僕はロザリーの要求通りに膝枕をしてあげることにした。まずは僕はベッドの上に腰掛ける。そして、僕は自身の膝の上をぽんぽんと軽く叩いた。
「おいでロザリー」
ロザリーは僕の所作を見るなり邪気のない笑顔で僕の膝に飛び込んできた。そのまま、犬か猫が自分の縄張りに匂いを擦りつけるかのように僕の膝に頭を擦り付けてくる。
「ラインきゅんの膝。程よい筋肉量で弾力があってしゅき~ちゅきちゅき~」
お気に召したようで良かった。ロザリーは落ち着きを取り戻したのか僕に頭を擦り付けるのを辞めて大人しくなった。僕はそっとロザリーの頭を撫でる。髪の毛の感触がどことなく心地いい。枝毛一つないロザリーのさらさらとした髪の毛は滑らかでずっと触っていたくなる。
僕の指先がロザリーの耳に触れる。その時にふと意識をしてみたら、ロザリーの右耳の耳たぶの裏に小さな黒子があった。今まで一緒にいたのに気付かなかった。何気なくその黒子をつついてみる。
「ひゃん。だめ、ラインきゅん。ロザリー耳弱いの。あんまり弄らないでぇ……」
ロザリーの弱点を発見してしまった。弱点は耳かー。もっと弄って苛めたくなってきた。僕の悪い一面が現れる。丁度手の届く位置に耳かきがあった。これでロザリーの耳をかきかきしてあげようか。
「ロザリー。ちょっとじっとしていて。今から耳かきしてあげる」
「み、耳かき……ちょ、ちょっと待って心の準備が」
ロザリーは慌てている様子だ。弱点の耳を今から弄られてしまうのだ。そりゃびっくりもするだろう。
「そ、その……優しくしてね……他人に弄られるの初めてだから」
「大丈夫。僕はこれでも医療従事者だからね。無茶なことはしないよ」
僕は耳かきの棒をロザリーの耳の穴の中にそっと入れた。中の様子を少しずつ確かめながら、彼女の耳の穴の肉壁を少しずつ少しずつ擦っていく。
「ひゃうん……」
耳を攻められているロザリーは可愛らしい声をあげる。この辺りが弱点なのだろうか。優しく掻いてあげよう。
「あ、そ、そこ……弄らないでぇ……」
ロザリーが頬を赤らめて涙目になりながら僕に懇願してくる。戦場では獅子のように強い彼女ではあるが、耳を攻められると子猫のようにふにゃふにゃになってしまう。そのギャップがたまらなく愛おしい。
ロザリーの体が小刻みに震えている。その振動が僕の膝を通して伝わってくる。揺られている状態で耳を弄りまわすのは危険だ。少し落ち着くのを待とう。
「ラインきゅん。焦らさないで……ちょうだい……ラインきゅんの耳かきもっとちょうだい」
さっきは弄らないでと言っていた癖に今度はもっとやれと要求してきた。どうやら癖になってしまったようだ。
「ロザリーは耳を虐められるのが好きになっちゃったんだ?」
「だ、だってぇ……ラインきゅんの耳かき絶妙な力加減で上手くて気持ちいんだもん……こんなのやられたらもっと欲しくなっちゃうよ」
僕はお望み通りロザリーの耳かきを再開する。楽しい。ロザリーの耳の穴を弄るのがこんなに楽しいとは思わなかった。思いつきで始めた耳かきだったけどやって正解だったみたいだ。
「は、はうぅ……」
ロザリーが僕のベッドのシーツを強く握る。耳を通じて与えられる快楽に悶えているようだ。反応が可愛い。もっと可愛い反応を見てみたい。どうして今日のロザリーは僕の加虐心に火をつけてくるのだろう。こんなのもっと弄りたくなるに決まってる。
「はい、ロザリー。終わったよ。耳の中がキレイになった」
「お、終わったの……」
半ば放心状態のロザリー。耳かきの余韻に浸っているのだろうか。顔がとろんとした状態で焦点が合っていない。
「じゃあ、もう片方の耳もやろうか」
僕のその言葉にロザリーは期待と恐れを同時に抱いているような表情を見せる。また耳かきの気持ちよさが味わえるという期待感と暴力的な程の快楽に自身の身が持つのだろうかという不安感が入り混じったような表情だ。
「お、お願い……少し休ませて」
「えーどうしようかなー」
「やだぁ! ロザリーを虐めないでよぉ! これ以上やられたらおかしくなっちゃうよぉ! お願い、ロザリーのお願いきいてよぉ」
「もう、しょうがないなあ。ロザリーは。少し休憩したらまた再開するからね」
このまま強行してやってもいいけど、僕はどうしてもロザリーに甘えられたり懇願されると弱い。彼女がやめてと言っているなら無理強いは出来ない。それに、無理矢理やって彼女の機嫌を損ねたら後が怖い。ロザリーは僕より圧倒的に力が強い。後でどんな仕返しをされるかわかった物じゃない。
しばらく待って、ロザリーが落ち着いてきたので耳かきを再開する。今度は逆の耳。さっきの耳とは弱点の位置も違ってくる。どの変が弱いのか探りながら、彼女の耳を掃除する。
「ん……」
ロザリーが思わず声を漏らす。先程醜態を晒しすぎて恥ずかしかったのだろうか声を抑えているようだ。そんな健気な努力をされると虐めたくなっちゃうな。僕は彼女の弱点らしき場所を執拗につついた。
「や、やめ……なんで、そこばっかり……」
やっぱりここが弱いみたいだ。全くロザリーはわかりやすくて可愛いな。あんまり虐めても可哀相だし、この辺で勘弁してあげるか。これ以上虐めると口を聞いてくれなくなりそうだし。
僕は手早く耳かきを済ませた。ロザリーも目を瞑って気持ちよさそうにしていた。
「ロザリー。耳かき終わったよ」
「ん。ありがとうラインきゅん。気持ちよかったよ」
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