第3夜
新潟県に住む友人のAさんから聞いた話。
Aさんには学生時代、Bくんという同じ学科に所属する学友がいたのだそうだ。
一緒に遊びに行くような仲ではなかったが、講義の合間に他愛もない雑談をしたり、課題を見せあったりする関係だったらしい。
さて、大学3年生の頃、最後のテストが終わり、明日から夏休みだ、という時、Bくんはとある実験の計画についてAさんに話してくれた。
Bくんはそれを「人工的霊視実験」と呼んでいたという。
実験の内容はこうだ。夏休みの間、毎日、500mℓの缶ビールを飲んでから、ホラー映画を一本みる。
これだけだ。
これで幽霊を見るのが目的なのだという。
Aさんには実験の意味がわからなかったので、Bくんに質問すると、こう説明してくれた。
Bくんに言わせれば、幽霊とは全て見間違いや幻覚の類いであり、寝ぼけたり、頭を強く打ち付けた時など、脳が一種のトランス状態になった時に目の前にある物を幽霊だと錯覚する現象なのだという。
つまり、缶ビールによる酩酊とホラー映画による恐怖でそういった錯覚を人工的に作り出すのが実験の目的なのだそうだ。
Aさんはその時、ああ、Bくんは暇なんだな、と思ったそうだ。暇すぎて、変なことを思いついただけなのだと。けれどAさんも、実験の結果については多少なりとも興味があったので、夏休み明けの講義の際には、本当に幽霊が見えたかどうか教えて欲しい、とだけBくんに伝えたのだそうだ。
Bくんも、楽しみに待っててくれ、と言ってくれたらしい。
さて、夏休み明けにAさんが最初の講義に出たとき、Bくんは出席していなかった。
次の講義にも、その次の講義にも出てこなかった。
気になって教授に聞きに行くと、彼は大学を辞めたそうだ、と聞かされた。
それ以来、Bくんとは連絡が取れていないという。
Bくんに何があったのかは、Aさんにはわからない。同じ学科の友人たちとこの話をすると、ビールを飲みすぎてアルコール依存症になったのだろうとか、大学に飽きただけだろうとか、すぐに笑い話になってしまう。実際そうかもしれないし、他の理由があるのかもしれないが、Aさんは今でも、心霊番組やホラー映画を見ると、あの実験でBくんは何かを見たのだろうか、見たとしたら、それは何だったのだろうかと、考えてしまうのだという。
こんばんエイト〜! 公開して3日目ですね! 今日もありがとうございます!
夏休みの実験と言えば、私、二階堂は8月31日まで夏休みの宿題をやらない子でした。
自由研究も、なんかテキトーない貯金箱とか作っていた気がします!
夏ももうすぐ終わり、秋がやってきますね!
それでは、明日もまたこの時間にお会いできれば!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!