【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

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ジェルミ
ジェルミ

第30話 セサルの村

公開日時: 2022年11月24日(木) 16:10
文字数:1,413

 私はミラベルちゃんを村に送って行くことにした。


「シルバーお願い。ミラベルちゃんも背中に乗せてくれる?」

ワフッ、ウォンもちろん、かまわないさ!!』

「ミラベルちゃん。シルバーが背中に乗せてくれるって」

「え?乗れるのですか」

「もちろんよ。さあ、どうぞ」

 そう私が言うとシルバーは、乗りやすい様に腰を落としてくれた。


「さあ、どうぞ」

 私が先に乗りミラベルちゃんは後ろにまたがる。

「行くわよ。シルバーゆっくり頼むわね」

ワフッいくぜ!!』

 一声吠えるとシルバーは私達を乗せ立ち上がる。

 そしてミラベルちゃんに道案内をしてもらいながら村に向かう。


 しばらく歩くと2mくらいの木を縄で継ぎ合わせた防護棚が見えて来た。

「スズカお姉ちゃん、村はあそこです」

 私達は入口を目指して近づく。


「と、止まれ!!」

 見ると門の入口に50歳くらいの、疲れた顔をした男が1人剣を持ち立っていた。

「ゲイリーさん、私です。ミラベルです」

「なんだ、ミラベルちゃんか、脅かすなよ。なんだ、その大きな魔物は?」

「この子は私がティムしている魔物よ」

 そう言いながら私達はシルバーの背中から降りる。


「あんたは調教師テイマーなのかい?」

「えぇ、そうです」

「森に薬草を摘みに行ったらキラービーに襲われてしまって…。その時にスズカお姉ちゃん達に助けてもらったの」

「キラービーに?!それは大変だったな。ありがとう、この子を助けてくれて」

「たまたま、通りかかっただけですから」

「助けてもらったのにこう言うのもなんだが、この魔物は村に入れても大丈夫なのか?」

「大丈夫です」

 多分…。


「暴れるようなことはないよな」

普段は大人しいので」

 シルバーの機嫌は私には分かりません。


 道を歩いていて向こうから、可愛いワンコが飼い犬さんとやって来たとする。

「可愛いワンコですね。なにちゃんですか?触っても大丈夫ですか?」

「えぇ、この子は大人しいので」

 カフッ!!

 大丈夫かどうかは飼い主ではなく犬が決めること。

 ワンコにしてみれば、嫌なことや機嫌の悪い時もある…。

 シルバーも同じです。


「では、通っていいぞ。ようこそセサルの村へ」

 ゲイリーさんと言われた人が歓迎の挨拶をするけど声には覇気が無い。

 どうしたのかな?


「さあ、どうぞ。スズカお姉ちゃん、こちらです」

 私はミラベルちゃんに案内され門の中に入る。

 すると柵の内側には50軒くらいの小さな家が建っていた。

 しかし人通りはまばらで、見かけるのは女の人と老人ばかり。

 みんな疲れた顔をしており、若い男手が居ないみたい。

 どうしたのだろう、この活気のない村は?


「ここが家です」

 そう言うミラベルちゃんが指を指したのは、木造の荒れ果てた家だった。

 シルバーは入口で待たせて家の中に入る。

「おかあさん、ただいま!!」

 中は8~10畳くらいの広さで、板の間と土間に仕切られていた。

「ミラベル、お帰り。どこに行っていたの?それにそちらの方は?」

 家の中には27~29歳位の痩せた女の人が居た。


「起きて大丈夫?おかあさん。薬草を採りに行ったの…。そしたら魔物に襲われて」

「まあ?!あれほど森は危険だと言ったでしょう!!」

「でもおかあさんが苦しそうだったから…。その時にスズカお姉ちゃん達に助けられたの」

「そうだったの。ゴホ、ゴホ、私は母のエレーナと言います。本当にありがとうございました。馬鹿ね、この子は…おかあさんなら大丈夫よ。ゴホ、ゴホ、苦労をかけるわね」

「おかあさん、それは言わない約束だよ~」

 そう言いながら親子は抱き合った。


 昭和の寸劇か?

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