「え〜、本日は某有名男性タレントの女性スキャンダルを告発された方に出演していただきました。なお、御本人の身元の秘匿の為に、当Youtubeチャンネルの関係者にも、この方の個人情報は知らされておりません」
『ああ、どうも。なにせ、あのタレントのLと私の力関係には圧倒的な差が有りますので、このような条件を付けさせていただきました』
「えっと……しかし、当チャンネルの登録者からは『他人を犯罪者呼ばわりしといて、自分の身元を隠すとは、どういう了見だ?』という意見も有りまして……」
『身元を隠さないと、私の身が危ないので……しかし、明日の朝には、Lの側でも、かなりの程度、私の身元を絞り込めると思いますので、隠す意味が有るかと言われれば……あくまで用心の為です』
「え……えっと……何を言われてるのか、よく判りませんが……たしか、被害者女性との間にが示談が結ばれており、その中に守秘義務が有った筈ですが……」
『早ければ……明日の朝の5時か6時には、Lの側も、私の身元を絞り込む為の情報を入手出来るでしょうから、言っておきましょう。私は男性です。生物学的な意味でも、性自認に関しても「ヘテロセクシャルの男性」です』
「えっ? あ……たしかにLさんの所属事務所では、その手のスキャンダルも有りましたが……まさか、Lさんは男性にも……その……」
『可能性が0とは言い切れませんが、私の知る限りでは……』
「無かった、と……?」
『はい』
「じゃあ、ちょっと待って下さい。貴方は誰なんですか? 被害者でもないのに、しかも男性なのに、Lさんによる女性への性加害の実態を知っているとおっしゃる? 何か変じゃ有りませんか?」
『1つ言っておきます。私はLに同情している点も有るんです。マスコミにチヤホヤされているように見えて、Lのマスコミ関係の知人は、無能な奴らか上辺だけの奴らばかりのようですね』
「あ……あの……何をおっしゃって……」
『Lの女性スキャンダルを報じた週刊誌は何で有名だか知ってますか?』
「え……いや、政治家や芸能人のスキャンダルを、他所より早くスッパ抜く事で……」
『100点満点で50点ですね』
「じゃあ、貴方は、どんな答だったら100点だと言われるんですか?」
『単に他誌より早く、その手の情報を入手するだけでなく、続報のネタを入手した時点になって初めて単独スクープの記事を出す事で有名なんですよ』
「えっ?」
『だから、あの週刊誌の最新号……もう数時間後には先号になる号で、Lの女性スキャンダルを記事にした時点で、あの週刊誌は続々報ぐらいまでのネタを掴んでいたんですよ』
「それじゃ……えっと……」
『数時間後の発売の号に、Lによる別の性加害事件の記事が載る予定です。今度は2件で、内、1件は示談が済んでません』
「な……何で、あなたが、そんな事を……あ……あれ?」
『そうです。気付きましたか? 私が被害者だったら、逆に他にも被害者が居る事を知ってるとは限らないし、他の被害者が居る事を知っていても、他の犯行の日時や場所などの情報まで知ってるのは不自然だ』
「じゃあ、貴方は一体、誰なんですか?」
『女衒ですよ』
「えっ?」
『あいつに『女』を提供する仕事に関わって、精神を病んだ男。そう思って下さい。私が何の為にLを告発したか教えましょうか? Lを罰する為と……もう1つ…。私が正気を保つ為には、私自身も罰せられる必要が有るからですよ』
「そ……そんな……馬鹿な……」
『ああ、そうだ。先程、示談条件だの守秘義務だのと的外れな事を言われましたね。それに、お答えしましょう。私はLの被害者ではなく、元協力者です。私とLとの間に被害も加害も無い以上、Lとの間に示談など結べません。そして、存在しない示談条件を、どうすれば破れると言うんですか?』
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