ダンジョンからの帰り道、私はステラさんの背に跨がりながら考えていた。
セリカさんの時の『ペガサスの翼』も今回の『女神の風』も全く同じパターンを踏んでいる。
それぞれ「役立たず」としてメンバーを追い出した後、新しいメンバーと共にダンジョンに挑戦し酷い目に遭ってる。
そしてどちらも同じように私達に助けられた後は、やはり同じように「悪かった。戻って来てくれ」と平気で言う。全くもって勝手な話だ。
彼らにとってメンバーとはなんなんだろうか? 替え効く便利な道具? 簡単に入れ替えられる存在? そんなものに背中を任せられる? 命を預けられる? 私だったら絶対無理だ。
案外、あの人達は気が合うんじゃないか? 紹介してあげたらどうだろう? どちらもメンバーを大切にしない人達だ。さぞや気に入ることだろう。
私はそんなことを考えながら一人でニヤニヤしていた。
◇◇◇
私達が冒険者ギルドに戻ると、
「よ、よう。セリカ」
「マックス? なんの用よ?」
うわぁ、まさにさっきまで考えていた『ペガサスの翼』のリーダーじゃないか。こんな偶然ってあるもんなんだね。
「いやその...実はな、ベスのヤツとはケンカ別れしてな...」
「それがなに?」
「だからその...今ならメンバー枠に空きがあってだな...」
「それで?」
「良かったら戻って来てくれるとありがたいって言うか...」
「だから戻らないって言ったでしょ? もう誘って来ないで。カリナさん、ステラさん、行きましょう」
セリカさんは私達の手を引いて歩き出した。
「あ、セリカ...」
マックスの声が後ろから縋って来るが、もちろんセリカさんが振り返ることはない。
◇◇◇
「しかしなんと言うか...お互い苦労しますね...」
パーティーホームに戻って来てから、ステラさんが苦笑しながらセリカさんにそう言った。
「全くですよ...今更なに言ってんの? って感じですよね」
「ホントですね。そんなにメンバーが欲しいなら『女神の風』の連中を紹介してやりましょうか?」
「あぁ、それいいですね! メンバーを大切にしない所なんてそっくりだから、きっと気が合うでしょうね!」
「ブッホゥッ!」
「カリナさん、どうしました?」
「い、いえ、なんでもないです...」
あ~ビックリした! ステラさんが私と全く同じことを考えていたなんてね。そしてセリカさんもね。
そこからはセリカさんとステラさんの昔の仲間達がどれだけ酷いかっていう暴露大会になって行った。
私は苦笑しながら聞いていた。
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