魔性の泪

生と死の問いかけを重ねた先に待ち受けるものは何か。
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用語・地名について

公開日時: 2022年1月23日(日) 15:16
更新日時: 2022年1月23日(日) 21:31
文字数:2,456

―物語における用語など説明―


◆魔性の泪

…ルーシー曰く『かつてこの世界に降りかかった厄災』。この地に墜ちた際7片に砕けて世界に飛び散ったと言われている。実体をもたないため、女性の生命力と融合することで存在を続けることができるとされ、『魔性の泪』を宿した女性は魅せられていると表現している。

魅せられている間は生存本能が極端に強くなり、生存できる環境を維持するために筋力や身体能力が向上し、気配や危険を敏感に察知できるようになるほか、自然を操る魔法のような能力を発動させて敵対する者を排除しようとする。また、こじらせた死生観を持ち出して相手を惑わそうとする傾向がある。しかし人類にとっては不可解な突然変異にしか映らなかったため、怪奇現象とでしか記憶が遺ることはなかった。真相を知る者は極僅ごくわずかだが、世界平和維持機構の陰の部隊では代々密かに『魔性の泪』を追求し続けた資料が遺されている。

『魔性の泪』を魅せられた女性から解放させるには、融合しきった生命力を分断させることが叶わないため、その女性自体を殺害する他ないとされる。ただし宿主を失った『魔性の泪』はまた別の女性の生命力と融合してしまうため、短剣ユーディジウムで殺害することでこれを結晶化し封印する必要がある。なおこの封印も一時的な処置にすぎないのだが、ルーシーはこれを半永久化させる特殊な液体による保存方法を見出している。

なぜ魅せられる対象が女性だけなのかは明確ではなく、ルーシー自身も経験則でしか判断ができないと述べている。また、結晶化し封印されている状態であっても、女性は触れれば魅せられてしまう虞があるとされている。


◆短剣ユーディジウム

…世界平和維持機構の陰の部隊で代々継承されてきた、刃渡り20センチほどの古びた短剣。現状『魔性の泪』に対抗し得る唯一の手段であり、魅せられた者が使う魔法のような能力を分解し打ち消すことができる。厳密には魔力の吸収であり、普段はくすんだ色をして鍔に填め込まれている宝石が吸収した魔力に応じた色彩で輝きを放つようになり、魅せられた者と同じように魔法のような能力を発動させることができる。ただし吸収量には限度があり、複数の種類の魔力を同時に蓄積させることはできない。


◆世界平和維持機構

…世界各国から代表者を招聘して議会を組織し、紛争の解決や災害復興・貧しい人々への支援を協議する世界政府のような機関。

1年ごとに交代で議長を任命し、国際混成軍や医療班の組織を全面的に統括させている。ただしこれは表向きの顔であり、その裏では計画を円滑に進めるための諜報や暗殺を担う陰の部隊が存在している。議長になった者は、世界平和維持憲章に定められた限りにおいてこの表裏双方を統括する義務を負う。

他方で基本的な人民統治はあくまで諸国の責務であるため、国境を跨いで解決しなければならないとか、紛争などで事実上の無法地帯と化している場合において、世界平和維持憲章でうたわれた人権・尊厳の維持確保のためにはたらくことが基本姿勢である。

なおルーシーが議長に就任してからは隠し部屋が設けられ、『魔性の泪』について調査するための拠点となっている。これは陰の部隊に対しても秘匿されており、魅せられた女性が異変を起こしたと思しき現場へ派遣し調査をさせることはあっても、どのように解決させるかは明かすことはなく、最終的にはトロヴァだけが手を下すことになっている。


◆銀色のタグ

…ユーベット孤児院に入居している齢五以上の孤児が身に着けており、名前と誕生日が刻まれている(誕生日がわからない場合は入居した日付としている)。齢五以上の孤児は施設の規則で就労義務を定められていたため、ヌーラ地区内ではたらくための身分証明章として扱われていた。ただし虚弱体質で就労が困難だったフィルマに対してもこのタグは発行されていた。現在トロヴァは自身のタグとフィルマのタグの2つを首から下げ、肌身離さず持ち歩いている。



―地名・施設名など説明―


◇ディレクタティオ修道院

…『神を信じる者は死後も天国で永遠の命を与えられ生きることができる』といった趣旨の宗教を掲げる総本山。星屑をちりばめたような巨大なステンドグラスが美しい荘厳な施設で、何十人という聖職者たちが仕えている。また孤児を保護しており、教典に沿った教えを身に付けさせながら成長を見守っている。だが総本山故に過激な面があり、教典に異を唱えた者は修道院地下深くにある処刑場で命を奪われるとも言われており、世界平和維持機構も調査に乗り出そうとしていた。


◇交易都市ディセプシオ

…街としては中規模だが、アーバナム伯爵の計らいにより活発な流通で賑わいを見せていた交易都市。他方で、世界平和維持機構によって規制が強化された違法薬物も暗黙に取引がなされており、沖合では海賊による貿易船舶への被害が相次いでいた。より厳格に取り締まられている人身売買についても、海賊から繋がる経路があるのではないかと推測されていた。


◇自然都市カスティタス

…盆地の地形に広がる緑豊かな街。中央を澄んだ河川が貫いており、肥沃な土地と相まって高品質な農作物や果実が生産されている。世界平和維持機構に対しても協力的であり、tとくに貧民街への支援活動を推進する部隊に対しては、かねてより慈善活動の一環で地場産品の寄付がなされていた。


◇貧民街・ヌーラ地区

…国内紛争の煽りを受けて貧しく治安の悪い状態が続いている辺境の地。空気が埃っぽく、平屋の家屋が所狭しと並んでいる。だが世界平和維持機構によって少しずつ生活環境が整備され、新たに採石場も開発されて産業の一つになっている。トロヴァが幼少期を過ごしたユーベット孤児院も世界平和維持機構によりこの地区の西側に建設され、現場の管轄は当時国際混成軍第2部隊長であったルーシーが担っていた。


◇大学都市ヴィルトスファナ

…世界平和維持機構本部のほか、多くの研究施設が建ち並ぶ前衛的な都市。世界で最も規模が大きいとされるグラティア博物館もこの都市に存在している。


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