最弱のスキルコレクター

スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
僧侶A

66話

公開日時: 2022年8月23日(火) 19:44
文字数:2,626

「【征服者】って大丈夫なの?あの人異世界人だよね?」


 家に辿り着いた俺は、二人に対して【征服者】というスキルについて話し合おうとした。


 しかし、


「そこに何の問題が?」


「別に征服者だからと言って人間の敵であるというわけではなかろう」


 二人は思っていたよりも楽観的な反応を見せた。


「一般的には人間の敵だよ征服者って……」


 異世界出身の征服者ってどう考えても地球の脅威だよ。だから少なくとも杏奈さんは焦ってよ……


「職業スキルというものはあくまでスキルだからな。それによって人間性が大きく左右されるものではない。地球では一般的に悪いと認識されている【盗賊】というスキルを持つ者もこちらの世界には居るが、必ずしも悪人というわけではない」


「確かに……」


 イザベルさんの言う通り教祖は【征服者】だけど、やっていることはただの善人かもしれないな。


「それに本気で世界を征服する気があるのなら10大ギルドを取りまとめる異世界人と敵対せずに協力関係を結ぶはずよ。既に地神教という大きな宗教を作り上げて強大な権力を持っているのだから」


「確かに」


 言われてみれば世界を征服するのであれば地球の味方である俺たちと協力するのは分かるけれど、地神教は既に十分すぎるほど強大だ。だからリスクを負ってまで潰しに行くまでの理由は無いか。


「というわけで強くなることに集中しましょう」




 その日から一か月間、再び俺たちは強くなるためにダンジョンに挑み続けた。


 素材に関しては地神教に頼むとわざわざ取りに来てくれる上に役所の代わりに換金までしてくれていたので何も考えずにただダンジョンに潜ることだけに集中することが出来ていた。


 また、地神教お手製のスキル取得指南書は非常に有用で、自宅で取れるスキルだけでなくダンジョンで敵と戦いながら獲得できる武道系のスキルを纏めてくれていたのでより効率的に強くなることが出来ていた。



 結果、俺と杏奈さんはAランクを超えてSランク探索者の仲間入りが余裕で出来るレベルにまで達することが出来ていた。


 イザベルさんに関しては、元が俺たちよりもはるかに強かったのでこちらからは分からないが、本人は伸び悩んでいた一つの壁を突破することが出来たと言っていたのでちゃんと強くなっているらしい。



「丁度1か月たったことだし、今どうなっているか連絡しましょうかしら」


「そうだね」


 もうそろそろ異世界人が率いるギルドがやってくる時期になったので、後どれくらいかと作戦についてを聞くべく教祖に直接連絡することに。


『お久しぶりです、皆さん。あれからどの程度強くなれましたか?』


「日本最強、世界最強かといえば微妙ですが、全員Sランク探索者としては余裕で活動していけるレベルにはなりましたね」


『それは凄い。想像していた5倍くらい成長していますね』


「皆さんのおかげでダンジョンに集中できましたので」


『いえ、協力関係を結ぶと決めたのですから当然の事です。でも残念ですね、後3か月あれば世界最強にすら手が届いたかもしれないのに』


「こればっかりは仕方ありません。敵はいつまでも待ってくれるわけではありませんから。で異世界人たちは後どのくらいで襲撃に来るのですか?」


『それはですね。今はお家ですか?』


「はい」


『ではテレビをご覧ください』


 言われるがままにテレビの電源を付けると、丁度ニュース番組が放送されていた。


 そして今取り扱われているニュースの内容は、10大ギルドの内5つのギルドが同時に日本に訪れたというもの。


 それぞれのギルドから幹部とリーダーを合わせて5人ずつ。総勢25名での来日だった。


「今ってことですか……?」


『厳密には明日ですね。今日は記者会見にてあなたたちを襲撃すると大々的に公表するだけです。彼らは私たちと違い、本気で殺しにきますから覚悟していてくださいね』


「分かっています」


『異世界人を保護し続けるという目的を果たすため、私が直接戦いに向かうことは出来ませんが、その分出来る限りの戦力をお送りします。全員Sランク級の実力を持った異世界人ですので、十分な戦力になると思われます』


「ありがとうございます」


『それでは、ご武運を』


 教祖はそれだけ言って、通話が切れた。


 それから間もなく、家のチャイムが鳴った。


「はい」


『皆さんの手助けとなるため、地神教からやってまいりました』


「分かりました。今開錠しますので、そのまま入ってきてください」


 そう言って杏奈さんはインターホンのボタンを押した。


「初めまして。凄く広いお家ですね」


 それから2分後、リビングに辿り着いた地神教の助っ人たちはそんな感想を述べた。


「今後ギルドが大きくなることを考えて先に購入しておいただけですよ。3人だと広いですが、10人、20人が暮らすと考えるとまだ足りないです」


「流石は教祖様が認めたギルドですね」


「嘘だ」


 今の家は今まで住んでいた杏奈さんの家ではなく、今後の事を考えて杏奈さんが購入したと主張している新居である。


 本来なら家が無い孤児院の人たちに貸す予定だったのだが、緊急事態ということで事が済むまでは俺たちが使用することになった。


 確かに今後ギルドを拡張していくという意思は感じられるし、この家はその覚悟の現れだと見える。


 だがしかし、実はそんな真面目な理由では無かった。


 報告されてからしばらくして気づいたのだが、杏奈さんが無断で大きな家を購入した本当の理由は地下一階を丸々使用した地下冷蔵庫の存在だ。


 単にこの人は飲み物を大量に保管したいが為に大金をかけて二人で暮らすには広すぎる家を購入したのだ。


 今回そのお陰で助かっているから表立って文句は言わないけれど、もう少し使い道は真面目に考えてほしい。今は大量にあるけど、本来お金は貴重なんですよ。


「では策を考えましょうか」


「そうですね」


 ただそんな俺の無言での主張を杏奈さんは感じ取れるわけもなく、普通に明日に備えた話し合いが始まっていた。



 とは言っても明日はどこで戦うのか、何をしたら勝利なのか等について軽く話しただけで、具体的にどんな戦法を取るのかや連携をするのかについての話は無かった。


 それに関しては即興で連携を組むよりは慣れたメンバーでお互いの背後を任せるだけで良いという判断があったからだが。



 話し合いの後、来日してきた海外ギルド達が明日俺たちを襲撃するという会見を本当に開いていた。


 日本人を襲撃するのだから国は即座に抗議してほしい所だったのだが、何かしらの圧力がかけられているらしく何も反応は無かった。



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