東京都のマンションに住むAさんの部屋は、いわゆる「出る」物件らしい。
しかも、特定の霊が現れるわけではなく、毎晩違う幽霊がやってくるのだという。
Aさん自身に霊感があるとか、そこが事故物件だとか、そういうわけではないのだが、なんでも、「霊道」というのだろうか、幽霊の通り道のような場所に部屋があるようなのだ。
そこでAさんは毎晩、幽霊の悩み相談の相手になっているらしい。
1番多いのはご老人だという。
病気で亡くなった方が多いらしい。
孫が心配だとか、財産がどうだとか、そういった話を少し聞いてあげて、あとはYouTubeでお経の動画を流してあげると、満足していなくなるのだそうだ。
ただ、元いたところに帰ったのか、あるいは成仏したのか、それはわからない
わからないが、Aさんとしてはどちらでもいいらしい。
別に慈善活動をしているわけではないのだから。
次に多いのが若い方だという。
死因としては自殺が多く、これは少々厄介だそうだ。
お経の動画もほとんど効果はなく、世の中に対する恨み辛みを、ひたすら聞いてあげるしかないらしい。
そうすると、ひとまずは元いたところに戻っていくようだ。
そして、最も厄介なのが、ごく稀に現れる、子どもの霊だという。
これはAさんとしては、どうすることもできないそうだ。
なぜあの世に行けず、幽霊になってしまったのか、聞こうにも、そもそも会話が成立しづらい。
なぜ死んでしまったのかわからない子どもも多く、自分が死んだことに気付いていない霊も少なくない。
中には、死の概念を知らない子もいるらしい。
そして、情緒が不安定になった子どもの霊は、様々な怪奇現象を引き起こすのだという。
物を動かしたり、大きな音を立てたりするそうだ。
Aさんはジッと耐えて、ほとぼりが冷めるか、夜が明けるか待つしかないという。
だが、Aさんは今のマンションを出る気はないという。
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