日(火) 21:22
文字数:8,292

全裸で森の中に転送された僕はすぐさま周囲の警戒をした

木の陰に隠れて気配を沈め周辺の情報に五感を向ける

(全裸転送とかターミネーターかよ防御力0で徘徊する事になるなんて、ああっしかも今敵でも出てきたら戦う為の武器も無い絶望的な状態だ、拙過ぎる!)


「おい、アル!聞こえるか?」


…………………


(くそっ連絡が付かない)



改めて自分の体を見てみると平常時サイズのチンコが小さ過ぎて全く無い、玉と一緒に体内に埋まる程に小さくなっており亀頭の先が僅かに外に出ている、もはやクリトリスだ、そして体内に埋まる玉により表面は一筋の腺になっている、見た目はまんま女性の秘部になっている、顔も神々しいまでの美少女だし体もつるぺたである

(くっこんなところで全裸でいるとか見つかれば異界のモンスターどころか人間の男にだって襲われてしまうぞ)

僕は隠れている木の陰から手を伸ばし木に巻き付いているツタを引き千切り葉っぱで股間を隠す

ああ大昔有名なコメディアンが全裸で股間に葉っぱを1枚だけ付けてファッションショーに出て『これがファッションの原点だ!』と言ったのを思い出した

まさか自分がやるとは思って無かった


どうやら周辺には敵性は感じない、薄ら明るいくらいだが今は何時くらいなんだろう、ここが地球のどの国のどの辺りなのかもわからない

失敗した、アルティミアのあの感じだと僕がある程度力を取り戻させないと当てにならないぞ残念神め


(そうだ地面を鑑定してみよう、何処の国なのかくらいは分かるかもしれない)

そう閃き地面を見て鑑定と念じた


鑑定・地面


まんまだった

(クソがっ使えねぇよ!クソがっ!)


Lv1では鑑定も全く役に立たないことが分かった、こうなってしまった以上自分で何とかするしか無い

とりあえず開けた場所か川を探そう此処じゃ現状把握が出来ない


木の陰から木の陰へとカサカサと股間を押さえながら移動する

不審者でしか無い、服が欲しい

兎に角武器になるものとして木の枝を拾った、無いよりマシってくらいの物だが仕方がない


しかし直ぐに開けた場所に出れた、その先にはビルや商店街などの建物が並んでいる、転送場所は公園の中の林だったようだ

幸い周囲には誰も居ないようなので出来るだけ素早く目立たない様に商店街へ向かう、建物の看板広告等には日本語が多く使われている、此処はどうやら日本かもしれない

日本語なんてレアな言語、中国の離島で知られる日本くらいでしか使われないからな

昔は別々の国だったが今では日本は中国の一部だ


商店街の中を葉っぱ1枚で周囲を警戒しながら歩く、そして青丘洋服と書かれた洋服を置いていそうな店に入った、学生向けの服を販売してる店のようで色んな学生服があった

今の姿で怪しまれない自然な格好を選んだらセーラー服しかなかった

丁度髪の色も黒なので普通の日本の女子中学生だろう

下着以外全部服が揃ったので次は武器だ、さっき商店街の入り口の方にヤクザの事務所っぽい三階建ての建物があった、山口會と立派な看板に書かれていたしな。そこなら武器が手に入りそうだ


洋服店を出てコソコソと歩き出す

(しかし全然生き物を見ないな)

僕は現実の生活知識0といって良いから日常と乖離した状況があまり分からないが、虫1匹見ないのはきっと異常だと思う


ちゅちゅっ!


驚いて音のする方を見るとネズミだった、素早くかけていく

(そうだ生き物も鑑定してみよう)と意識を向けてみる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ネズミ


HP・6


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種類とHPだけ見れた


(え?僕よりHPが高いっ⁉︎)


ネズミよりも弱い事に衝撃を受ける、いや成長性を付けると弱くなるって言ってたな。

いやいやいや限度があるだろっ!こんなんじゃゴブリンに遭遇する前にネズミに殺されるかもしれない


(やばいよやばいよ)


僕は逃げるように山口會の事務所に入った


(武器、武器武器、何かないか何かないかっ)

定番の組長室っぽい部屋を探す、注意深く索敵をしながら三階まで階段を上がると両開きの立派な扉があった。きっと此処だろうと思いそっと扉を押し開ける

扉が重い、それに三階まで上がっただけだが脚が痛い、すごく疲れた、やすみたい


部屋の中に入るとすぐに壁の日本刀が目に入った

重厚な机の背の方に飾られているのだ


(やった!まさかほんとにこんなコテコテに飾られているとは)


刀に駆け寄り直ぐに手に取るが思わず落としそうになった


(お重い…)


僕のレベルのせいなんだろう兎に角体力が無い、なさ過ぎる

武器を手に入れても使えないんじゃ意味がないこのままじゃ戦えない

異世界のモンスターに遭遇したらゲームオーバー確実だ

せめて地球生命体に出会いたい、問答無用で転送出来るからだ、さっきのネズミを転送すりゃよかった


ガタッ


ビクッ!

(ねねねねねねネズミかっ⁉︎)


「みゃぁ~」

椅子の上にふわふわとした黒猫が居た、デカいな確かメイクーンだったかそんな種類の猫だった気がする


此方を気にする様子もなくゴロゴロと寝だした、可愛いなと思うがもし襲われたら僕は一撃で死んでしまいそうだ、きっとさっきのネズミよりも強いだろうしな


て事でここは即転送してみる事にした


黒猫に手の平を向け『転送』と念じる


すると、すぅーっと黒猫が消えた、自分の中を何かが通り抜けたような感覚があった


(おおっこんな直ぐ転送出来るのか⁉︎なんだか面白いな)


これならもし変態オヤジに襲われても心配要らないじゃないか何だか希望が見えて来たんじゃないか?

丁度疲れていた事もあって黒猫が居た椅子に座る、ドッシリと腰が沈むような椅子だ立ち上がりたくなくなる


何の気なしに引き出しを引くと拳銃が出てきた


(おおっ⁉︎マジか!)


かなり驚いたが日本刀が飾られていたくらいだしお約束だよな

ラッキーいきなり刀と銃が手に入るとは、もしかするとアルティミアの計らいかな

都合が良過ぎるし、しかしありがたい


ホルスターや予備のマガジンもあったので全部装備する、銃の使い方はネットやアニメで完璧だぜ、ふふふ、しかし重い


装備が調ったので一度自分を鑑定してみる


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真名・ルシエル


Lv・1


ジョブ・使徒


HP・50

MP・20


スキル・[森羅万象数値化][鑑定Lv1]


スキルポイント・0


加護・神の祝福(アルティミア)


装備品・刀・拳銃・グローブ・セーラー服・ニーソックス・靴・リボン


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(おおっ⁉︎HPとMPがめっちゃ増えてる⁉︎それに使徒?加護って何だ?)

何かしたっけ?と思い返す、猫を転送したくらいしかしてないしレベルも1のままだ


(そうか名付けだ!それで神の祝福を得たのか…(アルティミア)ってなってるし…そういや簡単に名付けるものでは無いとか何とか言ってた気もするな、まいっかそれで使徒として使い回されるならそのくらい寧ろ当然だろ)


加護の効果だろうかHPもMPも10倍になっている、凄いな、あんな残念神でも神は神か


(あれ?それでもこんなに体力が無いのは何でだ?うーん基準が分からないから今の自分の強さも分からないぞ、是非人間を鑑定したい、さっきの猫でもよかった、失敗した次からはなるべく鑑定からしよう、反省だ)


ガチャッと横の扉が開いた

「ヨリコちゅあぁん♡って誰だテメェッ‼︎⁉︎」

顔中傷だらけのオッさんが出て来た、スキンヘッドでピンクのワイシャツに白スーツのズボンで靴は動物柄、コテコテなザ・ヤクザだ


「ッ⁉︎⁉︎」

ドシン!

驚き過ぎて椅子からひっくり返り落ちてしまった


「ノ、ノーパン」


僕は反射的に手を向け転送と念じる!

するとヤクザが消えた


「ぅわあぁぁぁぁぁっあわわわわわっ」

転送した後に慌てて声が出る、不意の事に驚き過ぎて思わず転送してしまった

何だか悪い気がしてしまうが仕方が無い


「ふうぅぅぅぅー」

(あせったーーーーっ!ヨリコって誰だよ?まだ人が居るのか?…まさか猫の名前か?)

取り敢えず落ち着かねば、めちゃくちゃ心臓がバクバク言ってる


そして尻餅をついてチンコを見られてしまった、いや今はマンコか、何か悔しい…パンツが欲しい。

(ふっだが転送してやったぜ、僕のマンコを見た罰だ)


最後の言葉が「ノ、ノーパン」か


(あ、しまった鑑定するんだった…いや今の僕にはそんな簡単な事も難しいんだ)

経験が足りなさ過ぎる、このままじゃまともに戦う事も出来ないぞ、場数を踏まねば


(あーモンスターと出会わなくて良かったーーー、いきなり死ぬところだ。しかし人が居たのか、まだ他にも居るのかな?これだけ誰も居なかったから誰も居ないものと油断したな、反省しよう)

僕はヨリコちゅあぁん♡が人なのか猫の事だったのか、取り敢えず事務所中をくまなく探してみた、結果どうやら猫にヨウコと名付けていたっぽい、あれ?ヨリコだったか?どっちでも良いや紛らわしい事しやがって


くまなく探してみて地下室も見つけ降りてみると武器と札束が大量にあった、映画なんかでよくありそうな場所だ、手榴弾やロケットランチャーまである、モンスター共と戦うつもりだったんだろうかこのヤクザ屋さんは


(ありがたく使わせてもらおう、全部は持ち運べないから此処を拠点に装備を補充しながら周辺の探索をしようか、あ!アイテムボックス!そうだ全部回収してしまおう!)


武器を取り[アイテムボックス]と念じると武器が消えた

(おおっ実際見ると便利だな!)

僕は武器となる物を片っ端からアイテムボックスへ入れていった


(よし全部回収したな、それじゃ此処に居る必要もないし少しづつ移動しながら生存者を捜索するか)


外に出ようと思い事務所の玄関に隠れて外を窺う、やはり鎮まりかえっている

(みんな避難しちゃってこの商店街にはもう誰も居ないのかな?逆にさっきのヤクザが何故残っていたんだか、ペットと最後の時を過ごす的なあれか?)

どっちも僕が転送したがな


転送ってやられる側からすると殺されてるのと変わらん気がするな

でもまあそこは神を怨んでもらおう


外に出てまたカサカサと物陰に隠れながら移動し始める、直ぐ疲れるのでこまめに休憩も挟む


(全然生き物が居ない…人が居そうな所、人が居そうな所…そうだ避難所か!学校や病院を探してみよう)


割と大きな街なのか数Km先に高層ビル群が見える、その辺りが中心街で学校や病院もありそうなので向かう事にする




1Km程街中を進んで行くと早速学校らしい建物が見えて来た


ズズズゥンッ!


(何だ⁉︎)

学校の方から腹に響くような物凄い音がする


(くっモンスターか⁉︎)


パラララララララッパラララララッ


(銃撃戦の音?人間達がモンスターと戦ってるんだ!)


隠れながら近付いて様子を窺う


校庭にゴブリンの集団がおり、校舎を盾に軍人らしき人達が銃弾の雨を降らしている

僕はゴブリン集団の背の方に居るので流れ弾が怖い


あれだけマシンガンが有ればゴブリンには遅れを取らないだろう、校舎に隠れている人が居ればモンスターに殺される前に僕が転送しよう


校舎の横に回り塀を超えて校舎の勝手口を開けようとする

中から鍵が掛けられている、当然か


刀の鞘で窓ガラスを破り忍び込む、軍人達が頑張ってるがきっとあまり時間も無いだろうから急いで生存者を探す


僕は走って教室を回る、戦いの場からはなるべく離れているかと予想し奥へ向かう


ガラッとドアを開けるとやはり居た


「きゃあっ!」

「うわぁっ!』

「ひっ」

といった悲鳴が上がるが僕の姿をみて人々が安心する、15人程の集団だ


「モンスターかと思ったー」

「ふぅ中学生か、君は何処から逃げてきたんだい?家族は一緒かね?」

「あービックリしたぁー」


「あー、家族とは逸れちゃいました、外の化物から逃げる時に…」

テキトーに応えておく、快く声を掛けて来てくれるが此処はまず。


『鑑定』と念じ中の人々を調べる


ーーーーーーーー



HP・83


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HP・46


ーーーーーーーー

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HP・57


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HP・97


ーーーーーーーー


途中で辞めた、僕の鑑定Lvを上げなければ殆ど何も分からない

今のでわかった事は、僕のHP・50とはまあ小学生くらいの体力なのだろう、この中で1番強そうなオッさんがHP97で、1番弱そうな子供がHP・46だった


「この学校には他にも避難してる人はいるんですか?」

一応聞いておく


「ああ、だいたい百人程度かな?3日前のあのモンスターが初めて出始めた時にはもっと居たんだが多くがあの外の化物に殺られてしまったんだ、我々は途中軍隊が来てくれて助かったんだ」


(思ったより残ってるんだな)


「この武器は?あんたは何処から…」


まだ喋ってる人がいたが僕は次々に人々を転送していった


「バッ化物ッ⁉︎」


僕が人々を消していくのを見て全員騒ぎ出した、だが転送に掛かる時間は一瞬だ

あっという間に全員を救済できた


「よし次だ」軍隊が頑張っているうちに僕も急がなくては


次々に教室のドアを開けては見つけた生存者を転送していく

(全部で120人は居たか?割と多かったな、さて後はゴブリン集団と戦っている軍人達だが…)


ドッズウゥゥゥゥンンンン‼︎


一際大きな爆音が響き校舎が揺れる


(今のは…来たかな?新手)

戦闘が長引くと戦闘音や血の臭いなどで更に厄介なモンスターを呼び寄せる事になる、様子を見に行き軍人達が勝てそうになければすぐに逃げよう


ズダダダダダダッ

パラララララララ…

パララッパラッ…


ドォーーーンッ!

「「「「ぎゃあーーーっ!」」」」


近づくとまだまだ頑張って持ち堪える軍人達の背が見える、敵はどうだろう


此処は3階の教室だ、外を見れる所まで移動して覗いてみる


「げえっ!」

思わず声が出た


辺り一面所狭しとゴブリンが増えてやがる、多過ぎだろ、と言うか僕の逃げる隙間も無いほど囲まれているじゃないか、校舎の方も大分崩れている、ゴブリン共はコンクリの塊やバス停なんかを投げ付けている、恐ろしい速度でバス停が校舎に突き刺さり建家が爆散する。これは拙い


(味方がまだ生きているうちに協力して何とか手持ちの火力でゴブリン共を減らすしか無い!)


そう思い外のゴブリンに向けて震える手でハンドガンを構え、狙い易い奴を撃つ


パァン!


「ぐおっ!」

反動で自分が吹っ飛んでしまった、手が痺れ肩が痛いし耳鳴りもする。怖い!

痛いし怖い!

(クソッ!無条件で勝てる地球人には強気になれるのに、いざ不利になるとこうもヘタレるなんてクソダセェ!)


それも仕方ない、人生初心者の上に力の差がありすぎる

(そうだあのゴブリン共はどれくらいの強さ何だ?)


そう思い何体か鑑定で見てみると


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族・ゴブリン


Lv・7


HP・350

MP・1

SP・280


STR・203

VIT・413

INT・2

MND・3

DEX・23

AGI・111

LUK・1


スキル・[繁殖]


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


大体がLv5~9って処だった


(ゴブリン強えぇ!、てか[鑑定]が詳しくなってる、Lvが上がったのか?)

自分を鑑定してみる


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真名・ルシエル


Lv・2


ジョブ・使徒


HP・60

MP・30

SP・20


STR・20

VIT・20

INT・20

MND・30

DEX・30

AGI・30

LUK・10


スキル・[森羅万象数値化][鑑定Lv2]

スキルポイント・3


加護・神の祝福(アルティミア)


装備・日本刀・ハンドガン・ホルスターベルト・セーラー服・ニーソックス・革靴・紅リボン


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(おおっLvが2に上がってる!ステータスがめっちゃ見れる!鑑定がLv2になってる !人間を転送しまくったからか?人間とゴブリンを鑑定しまくったからかな?)


と言うかSP(スタミナ)やSTR(筋力)が20程だ、おそらくLv1の時は10だったのだろう

まだまだゴブリンにすら勝てない、何とかしてLvを上げないと拙い


今度はしっかりと全身で銃を構えゴブリンを撃つ


パン!パン!パン!パン!

(よし、今度はちゃんと当たってるぞ)


パン!パン!

(やった1匹倒した!)


パン!カチッカチッ

(弾切れだ、補充しないと)

手が痺れるのを何とか我慢してマガジンに弾を込める


また銃を構え狙い頃の集団を選び、その真ん中辺りの奴の頭を狙う


パンッ!


当然の様に狙った奴には当たらないが外れた先もゴブリンだ

急所には中々当たらないが1マガジンも撃てば誰かしらの胸や頭に当たり倒せた


瓦礫を投擲するゴブリンに弾が当たると「ギャッ!」と言う嗄れた声を上げ紫の血を垂れ流す


それから味方の掃射に隠れる様にして手持ちの残弾を全て撃ち尽くした


殆ど無駄撃ちになったが5匹倒せた


外にはまだ100匹はいそうだ


(よしアイテムボックスから他の武器を取り出そう[アイテムボックス]!………あれ?)


武器が出てこない


(えっ⁉︎何で⁉︎)


もう1度[アイテムボックス]と念じる


すると手に持っていた空のハンドガンが消えた


(いやいやいや収納じゃなくて出したいんだが⁉︎)


「ぐぎゅるるるるるるぅ~~」

(え?何だ今の僕の腹から鳴ったのか?)


そういやお腹もキュっと痛く喉もカラカラだ、じゃなくて!銃が無い!


僕の力で出て行って刀を振り回しても勝ち目は無い、寧ろ振り回すだけの力も無い



「ギャギャギャ!」

「ギィ!ギィ!」


発砲音も無くなりゴブリンの声が迫る


とうとう味方が全滅したか

「どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどうしようあわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわっ」


「「「「「ギャイイィ!」」」」」


僕のいる教室迄ゴブリン達が入って来た

慌てて刀を抜き構える


「ギイィィィィィィィィィィッ!」

ニタリと笑ったゴブリンが飛び掛かってきた


(あ、終わった…アルティミアごめん死んだわ)



ピイィィーーーーーーーーーーーーーーーッ


っと外から笛の音が聞こえたと思ったら窓の外から何かが飛んできて室内のゴブリン達を貫き倒す


何事かと思い外を見下ろすと、校門から何やら馬の代わりに馬鹿でかい鶏?ダチョウ?の様な生き物に跨がった一団が入って来てゴブリン達をなぎ倒してゆく

ゴブリンも瓦礫を投擲したり飛び掛かったりするが簡単に盾で弾いたり槍で突き刺したりしてサクサクと片付いてゆくのだ


(何だ?めちゃくちゃ強い戦士団?風のコスプレ集団が助けてくれたのか?)


「ギャッギャギャギャッ」


真後ろから声がし、振り向いた時にはゴブリンが間近に迫っていた


「うわあぁーーーーー!」

思わず目を閉じしゃがみ込む


ズシュゥっと嫌な感触が手に伝わる


目を開けると僕の刀がゴブリンの喉を貫いていた


運が良かった!狙ったら絶対出来ない



しかしまた教室にゴブリンが入ってくる


だが今度はさっきの戦士の1人が窓から入って来てそのままゴブリン達を剣で斬り倒した


(跳んで来たのか?ここ3階だが…)


「大丈夫かい君?」

全身革鎧の戦士が優しく声を掛け手を差し伸べてくれた


「あ、ああ…ありがとう」


手を取り軽く引き起こしてくれた

その体は鎧の上からでも細身なのが分かる、手足がスラリと長く佇まいから俊敏さを感じさせる


「…………」

戦士が僕を黙ったまま見ている


「あの…どうしましたか?」

思わず質問をしてみた


「あ、いやいやななな何でもない!け怪我はないかい?うん?」

急に慌て出した様に感じたがまあいい


「はい、危ない処でしたがお陰様で何処も怪我することなく助かりました。ありがとうございます」

本当の事だ素直に感謝する


「そうかい良かった、近くでゴブリン共を追っていたら此処に辿り着いてね、丁度君が危なそうなのが見えたので弓を撃ち込んだのだよ」


(あ、さっきのは弓か、まるで見えなかった)

「凄く強いんですね?ビックリしました」


「い、いやぁそれ程でも、ふふっ」

フルフェイスの兜越しでも照れているのが分かる仕草で兜を撫でだした


(なんだろ凄くシャイな人だ)

柔らかい印象を受ける


「君の名は何という?あ、私はヴァニラ、ヴァニラと言うものだ、ヴァン戦士団の斥候部隊に所属している、と言ってもこの世界の者に紹介してもわからないか、ふふっ」


異世界の住人だった、其れを聞いて警戒したが直ぐに緊張を解いた、ゴブリンと敵対していたし僕を異界の者と知って助けてくれたからだ

「え、ぼボクはルシエルって言います、あの!この世界に何が起きているか分かるんですか?」


「ん、ああそうかこの世界の住人は何も知らないまま侵略を受けたんだったな、よし、詳しい話は我等の拠点に戻ってからしようと思うがどうだ?君を私に保護させてくれないか?」


「良いんですか⁉︎宜しくお願いします!」

やった!1人で居たらあっさり死ぬ事がわかるので付いていく事にした

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