あれから二日が経った。
今日は、人生の再出発をする記念日だ。
何故か、いつもより早く目が覚めてしまった。
思っている以上に僕は緊張しているらしい。
受からなかったらどうしよう、大丈夫かな。
そう思いながら、僕はいつも通り朝のルーティンを行った。
すると母が言う。
「バイトの面接日今日よね。頑張ってね」
言われなくても分かっていた。
その言葉で余計に緊張した僕は、朝食が初めて喉を通らなかった。
受験の日も、自殺を決意した日も、普通に食べれていたものを、食べることが出来なかった。
気休めにもならない水を僕はがぶ飲みして、準備を始めた。
午後一時。
あと一時間後だ。
「そろそろ、家を出よう」
そう準備している時、履歴書に証明写真がない事に気づいた。
僕は家を急いで出て、近くのコンビニエンスストアにある機械で証明写真を撮った。
受験以来だな。そんなことを考えながらとった証明写真は、僕が想像していたよりも不細工な僕が写っていた。
「僕ってこんな顔だったっけ」
写真自体が久々だった事もあり、久々に再会した僕の顔は、僕が知っている僕ではなかった。
そんなこんなで時刻はすでに一時半を回っていた。
久々の登場でキュルキュルと鳴く自転車を、これでもかとフル回転させ、駅ビルについた頃には、もう予定の五分前だった。
「すいません。二時に面接の宮川です」
「はじめまして、こちらで面接を行います」
感じは良さそうだった。
綺麗めの店内で店長も良さそうな人だった。
僕は、初めて面接というものに成功した。
「合格です」
その言葉が今までの人生で喜ばしいと感じたのは初めてだった。
すっかり僕は、人生を再出発した気でいた。
「じゃあ、五時にまたきて」
今、ちょうど面接は終わったはず。
僕は耳を疑った。
「五時ですか?」
「うん。五時にまた来て。じゃあお疲れ」
面接日から働くのか?
いやそんなことはないだろう。
たぶん、契約書かなにかだろう。
僕はそう思いながら、家に向かった。
予定時刻まで僕はテレビをみながら時間を潰した。
家から少しある駅に向かうために、僕は四時半に家を出た。
到着したのは、秒針があと数秒で五時を指す時刻だった。
「すみません!遅れました!」
「そんなんいいから、早く事務室いってきて」
事務室?
どこだよそこ。
そう思いながら僕は、事務室とやらを探しに奥に足を運んだ――――。
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