怪談∞(エイト)

二階堂次郎
二階堂次郎

「海へ向かうトンネルで」

公開日時: 2020年9月8日(火) 20:00
更新日時: 2020年9月8日(火) 20:02
文字数:590

山形県に住む友人のYさんから聞いた話

Yさんが高校生の頃、友人4人と一緒に自転車で近くの海に行くことになった。

近くの、といっても、行くには峠をひとつ越えていかなければならない。というのも、近道であるトンネルは近所でも有名な心霊スポットで、誰も通りたがらなかったからだ。

しかし今回はそのトンネルを通って近道をすることにした。


まあまあ長いトンネルで中には灯りの一つもない。入り口から出口の光がわずかに見える程度だ。

Yさんたち5人はトンネルまで来ると横に並んで自転車を押し、ヘッドライトを頼りに進んでいった。


最初のうちは何かおかしなことが起こるのではないかと身構えていたが特にそういうこともなく、順調にトンネルを進むことができた。

だが、中程まできたところで、にわかにYさんたちの背後から車のエンジン音が聞こえてきた。

自分たち以外にもこのトンネルを使う人がいるとは思わなかったYさんたちは、狭いトンネルなので慌てて自転車を左に寄せ、縦1列に並んで車が通り過ぎるのを待った。


だがいっこうに車が横を通り過ぎる気配はなく、誰ともなしに後ろを向くとそこに車の姿はなく、エンジン音もいつの間にか消えていた。

Yさんたちは叫び声を上げながら無我夢中でトンネルを走り抜けた。


だが、海で遊んで日が暮れたあとの帰り道でも、Yさんたちはそのトンネルを使ったそうである。

その時には特におかしなことはなかったそうだ。

こんばんエイト〜! 私です!

実は心霊スポットに行ったことがありません! 理由は怖いから! 幽霊が出るだけならまだしも、呪われるのは嫌だ! 

そんな私です。

それでは、明日もまたこの時間にお会いできれば!

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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