人間引退します。

人間引退スイッチがあるとしたら、あなたはどうしますか?
白樺玲
白樺玲

自殺の日取り

1***

公開日時: 2020年9月10日(木) 07:30
文字数:934

 翌朝、僕はいつもと同じ朝のルーティンを行った

 今日の朝食は、何にしようか。

そう考えながら冷蔵庫を覗いていた時、ふと昨日のSNSを思い出した。


「まあ、昨日も変な奴が大半だったし来てないだろう」


そう思いながら携帯を開くと一件の通知が溜まっていた。

 半信半疑になりながらもダイレクトメールを開いてみると、再び自殺志願者からのダイレクトメールだった。

内容を見てみると明らかに今までと違った。

 氏名、年齢、理由、自殺方法。

すべて明記されたダイレクトメールであった。


「自殺するっていうのに、こんな律儀な人もいるんだな」


さっそく僕は返信した。


「ダイレクトメールありがとうございます。僕でよければぜひ」


 彼女は、すべてを明かしてくれたのにも関わらず僕は未だに半信半疑だった。

僕は、朝ごはんを食べながら彼女の返信を待った。



 結局あのまま、かれこれ四時間が経過した。

律儀な人だからと、勝手に返信は早いものだろうと考えていた。

夕飯の時間を過ぎても、彼女からの返信は来なかった。


「なんだ結局冷やかしか」


 すんなりとはいかないやりとりに、僕は嫌気が差していた。

もう返信が来なくてもいいか。

そう考えながら早めに眠りについた。


 深夜二時、目が覚めてしまった。


「こんな時間に目が覚めてもな」


そう思いながらグラスに水を注いでいると携帯に一件の通知が入った。

なんだろう。

その時には、さっぱり彼女からのダイレクトメールの存在を忘れていた。


「スパムかなにかか?」


開いたら彼女からのダイレクトメールだった。

 僕は一気に目が覚めた。

寝ぼけ眼をこすり、彼女からのダイレクトメールを開いた。


「返信遅くなりすみません。

 自殺するにあたり日程を決めたいのですが、

    いつ頃でしたら都合が良さそうですか?」


 業務メールかよと言いたくなるような内容だった。

日程か、考えてもいなかったな。

とはいえ、ニートの僕からすればいつでもよかった。

相手は社会人という事もあり、来週末を提案した。

彼女から来た返信は「もちろん大丈夫です」の一言だった。


 ついに僕の自殺する日が決まった。

待ちに待ったこの時、いざ来週末自殺するとなるとなんだか寂しい。

やり残した事があるわけでも、これからやりたい事があるわけでもないのに何故だろう。


その日は朝まで眠れなかった――――――。


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート