―登場人物―
◆トロヴァ
…物語の主人公。齢十五の少年。やや上背がある程度の身長。世界平和維持機構の陰の部隊で諜報や暗殺を担っていたが、7片の『魔性の泪』を回収するという特命をルーシーから秘密裏に授かり、『魔性の泪』に魅せられた標的と相対していくことになる。
標的と対峙する際に警戒されないよう、世界平和維持機構の調査を隠れ蓑に饒舌に振る舞うこともあるが、基本的には陰鬱で口下手である。他方で幼い頃から身体能力は高く、状況判断も早く熟すことができる。
孤児であり、両親や出身地の記憶がない。幼い頃は髪が長く女の子と間違えられることも屡々あった。貧民街であるヌーラ地区のユーベット孤児院で単調な日々を送っていたが、齢八のときにフィルマが義妹のようになってからは彼女を生かすために金品などの窃盗や窃盗のための傷害が日常茶飯事になっていた。だがその1年後にルーシーと出会い、とある事件をきっかけに現在の仕事に従事することとなる。その事件は自らが罪を犯し続けたことに対する天罰だと思い込んでいるため、ルーシーの特命には贖罪の意識で励んでいるところが大きい。
◆ルーシー
…世界平和維持機構で議長を務める女性。齢二十八。背は女性にしては高く、長い黒髪は背中の半分を覆っており、眼鏡の奥で黄金色の瞳をギラつかせている。怪力で身体能力も高いうえ、知識も豊富で要領もよく、現状人間のなかでは無敵に近い存在。表と裏の顔を使い分ける中で、秘密裏にトロヴァへ『魔性の泪』の回収を命ずる第3の顔をも持つ。口調はふてぶてしく、掴みどころのない性格をしている。普段は厳格に振る舞っているが、隠し部屋でトロヴァといる時は気怠そうに会話をするときもある。
トロヴァと初めて会った当時はまだ議長ではなく、国際混成軍第2部隊長として貧民街への支援を執り仕切っていた。その頃から密かに『魔性の泪』の回収を目論んでおり、その目的を知ることとなったトロヴァを自らの手足とするため引き込んだ。
◆ドール
…ディレクタティオ修道院で暮らすシスター。齢二十。金髪で紅い瞳をしている。孤児だったところを拾われて修道院で育つが、教典に疑問を抱いてしまったがために処刑されそうになったところ、『魔性の泪』の能力を発動させ、大鎌を片手に修道院を廃墟に変えて聖職者たちを皆殺しにしてしまう。だがトロヴァに対してはこれを正当化させ追及から逃れようと心に揺さぶりをかけていく。
◆ミト
…ルーシーの指揮する陰の部隊に従事する少女。齢十七。身長はやや小柄。茶色い髪は襟足辺りまでの長さ程度。『魔性の泪』を回収するという特命に関わる数少ない人物の1人。身体能力や状況判断はトロヴァよりも優れているとルーシーは評するが、トロヴァが特命に従事する際は御者に扮し緊急時にのみ対応するよう指示されている。トロヴァに対しては冷淡な態度をとるが…?
◆フィルマ
…齢五のときにユーベット孤児院に一時的に預けられた幼女。直前に川で溺れていたところを救助されたためか記憶が混濁していたうえ虚弱体質だったため、別室で寝食をとることとなり、当時齢八だったトロヴァに世話係が任された。髪の長かったトロヴァを「お姉ちゃん」と呼び、徐々にトロヴァに懐くようになる。
◆クラエ
…ユーベット孤児院で子供たちの面倒を見ており、先生と呼ばれ親しまれている女性。齢二十五。赤み掛かった髪を後ろに束ね、エプロン姿で甲斐甲斐しく動き回っている。6年前、トロヴァが齢九のときに生じた事件に巻き込まれるが、その後も孤児院に従事し続けている。孤児院の創設を指揮したルーシーとも親しく交流がある。
◆レヴィ
…大学都市ヴィルトスファナのグラティア博物館で館長を務めている女性。齢二十七。小柄な体型だが腰の辺りまで届く長い銀髪をもち、眼鏡の奥の瞳は澄んだ蒼色をしている。ルーシーが目論む『魔性の泪』の回収に協力する数少ない関係者の1人。博物館を訪れたトロヴァに対し、『魔性の泪』に関わる重要な情報、そして『魔性の泪』をすべて回収した暁にルーシーが実現させたい真の野望について共有させる。
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