Ker

誰もが、こんな世界で生きる理由を探してる。
菜木 うろこ
菜木 うろこ

プロローグ

公開日時: 2022年2月27日(日) 18:30
更新日時: 2022年7月10日(日) 14:54
文字数:516

 大切なものを失ってまで、生きることに意味なんてあるだろうか?

本当に大切で代わりになるものはお金では買えない。

そして、失えば二度と手に入らない。

だから、心から大切なものを失えば、人の心は奈落に突き落とされたかのような絶望を味わう。


そんな人間の弱さをあざ笑うように死神Kerケールは人の命を弄ぶ。

人間の心の傷跡に繋がる記憶を呼び起こし、その心の弱さにつけこみ眷属という名の化け物に変えてしまう。

そして、眷属となった人間に人を殺させ、その死体の血を吸い貪る。

殺された者を大切に想う者の目の前で…。


その光景を目にして、残された者の心は壊れていく。

死神と呼ぶにはおぞましい、残酷な死神Kerの行為によって…。


残されたの心に残るのはKerへの憎しみより深い感情だった。

失って初めてわかる、それこそが唯一無二の存在だったということを。

喪失による哀しみを。


後に残るのは、心に残された深い傷跡。

そして、その傷跡はKerがつけこむ隙となり、やがて眷属にされることもあるだろう。


傷跡を抱えたまま戻らない人を想いながら生きていくか、眷属にされ人を殺すか…?


Kerにより、最悪の人生に未来を書き換えられても…。

それでも、生きるしかない人生に意味なんてあるだろうか?

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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